Dream Cruise


2007年5月13日(日)「ドリーム・クルーズ」

"MASTERS OF HORROR" DREAM CRUISE・2007・米/日・1時間28分(IMDbでは米TV版59分)

2007年シーズン2エピソード13

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

(米PG-13指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://www.dream-cruise.jp/
(全国の劇場案内もあり)


幼い頃、水難事故で弟を失ったジャックは、いまだにその時の悪夢でうなされることがあり、すっかり海に近づくことができなくなっていた。しかし弁護士として東京で働くジャック(ダニエル・ギリス)の上得意のクライアント、斉藤英治(石橋凌)に強引に誘われ、英治の妻の百合(木村佳乃)と一緒に3人でクルーズに出るはめに。そしてあるところまで行くと突然エンジンが止まり、立ち往生してしまう。

69点

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 音で脅かすタイプのホラー。88分しかないのに、退屈な感じがしてしかもあまり恐くなかった。まあこの映画のポスターを見た時点で、たぶんメインの悪霊(?)となるだろうビジュアルのレベルが気になっていた。見たら、そのとおりの出来だった。

 ヒロインの木村佳乃も石橋凌も、がんばってはいるもののパッとせず、凡庸な印象。感情の表現をどうしていいのかわからず、迷いながら演技しているような感じを受けた。というのも、どうも脚本が駆け足で粗筋を追っているだけの感じで、説得力ないまま強引に進むからではないか。それぞれのキャラクターの描き方が不十分で、リアリティがない。しかもほぼ全編英語だし。

 大傑作恐怖小説「リング」の鈴木光司の小説が原作とは言え、アメリカのTV番組「マスターズ・オブ・ホラー」の中の1話であり、アメリカでは59分版で放送されたことを考えると、88分版で退屈な感じがしたのも頷ける。脚本や演出や演技も、普通の映画ほどに時間も予算もかけられなかったので、こうなってしまったと言われれば納得できる。腕が落ちたり、顔が欠けたりしている特殊メイクはすごいが、予想どおり肝心のメインの霊がなんとも……。猫背の普通の人だし。

 監督と脚本は「ゴト師株式会社」(1993・日)の鶴田法男。あれだけ面白い話を見せてくれたのに、本作はどうしたのか。脚本か……? 他に劇場作品では「リング0バースデイ」(2000・日)、「予言」(2004・日)などがある。ひょっとして「ゴト師……」のような作品の方が向いているとか。

 もう1人脚本を手がけたのは高山直也。TVの「NIGHT HEAD」や「世にも奇妙な物語」を手がけた人。劇場映画では上映劇場の関係で見ていないが「サイレン」(2006・日)。

 主役のダニエル・ギリスはどこかで見たようなと思ったら、「スパイダーマン2」(Spider-man 2・2004・米)で、MJの軍服の恋人役で出ていた人。

 猫背の霊を演じた蜷川みほは、見ていないが蜷川実花監督の「さくらん」(2007・日)に出ていた人。あれ、姉妹?

 公開2日目の2回目、舞台あいさつがあったという初日の劇場とは変わって、チェーン劇場中最悪のところでの上映。よほど入りが悪かったのか。35分前に着いたらロビーには誰もいなかった。20分前に前回が終了。出てくる人はほとんど中高年(というか老人)ばかり。あらら。最終的に指定席なしの272席に10人ほど。老若比はほぼ半々。女性が2人ほど。さみしい。ま、この出来ではしようがない気も。

 混んだら悲惨な劇場だが、まったく心配なし。ベスト・ポジションのシートが刃物で切られたようになって、中のスポンジが出たまま。早く直して欲しい。

 気になった予告は、やはりリチャード・ギア主演、アンドリュー・ラウ監督の上下マスク「消えた天使」。そして同じく上下マスクのマーク・ウォールバーグ主演「ザ・シューター」。タイトルがどれかよくわからなかったが、天女伝説を描いたミステリーらしい「吉祥天女」。ただ劇場がなあ。浅田次郎原作で妻夫木聡主演の「憑神」も面白そう。

 それにしても、劇場に行こうというCMを劇場で流してどれほどの効果があるんだろう。


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