The Messengers


2007年7月21日(土)「ゴースト・ハウス」

THE MESSENGERS・2007・米/加・1時間30分(IMDbでは84分)


日本語字幕:手書き書体下、種市譲二/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定、加14A指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.ghosthousemovie.jp/
(入ったら音に注意)


かつて惨劇があったという噂のあるノースダコタの片田舎の農場に、シカゴからちょっとワケありの4人家族が越してくる。人生をやり直すためヒマワリを栽培し、家族の絆を取り戻すためあえて携帯も使えない片田舎を選んだのだった。しかし、引っ越した直後からカラスが集まってきたり、不審な出来事が起き始める。

72点

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 うーん、やはりハリウッドというシステムの中で撮ると、やはりハリウッドっぽい平均点的な映画になってしまうんだろうか。謎が隠された事件の全容が次第にわかってくるという仕掛けはオキサイ・パン&ダニー・パンの雰囲気かもしれないが、全体としてはパン・ブラザースというより、すっかりハリウッド映画になってしまっている感じ。

 どこが違うんだと言われると、具体的に説明するのは難しいけれど、たぶんどこも破綻せずすべて枠に収まっているような感じがそう思わせるのではないだろうか。ストーリーの展開も、タイで撮っていたものはどうなっていくのか予想がつかず、それも恐さの要因だったのが、本作では盤石の展開で、悲しくショッキングな内容ではあるが、ベルトコンベアに乗っかって出来てきたような……。

 ただ、悲しいのは日本タイトル。ベタベタ。そのまんま。イチロー選手だったら返事もしてくれないような。原題は「メッセンジャーズ」で、ゴースト・ハウスというのは制作会社の名前。それをタイトルにしてしまうとは……。悲しい……。確かにIMDbの評価は高くないけど、しっかりした作りで、キャストも素晴らしいのに……。

 プロデューサーはあのサム・ライミで、ホラーというか、スプラッターものの監督というイメージが強かったが、最近は「The Juon/呪怨」(The Grudge・2004・米/日)の清水崇監督や本作のパン・ブラザーズなど海外の実力ある監督のハリウッド・デビューにも力を貸している。やはり監督作品では「スパイダーマン」(Spiderman・2002・米)シリーズが有名だが、メジャー・デビュー作「死霊のはらわた」(The Evil Dead・1983・米)や「XYZマーダーズ」(Crimewave・1985・米)、「キャプテン・スーパーマーケット」(Army of Darkness・1993・米)なんかはインパクトあったなあ。ほとんどずっと監督作には出演している俳優のブルース・キャンベルがすごい。

 双子の監督パン・ブラザースは、あの傑作アクション「レイン」(Bangkok Dangerous・2000・タイ)や、素晴らしいホラー「the EYE【アイ】」(Gin Gwai・2002・香/英/シンガポール)、時空が交錯するアクション「テッセラクト」(The Tesseract・2003・日/タイ/英)などで知られる人。兄がオキサイド・パンで、弟がダニー・パンらしい。

 豪華な配役は、美人のヒロインがクリステン・スチュアート。ジョディ・フォスターの「パニック・ルーム」(Pabic Room・2002・米)で、喘息持ちの娘役を演じていた子だ。もうこんなに大人になったとは。日本公開されたものだと、SFXだけが見物だった「ザスーラ」(Zathura・2005・米)のお姉さん役がある。1990年生まれなので、なんと17歳。今後も期待したい。

 お父さんロイはベトナム戦争映画「ハンバーガー・ヒル」(Humberger Hill・1987・米)でデビューし、「34丁目の奇跡」(Miracle on 34th Street・1994・米)が良かったディラン・マグダーモット。さわやかかつ誠実な感じのする人で、日本ではTVドラマの「ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル」や、「ザ・グリッド」などの方が有名かもしれない。本作でも怒鳴り散らすシーンはあるが、誠実な感じがしていい。

 お母さんは、ペネロープ・アン・ミラー。エリザベス・シューが出演した佳作の1本「ベビーシッター・アドベンチャー」(Adventures in Babysitting・1987・米)で劇場映画デビューした人。マシュー・ブロデリックの第二次世界大戦青春物、マイク・ニコルズ監督の「ブルースが聞こえる」(Biloxi Blues・1988・米)や、ロビン・ウィリアムズの難病と闘う医師を描いたペニー・マーシャル監督の「レナードの朝」(Awakenings・1990・米)、再びマシュー・ブロデリックと共演したギャング・コメディの「ドン・サバティーニ」(The Freshman・1990・米)などに出演し一気にメジャーになったのだが、最近はTV出演の方が多くご無沙汰だった。

 流れ者で農場を手伝うようになる男ジョンを演じたのは、ケイト・ベッキンセールが輝いていた王道の胸キュン映画「セレンディピティ」(Serendipity・2001・米)にも出ていた、ジョン・コーベットという人。TVでの活躍が多いようで、あまり馴染みがないが、なかなかの存在感。ヒゲがないと結構、優男らしい。トミー・リー・ジョーンズの火山映画「ボルケーノ」(Volcano・1997・米)にも出ていたとか。彼が持っていたショットガンはレミントンのM870か。今後に期待したい。

 不意に現われる謎の銀行マンには、人気TVドラマ「Xファィル」でスモーキング・マンを演じたウィリアム・B・デイヴィス。神出鬼没だし、実に怪しい雰囲気。

 そして、やっぱり「鳥」はこわい。特にカラスになるとなおさら。ボクも東京でカラスが増えて話題になった時襲われたことがあるが、かなり攻撃的でホントに恐いのだ。これりが大量に現われると……。

 冒頭のモノクロ惨殺シーンで登場した少女が、たぶん「サイレントヒル」(Silent Hill・2006・米/日ほか)や「ローズ・イン・タイドランド」(Tideland・2005・英/加)の名ホラー子役、ジョデル・フェルランド。恐ろしいシーンで、大騒ぎの中の一瞬なのであまり覚えていないが……。彼女の爪の跡が生々しく、恐い。

 公開初日の初回、新宿の劇場は50分前についたら誰もいなかった。グループ館の中でも一番酷い劇場での上映かと用心していったら、2番目だったので少しだけ安心。でも30分前になっても2人で、ちょっと不安に。20分前になって開場した時でどうにか10人くらい。老若比は6対4で中高年が多い感じ。女性は3人。

 全席自由ながら、やぶれたシートもある千鳥配列の350席に最終的に50人くらいの入り。これはちょっと少な過ぎでは。そんなに悪くないのに。20代後半くらいのカップルが目立ったか。

 気になった予告編は……聴くと自殺すると噂される曲「暗い日曜日」をテーマに、原田真人監督が松田龍平で映画を作ったらしい。その名も「伝染歌」。原田監督のホラーはどんな感じなのだろう。やはり原田監督なので銃は登場。アクションっぽい。劇場窓口で前売り券を買うと、カラオケ用のマイク・カバーをもらえるらしい。

 「呪怨 パンデミック」もホラーで、再びサム・ライミのプロデュースで、サラ・ミシェル・ゲラーのほか、エディソン・チャンまで出ている豪華版。これも劇場窓口で前売り券を買うと、白塗りの少年、俊雄くんのフィギュアつき携帯ストラップがもらえるとか。ついにキャラクター化してしまったか。

 上下マスクになってまたまた「TAXi 4」だと。今度はプジョー407だそうで、またまた銃撃戦が凄そう。アンドリュー・ラウ監督のハリウッド進出第1作、上下マスクの「消えた天使」は、リチャード・ギアとクレア・デインズばかりでなく、歌手のアヴリル・ラヴィーンも出ているらしい。性犯罪を扱った映画で、R-15指定とか。

 かなり恐そうな感じだったのは、ニコラス・ケイジでリメイクされた上下マスクの「ウイッカーマン」(英語サイト)。9月公開というのに、予告編が流れているというのに日本語の公式サイトがないとは。よほど酷い出来なのか。アメリカではすでにDVD発売。


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