Smokin' Aces


2007年5月12日(土)「スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい」

SMOKIN' ACES・2006・米・1時間48分(IMDbでは109分、米版108分)

日本語字幕:細丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.smokin.jp/
(入ったら銃音・音楽に注意)



FBIがマフィアのボス、スパラッザ(ジョセフ・ラスキン)を監視中、組織の秘密を握る悪党マジシャン、イズラエル(ジェレミー・ピヴェン)への暗殺指令を傍受する。仮出所中に心臓を持ってくれば100万ドル支払うという。そのためスウェーデンから殺し屋が呼ばれたらしい。FBIは重要証人としてイズラエルを守るため、宿泊予定のタホ湖のホテルに向かう。一方、100万ドルを得ようと曲者殺し屋たちも動き出す。

76点

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 単なるドンパチ映画かと思ったら、どうしてどうして、骨太。そしてそれぞれのキャラクターの描き方がうまく、ちゃんとした群像映画にもなっている。もちろんドンパチはふんだんにあり、理屈をこねるような映画ではないのだが、決しておバカ映画ではない。ラストにはピリッとヒネリも効かせて、ケジメをつける。そのケジメに賛否両論あるだろうけれど。さすが「NARC ナーク」(Narc・2002・米)のジョー・カーナハン監督。うまい。

 とにかく登場人物のキャラクターがすごい。強烈なキャラクターばかり。そして彼らが衝突することになるわけだから、一体どんな展開になるのか、まったく先が読めない。

 まずマフィアのボス、スパラッザ。鬼がわらみたいな顔をしていて、いかにも恐ろしそうだが心臓病で寝たきり状態。「スコーピオン・キング」(The Scorpion King・2002・米/独ほか)のジョセフ・ラスキンがまさにハマり役。悪党マジシャンは、観客がこんなヤツは殺されて当然と思うような嫌なヤツ。「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)のジェレミー・ビヴェンが好演。まさに人間の屑という感じ。

 一方FBIは悪党マジシャンを利用するため生かしておかなければならない。いつも軽口をたたきあっているコンビは、「NARC ナーク」のレイ・リオッタ演じるP228らしきピストルを持っているベテランと、「ブレイド3」(Brade: Trinity・2004・米)のライアン・レイノルズ演じるUSPを持っている若手が息ビッタリという感じ。ただ「オーシォンズ12」(Ocean's Twelve・2004・米)のアンディ・ガルシア演じるFBIの上司とはうまく行っていない。

 そこへ、乗り込んでくるのは、女装趣味のある弁護士に依頼されてやって来る元刑事の保釈保証人3人組(「デアデビル」(Daredevil・2003・米)のベン・アフレック、役者でもありザ・ロックの「ランダウン」(The Rundown・2003・米)の監督でもあるピーター・バーグ、「ザ・リング」(The Ring・2002・米/日)のマーティン・ヘンダーソン。のちにガバメントを手にする)。

 女殺し屋2人組は、普段はジャージを着ているウーマンリブの黒人女性で.50口径オートマチック・ライフルのバーレットを使う「フォー・ブラザーズ」(Four Brothers・2005・米)のタラジ・へンソン演じるスナイパーと、相棒のものすごいベッピン、歌姫アリシア・キーズ演じる(それがまたウマイ)最初はグロックを持っている特攻隊のコンビ。途中で落ちているS&WのM640シリーズを使う。

 堂々と武装してホテルに乗り込んでくるヤバイ、トレモア3兄弟。一番危なそうなダーウィンは「ER」や「CSI」のまじめそうな青年クリス・ペイン、本作ではヤクでイっているバンクそのもの。リボルビング・グレネード・ランチャーを使う。すごい。モヒカンのジーブスは「CSI」や「デッドゾーン」のケヴィン・デュランド。チェーン・ソウを振り回し、最後にはどんでもないことに。知恵遅れのようなレスターは「ER」や「CSI」「24」などのホントは2枚目モーリー・スターリング。

 元傭兵で、捕まりそうになったとき身元が割れないように指紋を食いちぎったというアコスタは、フレーム・シルバーのCZかジェリコにサイレンサーを付けていて、バック・アップにS&WのM640シリーズを持っている「アーリーmyラブ」のネスター・カーボネル。

 変装の名人で、正体を誰も知らないと言う殺し屋。一番危険なラズロ・スートは、「シン・シティ」(Sin City・2005・米)の顔に傷のあるトミー・フランガン。冒頭スコーピオンの2挺拳銃乱れ撃ちを披露して度肝を抜いてくれる。

 監督はプロデューサーと脚本も兼ねたジョー・カーナハン。1969年生まれというからまだ38歳。「NARC ナーク」を製作中にトム・クルーズに認められ、プロデューサーを買って出てもらい一気にメジャーになった。その後トム・クルーズから「M:i:III」(M:i:III・2006・独/米)の監督のオファーを受けるが、意見の相違からそれを断って本作に打ち込んだのだとか。現在新作4作が待機中というからすごい。

 公開初日の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら誰もいない。35分前くらいにオヤジ5人になって、30分前に開場。全席自由で、この時点で8人ほど。

 最終的には350席に3.5割ほどの入り。老若比は6対4で中高年が多く、女性は1ケタ。広告もほとんどやっていないので、こんなものか。

 予告は完全に暗くなってから。気になったのは、上下マスクのリチャード・ギア主演、アンドリュー・ラウ監督「消えた天使」。快楽殺人を描いたサスペンスらしい。ようやく予告が始まったのは、メル・ギブソン監督の「アポカリプト」。マヤ文明崩壊前夜を描くドラマだとか。絵が素晴らしい。「トランスフォーマー」は新バージョンで、変形を少し見せてくれるもの。いい。なぜか「ザ・シューター」は上下左右ともにマスク。


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