Doublw Zero


2007年3月25日(日)「ダブルオー・ゼロ」

DOUBLE ZERO・2004・仏/英・1時間30分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、Super35、TechnoVision)/ドルビーデジタル、dts

(スイス10指定)
(1週間の単館限定公開、レイト2回上映)


フランスからロシアへ密かに売却されたミサイルM51が、輸送途中に何者かに強奪された。フランスの対外治安総局はミサイルを奪還するため、腕利きのエージェントを派遣するが、同時に敵の目をくらませるため、民間人をエージェントとして雇い陽動作戦を行なわせることにした。様々なテストの結果、選ばれたのは「どうみてもスパイには見えない」ウイルとベンの2人だった。

70点

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 一言でいえばおバカ映画なのだが、それにここまでの予算と手間を掛けるかというほどの本気製作モード。撮影はカッコいいし、アクションは派手、デジタル技術も使いまくりで、もったいないほど。その点で見る価値はあると思う。ただコメディとしては、日本人的な感覚とはいまひとつ合わない感じ。

 たぶん、こういう冗談っぽいコメディ作品(おバカ映画)を作るのなら、大作並の予算をかけて、本気で作らなければ面白くない、というコンセプトで作られたのだはないだろうか。しかし結果として、それは功を奏さなかったと、そういうことだろう。IMDbでは3.6点という低評価。しかも400票に満たない投票数。

 うまくいかなかったのは、主人公の2人ともがおバカで、コテコテで、好きになれないキャラになってしまったからではないだろうか。どちらかが真面目キャラだとか、相棒の暴走を止めるキャラならもう少しまともになったのではないだろうか。2人ともが暴走してしまうと、誰も止められないわけで、映画の流れも破綻し、映画自体も破綻してしまうのではないだろうか。つまり弥次さん喜多さんとか、ボケと突っ込みとか、R2D2とC3POとか。定石を壊したかったのか。

 絵は素晴らしい。アクションの見せ方も上手い。だからとてももったいない感じがする。画質もよくすっきりさわやか。

 監督はジェラール・ピレス。一番面白かった1作目の「TAXi」(Taxi・1998・仏)の監督で、その後アメリカで撮ったスティーブン・ドーフのアクション「スティール」(Riders・2002・米)もかなり面白かったのに。本作の後にフランスで撮ったジェット機アクション「ナイト・オブ・ザ・スカイ」(Les Chevaliers Du Ciel・2005・仏)もめちゃ面白かったから、本作でガス抜きをしたのか、反動が出たのか。

 おバカな二人はエリック・ジュドールとラムジー・ベディア。どうもお笑いコンビで「エリック・ラムジー」としてフランスのTVで活躍していたらしい。そういうことか。

 秘密兵器と銃はたくさん出てくる。究極の迷彩という姿が消えるジャケットも笑えたが、とくに面白かったのは歯に埋め込まれた携帯電話。かかってくるとほっぺたが大きく振動する。レントゲンで見るとノキアとロゴが入っている。2人に支給される銃はP228か229。連絡員はP230を持っている。敵の美女軍団はMP5やミニミなんかを装備していて、後半2人はMP5Kを手にするが「AK47だ」と堂々といい放つ。これはギャグだったのか……。さらに基地内の女たちはM93Rなども持っていて、撃たなかったと思うが驚いた。

 公開2日目の初回、前売り券はないというので、30分前について当日券を購入。ハッキリ言って1,800円は高い。

 ロビーには誰もいなかった。10分前に入れ替えになった時でオヤジが3人ほど。全席自由で、あとで高校生くらいの4人組が来て、中年夫婦も1組。最終的に202席に10人くらい。まあ、しようがないか。

 気になった予告は……「口裂け女」はなかなか恐そう。恐かった実録風映画「ノロイ」の白石晃士監督だし。ただ、劇場がなあ……。アポなし取材のマイケル・ムーア監督の新作「SICKO」はアメリカの医療問題をテーマにしているらしい。興味深かったが日本語の公式サイトはまだないようだ。

 実在の女性写真家を描いたらしい「毛皮のエロス」(すごいタイトル!)は、ニコール・キッドマンとロバート・ダウニーJr.の出演で、ホラーっぽい雰囲気。一体どんな映画なのか、予告編からはさっぱりわからなかったが、興味が湧いた。香港映画「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」も面白そうなのだが、予告編がふざけていて内容が良くわからない。こんなに演出をつけないといけないということは、ダメなのかも。ただ、ドニー・イェンだし、ニコラス・ツェーも出てるしなあ……。


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