Taitei no Ken


2007年4月8日(日)「大帝の剣」

2007・エンターブレイン/東映/東映ビデオ/スカパー・ウェルシンク/テレビ朝日/ゲオ/朝日放送/Yahoo! JAPAN/メ〜テレ/広島ホームテレビ/九州朝日放送/コミックとらのあな/トミーウォーカー・1時間50分

ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル


公式サイト
http://www.taitei.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)


古代、宇宙起源の金属オリハルコンカが地球に飛来し、3つに砕けて落下した。やがてそのオリハルコンからアレキサンダー大帝の剣と、スカンダの独鈷杵(とっこしょ)、ユダのクルスが作られた。そして江戸時代、第3代将軍家光の時代、それらの3つが日本に渡っていた。三種の神器と呼ばれ、3つを手にするものは世界を支配できると言われていた。その1つ、大帝の剣を持つ男、万源九郎(よろずげんくろう、阿部寛)は、祖父の遺言により他の2つを求め放浪の旅を続けていた。そして旅の途中、豊臣の血を引く姫、舞(まい、長谷川京子)と出会う。そこへ宇宙船が墜落し、ゼリー状の生命体が2体現われる。

72点

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 映画のナレーションで言ってるとおり、今の日本では少なくなった大冒険活劇。そう言えば、子供のころはまだこんな映画がたくさんあったような気がするなあという映画。そこそこ笑えるし、3Dや2DのCGもお金がかかっていてレベルが高く、本気なのがいい。コメディだと、あえてチープにして笑いを取ろうとすることもあるが、それはよほど計算され、よく構築されたものでないと逆効果になることが多い。アクションも、単に漫画チックにしたのではなく、しっかりと本当の殺陣をベースにしているし、まったく物理の法則を無視するわけではなく、ちょっと大げさにしただけという感じがいい。ちゃんと大人が楽しめる。腕が飛んだり血が噴き出したりと残酷表現が多いが、たぶん子供も楽しめる映画になっているのではないだろうか(レイティングされなかったのが不思議)。

 ちょっとした役で有名俳優が出ているが、安易にお笑いタレントを使わず、役者さんを、しかもちょいとばかりスゴイ使い方をしているのがまた良い。えっ、こんな役?とか、もう死んじゃうの?とか。これじゃ、誰だかわからないじゃん、とか。そこも面白かったりする。当然というか、1番面白いのは阿部チャン。大男で外国人の孫という設定。普通の人がビビったり、嫌がることに出くわした時の口癖が「おもしれぇじゃねえか」。とんでもなくデカイ剣を背負い、着ている着物は臭い。そしていつも背中がスキだらけらしい。みんなに指摘される。

 意外とすごいのがハセキョウこと長谷川京子。かわいいお嬢様と、結構キレている取り憑かれた状態とのギャップがグッド。ダサ・キャラの佐助を演じているクドカンこと宮藤官九郎も、ダメさ加減がちょうどいい。どこか憎めない、いい味を出している。

 天草四郎役の黒木メイサはちょっと中途半端で、なぜ出てきたのかよくわからなかったが、男か女かわからないところがミソ。一番の悪キャラ、破顔坊(はがんぼう)を演じた竹内力は、最後までほとんど素顔がわからない。こんなにスコーンと突き抜けた悪役もやれるんだとビックリ。白塗りのドジ忍者の大倉孝二は登場から笑わせる。うまい。同様に不運な猟師の遠藤憲一も、いつもの黒社会系ではないキャラで、「あらら……」が口癖のオトボケ味が完璧。こういう役の方が向いているのではないだろうか。土蜘蛛衆の1人で、虫を操る黒虫役六平直政は、いつも八百屋さんとか零細企業の社長なんかを演じている人だが、本作ではほとんど素顔のわからないマンガ・メイクで、これまた突き抜けていてスゴイ。

 タイトル前の長いアバンには、言葉遣いの乱暴なさらわれた少女役で、「トイレの花子さん」(1995・日)や「ガメラ3」(1999・日)の前田 愛が出ている。

 原作は「陰陽師」の夢枕獏。時代劇とSFの融合が面白い。それを脚本にしたのは天沢彰。これまでにアニメの「ガンドレス」(1999・日)の原作などを手がけているらしい。キャラクター・デザインは「FF」シリーズの天野喜孝。ただ破顔坊と猟師・権三のモンスター造形はパターンのような気がするが……。撮影が良いのか照明が良いのか、コントラストは強めで絵がハッキリくっきり、力強かった。

 監督はTV「トリック」(2003)やTV「ケイゾク」(1999)の堤幸彦。やっぱりこういうコメディっぽい作品がうまいというか、この味は堤監督しか出せないような気がする。

 初日は舞台あいさつがあるのでパスして、公開2日目の初回、銀座の劇場は35分前に着いたら20人くらいの行列。若い男性が多く、なんだかアニメ系の人たちと似た雰囲気。女性は3人。中高年は5人くらい。

 30分前に開場し、場内へ。2F席は閉鎖してあり、1Fは指定席なしで全席自由。といっても10分前で50人くらい。なぜかアンケートを口頭で行なっていたが、コピーを配ってやった方が簡単で良いのに。

 最終的に、下は小学生の男の子くらいからいたが、ほぼ最初の構成のままで、なんと70〜80人くらい。ガラガラの印象。どうしたんだろうか。結構面白いのに。

 暗くなって始まった予告編は……三部作という「ゴール」の2作目は、もういいんじゃない。1もパッっとしない感じだったし。「仮面ライダー雷王」は人気TV番組だそうで、映画化されるらしい。「ゲキレンジャー」と同時上映らしいが、よくわからなかった。とにかくSFXはすごい。

 浅田次郎原作の「憑神」は、降旗康夫監督、妻夫木聡主演でなかなか面白そう。1人のついていない武士にまず貧乏神が憑いて、次に疫病神、そして最後は死神が、という話らしい。

 石原慎太郎製作総指揮・脚本の「俺は、君のためにこそ死にいく」は、飛燕や零戦のようにな航空機が素晴らしいことはわかった。ちゃんと反射照準器も付いているし。あとはよくわからなかった。

 JBLのスピーカーと、ドルビー・デジタルの宇宙版のデモがあってから本編の上映。大音響がよく回っていた。


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