Spider-Man 3


2007年5月5日(土)「スパイダーマン3」

SPIDER-MAN 3・2007・米・2時間19分(IMDbでは140分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタルEX、DTS-ES、SDDS)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/spider-man3/index.html
(入ると画面極大化。ポップアップ・ウィンドーをOKにしないと見られない。音にも注意。全国の劇場案内もあり)
(日本語吹替版・IMAX版もあり)


スパイダーマンであるピーター・パーカー(トビー・マグワイア)に父を殺されたと信じているハリー・オズボーン(ジェームズ・フランコ)は、ニュー・ゴブリンの装備を身に付けてピーターに襲いかかる。戦いで負傷したハリーを入院させ、ピーターは恋人のMJ(キルスティン・ダンスト)と流れ星を見に行くが、そのとき地上に到達した隕石からネバネバした黒い生命体がピーターのスクーターにとりつき、部屋まで行ってしまう。そんなとき、ピーターおじさんを殺した男が実はフリント・マルコ(トーマス・ハーデン・チャーチ)だったと警察から連絡がある。

83点

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 盛りだくさんの映画。見終わったときお腹いっぱいになった感じが。ストーリーとしても、恋の行方、人生の挫折、友情、家族愛、復讐……などなどを折り込んでいながら、それぞれ中途半端にならず、しかも複雑にもなっていない。それを見たこともないようなリアルな驚異的ビジュアルで、楽しませてくれる。シリアスばかりかと思いきや、ほどよくギャグも入れて、これはスゴイなあと。

 一歩間違うと、主人公が嫌なヤツになってしまうシーンで、度を越して嫌なヤツになってしまい観客をガッカリさせることがよくあるが、本作はギリギリのところで踏みとどまる。ほかにも、いろんな場面でドラマを作るためのわずかなすれ違いや、勘違いなどがあるわけだが、それがわざとらしくなく、またギリギリで観客をガッカリさせない。こういったバランス感覚が絶妙にうまい。

 アクション・シーンも、残酷になり過ぎないように、しかし迫力やリレアリティを失わないように考えられているようだ。かといって、あまりにも漫画チックでは緊迫感が生まれず、笑われてしまいかねない。微妙なバランスを保ったところで、ちょっとだけギャグも入れている。これが成功しているのだから、さすがサム・ライミ監督、すばらしい。子供でも楽しめるはずだ。実際、後ろに座っていた小学生くらいの子には受けていた。

 そんなわけで見て感じたのは、実生活でもわずかなすれ違いや、ちょっとしたコミュニケーションの欠如・不足がトラブルの元になるということ。ちょっとしたいさかいとか、感情のもつれなんかは、それにきをつければ起きないですむ。大きな事件も些細なことから起きている場合が多いと。つまりこれは「バベル」と一緒。あちらほど暗くなく、楽しんで見られる点ではこちらの方が優れていると思う。

 優れた脚本は、監督サム・ライミ自身と彼の兄アイヴァン・ライミ、アルヴィン・サージェントの3人。アイヴァン・ライミは「ダークマン」(Darkman・1990・米)、「キャプテン・スーパーマーケット」(Army of Darkness・1993・米)などの脚本をサム・ライミとともに手がけている。ただのB級ホラーやB級ホラー・コメディに終わっていないのがすごい。アルヴィン・サージェントはあの大傑作「ペーパー・ムーン」(Paper Moon・1973・米)の脚本を手がけアカデミー脚色賞にノミネートされた大ベテラン。なんと75歳の人だ。さすがにキャリアが長いだけあって、ジェーン・フォンダが主演した「ジュリア」(Julia・1977・米)でアカデミー脚色賞受賞、ダスティン・ホフマンの「ストレート・タイム」(Straight Time・1978・米)、ロバット・レッドフォードが監督し、再びアカデミー脚色賞を受賞した「普通の人々」(Ordinary People・1980・米)、などのスゴイ作品の脚本を手がけている。もう引退してもおかしくないところ、前作「スパイダーマン2」(Spidert-Man 2・2004・米)の脚本も手がけている。

 気になった出演者は、誘拐される署長の娘グウェンを演じた美女、ブライス・ダラス・ハワード。役者から監督に転身した「ダ・ヴンチ・コード」(The Da Vinci Code・2006・米)のロン・ハワードの娘だ。M・ナイト・シャマランのこじんまりしたミステリー「ヴィレッジ」(The Village・2004・米)、さらにはラジー賞受賞の「レディ・イン・ザ・ウォーター」(Lady in the Water・2006・米)で水の精を演じた人。確かに不思議な存在感があるのだが、作品に恵まれない感じは否めなかったのが、やっと良い作品に出られたという感じか。

 デイリー・ビューグル新聞社の経理係?の美女、ミス・ブラントを演じたのは金髪を黒髪にして熱演のエリザベス・バンクス。レオナルド・ディカプリオの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(Catch Me If You Can・2002・米)や、トビー・マグワイアと共演した感動作「シービスケット」(Seabiscuit・2003・米)でジェフ・ブリッジス演じる馬主の奥さんを演じていた人。

 サム・ライミ作品には必ずといっていいほど顔を出している「キャプテン・スーパーマーケット」ことブルース・キャンベルは、今回気の利かないレストランのフロア・マネージャー役で登場、笑わせてくれる。

 まるで絵に書いたようにコスイ人物、デイリー・ビューグル新聞社のボスを演じているのは、J・K・シモンズ。実際にはあんな角刈りではなく、かなり額が広くなっていて丸い感じの人。トビー・マグワイアとは感動作「サイダーハウス・ルール」(The Cider House Rules・1999・米)で共演している。最近の作品では「サンキュー・スモーキング」(Thank You for Smoking・2006・米)で確かタバコ会社の重役を演じていたような。

 ちなみに原作者であり、製作総指揮も務めるスタン・リーは、タイムズ・スクェエアにいる男として出演しているらしい。かなりのおじいちゃんだ。

 NYPDはM92FSを装備。サンドマンがスパイダーマンのおじさんを撃つ銃はバイソンのようだった。

 公開5日目の初回、40分前に到着したら、新宿の劇場はちょうど開場したところ。前売り券の列に30人くらい、当日券の列に20人くらいの人。場内は初回のみ全席自由で、12席×5列もOK。若いカップルが目立ち、中高年は10人くらい。男女比は5.5対4.5くらいで、やや男性が多い感じ。下は小学生低学年くらいからいたが、字幕は読めるのだろうか。

 10分前で1,044席の7割くらいが埋まった。その後も続々と人が増え、最終的には8.5割ほど埋まったろうか。9時30分からと早いのに、これはスゴイ。

 それにしても場内で携帯を点灯させるヤツが多い。注意のアナウンスなんて誰も聞いていない。スクリーンでしっかり見せないとダメかも。暗闇で液晶画面がどれだけ迷惑になるかを。そして、始まってからだいぶたって入ってくるヤツ。こんなに遅れたらストーリーがわからないはず。

 気になった予告編は、上下マスクの〈このミス第1位〉原作「ザ・シューター」、そしてSFアクション「ファンタスティック・フォー銀河の危機」。また「トランスフォーマー」はついに新予告となった。絵がスゴイ。かなり変形も見せてくれる。これは期待が高まるなあ。ただ短すぎてよくわからないけど。

 本編上映直前にシネスコの「ブレードランナー」風ドルビーデジタルのデモあり。


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