Hannibal Rising


2007年4月21日(土)「ハンニバル・ライジング」

HANNIBAL RISING・2007・仏/英/米・2時間01分(IMDbでは117分)

日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(Arri、with Panavision、1:1.85)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(仏-12指定、英18指定、米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://hannibal-rising.jp/
(入ると画面極大化。音に注意。全国の劇場案内もあり)


第2次世界大戦末期のリトアニア。レクター城で暮らす貴族のレクター一家には、幼いハンニバル(アーロン・トーマス)と妹のミーシャ(ヘレナ・リア・タコヴシュカ)がいた。そこへドイツの親衛隊が進駐してきたため、一家は山小屋へと逃れる。しかしその小屋がドイツ軍の攻撃を受け両親が死亡。さらにソ連軍の進攻により敗走を始めたドイツ軍の数人のグループが小屋へ逃れて来る。やがて食料が尽きた一味は、肺炎にかかって長くないと思われるミーシャに手をかける……。

71点

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 うーん、恐いし、ショッキングで、レクター博士の生い立ちも良くわかったが……何かいまひとつ伝わってこない感じ。何なんだろうこれだけ強烈な人生、生き方をしてきたというのに。

 スゴイのは冒頭の第二次世界大戦のシーン。まるで戦争映画かと思うほど、お金もかかっているし、丁寧に撮られていて、恐いし、真に迫るものがあって、いい。感情もよく伝わってくる。そして、どう展開するのか読めず、はらはらどきどき。観客がその場に立ちあっているかのような緊張感もある。うまい演出だなあ。ただ、ドイツの話なのに、なぜ全員英語?

 戦争末期に急降下爆撃機シュトゥーカはあまり使われなかったのではないかと思うが、リアルに作ろうとしている努力がすばらしい。タイガーに似た戦車も出てくるし、ソ連軍はT-34のようだし、銃もワルサーP38だったり、MP40だったりしている。いわばイントロ部分のようなところなのに、まったく手を抜いていない、というか一番、手がかかっているというか。

 どこか爬虫類的なじっとりとした恐さを醸し出していたのは、フランス生まれのギャスパー・ウリエル。どこかで見たことがあるなあと思ったら、ジャン=ピエール・ジュネ監督の傑作の1本「ロング・エンゲージメント」(Un Long Dimanche De Fiancailles・2004・仏)で、オドレイ・トトゥ演じる主人公の恋人マネクを演じた人。こんなに恐ろしい役も演じられるんだ。今後が楽しみ。ちなみに、左頬の傷は6歳の時にドーベルマンに襲われて付いたらしい。うーん。

 ハンニバルの伯父の妻で、ハンニバルを引き取って面倒を見てくれる日本人のレディ・ムラサキは、「SAYURI」(Memoirs of Geisha・2005・米)でも日本人、初桃を演じた中国生まれのコン・リー。とにかくキレイだし、怪しい色気のある人。「マイアミ・バイス」(Miami Vice・2006・米)も相当エロかったけど。

リトアニア出身のドイツ兵で、戦争を利用して掠奪を重ねるグループのボス、グルータスをいかにも嫌らしい人物に演じたのは、イギリス生まれのリス・エヴァンス(アイファンズ)。ジュード・ロウが主演したギャング映画「ロンドン・ドッグス」(Love, Hornour & Obey・1999・英)や、ヒュー・グラントとジュリア・ロバーツのラブ・コメディ「ノッティング・ヒルの恋人」(Notting Hill・1999・米)の同居人、キアヌ・リーヴスの感動スポ根「リプレイスメント」(The Replacements・2000・米)でイギリスから来たタバコばっかり吸ってる助っ人、サミュエル・・ジャクソンのコミカル・アクション「ケミカル51」(The 51st State・2002・米/英/加)のイギリスのギャング、「Jの悲劇」(Enduring Love・2004・英)の偏執的な恐ろしい男、などを演じていた人。どちらかというとクセの強い役が多いかも。

 監督はピーター・ウェーバーという人。TVで活躍してきた人で、劇場長編作品のデビュー作は「真珠の耳飾りの少女」(Girl with a pearl Earring・2003・米/英ほか)。これが高く評価され、本作の監督に抜擢されたらしい。

 脚本はこのシリーズの原作小説を手がけているトマス・ハリス。シリーズとは言いながら、映画は本作も含めて4作とも監督も違うし、まったく異なった作品の印象。原作もこうなのだろうか。ボクが一番映画として面白かったのはジョナサン・デミが監督した1作目の「羊たちの沈黙」(The Silence of The Lambs・1990・米)だなあ。

 ラストにこのフィルムは東京現像所がプリントしましたというようなメッセージが。

 公開初日の初回、新宿の劇場は55分ほど前に着いたら前売り券の列に7人ほど、当日券の列に15人ほどの行列ができていた。まもなく案内があり、きちんと整列。最近は列の作り方がとてもヘタ(というか並ぶのがイヤのよう)なので、これは素晴らしい。早く整列させてくれると混乱が起きなくて済む。老若比はほぼ半々で、男女比は3対1くらい。

 35分前に当日券が発売になり、列を1つにまとめたところで25分前くらいに開場。この時点で50〜60人くらい。

 場内は全席自由で、12席×4列のカバーの席も初回のみOK。スタジアム形式で床面にはかなり傾斜が付いているのに、ときどきとんでもなく座高の高い人がいて、背もたれから両肩が出ているくらいだとスクリーン下に出る字幕がよく読めない。スクリーンが下のほうにあるからのようだ。もうちょっとスクリーンが高ければ……。

 大学生くらいから老人まで幅広くいたが、最終的には1,044席に4割ほどの入りは、予告編の投入量からすると少ない感じ。まあ、この内容だとしかたがないのかも。それにしても、遅れてから入ってくるヤツが多い。しかも遅れてきて席に付くなりメールチェック。液晶が明るくて邪魔だっつうの。ロビーでチェックしてから入ってこい。

 やや暗くなって予告編が。どうにも好きになれないが上下マスクの「西遊記」は新バージョンになって、CGを使ったSFXはすごい。「スパイダーマン3」も公開間近で新バージョン。この予告はスゴイ。何でも日本は5月1日公開で、世界で一番最初の公開なんだとか。しかも1日だからだれでも1,000円の映画サービス・デー。一体どうなるんだろう。平日の火曜日だしなあ……。6時半とか7時くらいの最終回が混むのかも。


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