Dresden


2007年4月22日(日)「ドレスデン、運命の日」

DRESDEN・2006・独(TV)・2時間30分(IMDbでは180分)

日本語字幕:手書き書体タテ、吉川美奈子/ビスタ・サイズ(Arriflex 16 SR3、Super 16、1:1.78)/ドルビーデジタル

(フィンランドK-13指定)

公式サイト
http://dresden-movie.com/
(全国の劇場案内もあり。情報多い)


第二次世界大戦のヨーロッパ戦終結直前の1945年1月。ドイツの中でも大規模な空襲を受けていなかったドレスデンで、上流階級の娘アンナ(フェリシタス・ヴォール)は看護婦として、恋人の外科医アレクサンダー(ベンヤミン・サドラー)と多忙な日々を送っていた。そんなある日、イギリスの爆撃機の1機がドレスデン上空で撃墜され、パイロットのロバート(ジョン・ライト)が1人だけ撃たれながらも逃亡に成功し、アンナのいる病院に逃げ込む。

73点

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 画質がちょっと粗いなあと思ったら、TVドラマ。16mmで撮影されたらしい。ドイツでは3時間の長さ。それを2時間30分に切ったわけで、ストーリー展開がちょっと強引になってしまった。DVDでノーカット版が出たら、もっとよくわかるものになるのではないだろうか。

 ただ、ドイツ人看護婦とイギリス人パイロットの恋は、なんだか「イングリッシュ・ペイシェント」(The English Patient・1996・米)を連想させるもので、たぶんドレスデンで何があったかを描くための進行役なものではないだろうか。30分のカットのせいもあるのだろうが、二人が恋に落ちる過程は良くわからない。外科医との三角関係や、父親の不法行為なども同じだろう。雰囲気は日本の終戦特集番組などと似たもの。この前もTVで「硫黄島」の軍の郵便配達の話をやっていたっけ。ただ、予算はケタ違いなのではないだろうか。製作期間もずっと長いに違いない。

 メインは、その日、1945年2月13日〜14日にかけてドレスデンで起こったことを描くことだと思う。2005年10月30日、60年前の空襲で崩落した聖母教会のドームが再建され、記念式典が開催されていた。そこに主役を演じたフェリシタス・ヴォールがいて、涙する映像がラストに収められている。さらに、公式サイトによれば2006年には建都800年記念イベントが多く開催されたそうで、本作もその一環だったのかもしれない。ちなみに東京大空襲は1945年3月10日。英米ソの3国首脳が戦後処理について話しあったヤルタ会談は2月4〜11日。

 それを裏付けるように、空襲シーンが一番お金もかかり、気合いも入っている。一夜にして歴史ある美しい町が「戦場のピアニスト」(The Pianist・2002・仏/独ほか)でも見たような廃虚と化してしまう。地下の塹壕に逃れる人、逃れられず街中を右往左往する人……どちらにも地獄が待っていたと。

 イギリス軍の第一波244機が13日の夜間に800トンの無差別爆撃を行なった。第二波は14日となった深夜529機で1,800トンもの爆弾を投下した。実際にはさらに14日の昼間、アメリカ軍が771トンの爆弾を投下。そして15日の昼間にも466トンの爆撃を行なっているという。その後も3月2日、4月17日にも爆撃を行なったらしい。焼夷弾による火災で、1500℃という高温の火炎旋風が発生したという。劇中でもそれに触れられている。詳しくは、公式サイトとウィキペディアフリー百科事典へ。

 CGなのか、イギリス軍の攻撃ではちゃんとアブロ・ランカスター爆撃機が出ていた。ドイツ軍の将校はワルサーP38を使い、憲兵はルガーP08。MP40は多数出てきていた。
 ちなみに、劇中、裕福な人たちはよく陶磁器のマイセンの話をしているが、マイセンはドレスデンから電車で40分ほどの距離のところにあるという。

 主役のアンナを演じたフェリシタス・ヴォールという女優さんはTVで活躍しているようで、劇場用長編映画の出演はまだないようだ。恋人の外科医アレクサンダーを演じたベンヤミン・サドラーもTVの人。イギリス人パイロットを演じたジョン・ライトもTVの人だが、ビデオ作品や劇場長編映画にも何本か出ている。そういう意味では地味かもしれない。もともとTVドラマなので当然のことなのだが。

 監督はローランド・ズゾ・リヒターという人で、1990年代TVで活躍し、2000年くらいから映画を手がけているようだ。日本公開されたものでは「トンネル」(Der Tunnel・2001・独)や「Re:プレイ」(The Inside・2003・米/英)があるのだとか。どれも見ていない。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は窓口のみが開いていて、エレベーター・ホールで待つ。列はまだなし。40分前くらいに案内があって列を作り、30分前に7〜8人に。中高年のみで、女性は2人。25分前に15〜16人になり、20分前に開場。

 改装したらしくイスがカップ・ホルダー付きのものになっていたが、千鳥配列ではないために、あいかわらずスクリーンは見にくい。混んで字幕が下に出ると最悪。

 5分ほど前から案内を上映。最終的に192席に6.5割ほどの入り。座った人が落ち着いたところで見やすい席に移動。ほかにも動いている人がいる。中年よりは高齢者が多い感じ。ここでもメールチェックしているヤツが多い。なぜロビーでできないのか。特に遅れてきたヤツ。明るくても邪魔なんだから、暗いところで点けるなよなあ。

 1/3ほど暗くなってCM、そして予告。気になったのは……実話に基づくというスーパーマン役者ジョージ・リーヴスの自殺の謎を追うミステリー「ハリウッドランド」は、とても気になった。ベン・アフレックがジョージ・リーヴスを演じるらしい。謎を追う探偵にエイドリアン・ブロディ。ダイアン・レインも出ている。見たい。それにしても、速くタイトルを出して欲しい。最後の最後では覚えるのが困難。


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