Dragon Tiger Gate


2007年4月14日(土)「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」

龍虎門・2006・香・1時間34分(IMDbでは128分と140分)

日本語字幕:手書き書体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル

(香IIB指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://kachikomi.gyao.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)


かつて、カンフーの達人フーフーは孤児たちにカンフーを教えるため「龍虎門(ドラゴン・タイガー・ゲート)」を作った。そのフーフーの2人の息子はドラゴン(ドニー・イェン)とタイガー(ニコラス・ツェー)と名付けられ龍虎門で育てられたが、ドラゴンは龍虎門を出ることになってしまう。何年もの月日が流れ、ドラゴンは町一番の暴力団「コンウー」のボスのボディ・ガードになっていた。アジア最大の暴力組織「羅刹門(らせつもん)」が「コンウー」を認め「令牌」を授けたことから、他の組織と抗争が勃発する。

72点

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 原作の劇画を、劇画の味を生かしたまま実写化。ひたすらカッコよくアクション満載に仕上げた力作。広告や予告編にダマされて、「少林サッカー」(少林足球・2001・香)のようなコメディを想像すると肩透かしを喰らう。ちょっと雰囲気が「火山高」(Volcano High・2001・韓)や「キル・ビル」(Kill Bill: Vol.1・2003・米)みたいな感じも。

 最初はヘンな広告や予告編から見る気はなかったのだが、ひょんなことからドニー・イェンがアクション監督を務めていることを知り、見ることに。そんなわけで、ストーリーはちょっと納得しにくい展開もあるものの、俯瞰(「突入せよ!浅間山荘事件」(2002・日)に似ているが)や3D-CGを多用した絵が素晴らしく、とにかくアクションが素晴らしい。しかも、どうやって撮ったのか、パンチやキックはかなり本当に入っている。主演のドニー・イェンだけでなく、アーティストとしてデビューしたイケメンのニコラス・ツェーや、モデル出身のイケメン、ショーン・ユーまで、体を張った危険な殺陣を自ら演じている。それがまたスゴイ。

 ドニー・イェンはデビューの頃は普通のちょっとカンフーのできるかっこいい人という感じだったのが、本作ではかなりカッコいい。マンガのキャラクターに似せて片目を隠しているようで、それがまた似合っている。1963年生まれだからすでに40歳を超えている。この体の切れはスゴイ。監督・主演・製作総指揮の「ドニー・イェン/COOL」(Ballistic Kiss・1998・香)は、自主製作のような感じで、気のいいアンチャンという感じだったのに、まるで変わった。スターの雰囲気。アクション監督としても優秀で、「修羅雪姫」(2001・日)はドニー・イェンがアクションを付けたから釈由美子はカッコ良く見えた。やっぱり「HERO」(英雄・2002・香/中)や「ブレイド2」(Blade II・2002・米)がいい。

 ニコラス・ツェーはやっぱり「ジェネックス・コップ」(特警人類・1999・香)が印象に残った。ここでもかなり過激なアクションを体当たりで演じている。しかし良かったのはコミカルな役を演じた「香港国際警察」(New Police Story・2004・香)と、別人のようにひたすらカッコよかった「PROMISE」(無極・2005・中/日/韓)か。


 ショーン・ユーは「インファナル・アフェア」(無間道・2002・香)シリーズで、トニー・レオンの若い頃を演じた人。優しい感じの二枚目で、ヤクザの成り上がりを描いた「ベルベット・レイン」(江湖・2004・香)で若いヤクザを、「頭文字[イニシャル]D THE MOVIE」(Initial D・2005・香)では中里毅役を演じていた。本作で初めてコミカルな役で、かつ本格的なカンフー・アクションに挑んだのではないだろうか。ヌンチャクの使い方は特訓したのだろう、なかなかさまになっていた。

 組長の娘マー・シャオリンを演じた美女は中国出身のドン・ジェ。キムタクが出たウォン・カーウァイ監督のがっかり作「2046」(2046・2004・香)に出ていたらしい。そう言われれば、そんな気も……。大粒の涙を流すところが可愛くて、もうステキ。今後も期待。

 羅刹門の女、ローザはリー・シャオラン。これまではTVの出演が多かったらしく、あまり見かけたことがないが、悪い女なのだが、一途な感じがよく出ていた。

 監督はウィルソン・イップ。見ていないが「スパイチーム」(神像次世代・2000・香)やニコラス・ツェーが主演した「トランサー霊幻警察」(異霊霊異・2001・香)を監督している。ボクが見たのは、ドニー・イェンが主演しアクション監督を務め、久しぶりにサモ・ハンが出た「SPL/狼よ静かに死ね」(SPL・2005・香)。前作より確実にレベル・アップした感じ。

 音楽がカッコいいなあと思ったら、なんと日本人の川井憲次。押井守監督との仕事が多い人だが、最近は「セブンソード」(七剣・2005・香)、「南極日誌」(Antarctic Journal・2005・韓)、「墨攻」(A Battle of Wits・2006・中/日ほか)など海外での活躍も多い。今後ますます活躍を期待したい。

 ところどころ、非常に画質が悪いのは気になった。デジタル処理のしすぎだろうか。色は全体にかなりいじっている感じだ。それが劇画挺でいい味を出しているのだが。CGも気合いが入っている。レトロ・フューチャーっぽいランドスケープも良い。ただ、一部の画質が……。それに、なぜ日本語吹替版が? 「少林サッカー」のつもり?

 それに、なぜ「かちこみ」? 「ドラゴン・タイガー・ゲート」で充分だと思うけどなあ。

 公開初日の3回目、字幕版2回目、渋谷の劇場は全席指定で午前中に座席を確保。15分前に着いたら、狭いロビーは人でいっぱい。3.5対6.5くらいで女性が多い。年齢的にはたぶん20代がほとんど。中高年は数人しかいなかった。

 10分前に入れ替えになって場内へ。すぐに明るいまま案内を上映。予告編は前方が暗く後方が半暗で。最終的には豪華なレザー・シートの202席の7割ほどの入り。なかなか良いのでは。終わったところで、アクション満載だが意外にも女性から「面白かったね」と驚いたような感じの声が上がった。やはりコメディを予想していたか。あの予告じゃなあ。

 気になった予告は……アンディ・ラウの「イノセント・ワールド」。スリが最後の仕事に挑むラブ・ストーリー。絵がきれいで、アクションもかなりあるようで見たいけど、劇場がなあ……。上下マスクで、ちょっとビデオっぽい画質が気になった。

 ニコール・キッドマンの「毛皮のエロス」もタイトルはHな感じだが、何かミステリアスなタッチで気になる。原題はそんな感じじゃないのに。


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