Ratatouille


2007年7月28日(土)「レミーのおいしいレストラン」

RATATOUILLE・2007・米・1時間50分

(日本語吹替版もあり)

日本語字幕:手書き書体下、石井泰子/字幕監修:石鍋 裕/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタルEX、DTS-ES、SDDS)

(米G指定)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/remy/index.html
(入ったら音に注意。国の劇場案内もあり)


フランスの田舎で生まれ育ったネズミのレミー(声:パットン・オズワルド)は、生まれつき味覚と嗅覚が優れており、一族の中で殺鼠剤発見係だった。しかしテレビで名シェフ、グストーの番組を見、そして著作を読んで、シェフになりたいと願っていた。やがてグストーは、料理評論家のイーゴに酷評され★をひとつ失い、失意のうちに亡くなってしまう。そんなある日、一族とはぐれたレミーは、パリにたどり着く。そして近くにグストーのレストランを発見し忍び込む。ちょうどその時、リングイニ(声:ルー・ロマノ)という若者が、雇って欲しいとやって来る。

85点

1つ前へ一覧へ次へ
 とにかく映像がスゴイ。3D-CGとは思えないほどのリアルさと自然な動き。炎、水、煙、照明、毛、金属……質感などがまるで本物のよう。リアル過ぎてあえて若干、質感を落としているらしい。キャラクターのみがアニメっぽいというか、ディズニーっぽい。愛嬌たっぷり。親しみやすい。

 そして、笑わせて、ハラハラさせて、ヤキモキさせて、ほんわかさせて、しっかり感動させる。言いたいことも明快。アメリカ映画らしく「料理は誰でも作れる」「自分の出身を気にして限界を決めるな」「後ろばかり振り返っていないで、前に進め」「夢を失うな」「家族より大切なものがあるか」。こういったことを正面から堂々と描くところがアメリカらしさというか、ハリウッドっぽいというか。

 ただ、どこか、何か足りない気もした。ハッキリはわからないが満足しきれない感じが……。「Mr.インクレディブル」(The Incredibles・2004・米)で感じたような、食い足りなさというか。「トイ・ストーリー」(Toy Story・1994・米)や「バグズ・ライフ」(A Bugs Life・1998・米)や「ファインディング・ニモ」(Finding Nimo・2003・米)にはあった何か。それがないのでは……。

 監督はピクサーで「Mr.インクレディブル」の監督も務めたブラッド・バード。出世作は、感動アニメの「アイアン・ジャイアント」(The Iron Giant・1999・米)。ちょっと「天空の城ラピュタ」(1986・日)の巨神兵みたいだったけど。前作「Mr.」もそうだったが、本作の脚本も担当。

 レミーの父親で、一族のリーダー、ジャンゴの声を担当したのがブライアン・デネヒー。初めは「ランボー」(First Bllod・1982・米)でランボーを追いつめる警官役など悪役が多かったが、「コクーン」(Cocoon・1985・米)で良い役を演じ公表だったことからイメージ転換を図ったらしい。たぶん正解だったと思う。悪役も憎たらしくてうまいが、最近では「アサルト13 要塞警察」(Assault 13 on Precinct 13・2005・米/仏)で定年間近の警察官役を演じていた。

 嫌らしい守銭奴的な料理長スキナーは、イアン・ホルム。何といっても「エイリアン」(Alien・1979・米)の人造人間のアッシュ役が衝撃だった。つい最近、フランス映画の「ルネッサンス」(Renaissance・2006・仏/英ほか)でも博士の声をやっていた。

 死神とあだ名される料理評論家イーゴの声は名優、ピーター・オトゥール。「アラビアのロレンス」(Lawrence of Arabia・1962・英)のローレンス役はものすごかった。しかも「おしゃれ泥棒」(How to steal a Million・1966・米)のようなロマンチック・コメディもいける。75歳ということでさすがに老けたが、いま予告が始まった「スターダスト」ではも人間離れした老かいな国王らしい恐ろしそうな役をやっている。それもまたスゴイ。本作でも死神に相応しい迫力で、怖い。

 原題の「ラタトゥーユ」というのは、字幕では田舎料理となっていた。プロヴァンス、ニースの野菜煮込み料理らしい。ちなみに字幕監修は、料理の鉄人でフランス料理の初代鉄人で、レストラン・チェーン「クイーン・アリス」のオーナー・シェフ。

 どころどころ、リールが変わった時にピントが甘くなっていたのは何なんだろうか。もっと映写技師の人にしっかりしてほしい。まあ数秒でピントは合っていったけれど……。人がダメなのなら、オートフォーカスの付いた自動映写機に任せた方がいいということになってしまうのでは……。他の劇場では映写室の灯を上映中に点けるということも平気でやるし。

 本編上映前にシネスコ画面の左右マスクで、短編3D-CGアニメの「LIFTED」(2006・米)の上映あり。宇宙人のアブダクション話で、5分ながら、なかなか笑えた。

  公開2日目の2回目、字幕版の初回、新宿の劇場は45分前ほどについたら入口は閉じられていて待っている人は0。40分前に入れ替えになって場内へ。この時点では10人ほど。男女比は4対6で女性が多く、ほとんど中高年。若いカップルが1組だけ。

 全席自由で、スタジアム形式なのでだいたいどの席からもスクリーンは見やすい。小学生くらいの子供を連れた外人さんの家族も来ていた。次第に女性と若いカッブルもちょっと増えて、最終的には420席の7割ほどが埋まった。なかなかいい線ではないだろうか。

 気になった予告編は、ペンギン3D-CGアニメの「サーフズ・アップ」。だんだん内容がわかってきた。期待できそう。上下マスクの「バイハザIII」はティーザー版のみでそろそろ飽きてきた。

 ピーター・ラビットの原作者の恋を描くらしい「ミス・ポター」。レニー・ゼルウィガーとユアン・マクレガーという組み合せ。女性には面白そうだが、男性にはどうなんだろう。劇場窓口で前売り券を買うと、マイ・バッグがもらえるらしい。

 ちょっと素晴らしいSFXと豪華な配役で期待してしまうのは、上下マスクのファンタジー「スターダスト」。流れ星の美女にクレア・デインズ、魔女にミシェル・ファイファー、海賊にロバート・デ・ニーロ、国王にピーター・オトゥール。これはすごい。劇場窓口で前売り券を買うと、バス・ケースがもらえるらしい。

 ディズニー作品のオンパレードで、タイトルが良くわからないが、ジゼルという女性が主人公で、アニメの世界からNYにやってくると実写になるという不思議な映画「ENCHANTED」(英語サイト)。おもしろそう。というか楽しそう。いかにもディズニーという感じ。そしてそれを逆手にとった設定。見たい。

 さらにもう1本の3D-CGアニメは、子供が主人公のディズニーの王道映画「ルイスと未来泥棒」。テーマは家族捜しらしい。横綱相撲という感じ。

 さらにさらに、ピクサーのロボット3D-CGアニメ「WALL・E」(英語サイト)も控えている。ちょっとキャラクターが「ショート・サーキット」っぽいが、垂れ目の感じがなかなか愛らしい。2008年夏休み公開予定だとか。


1つ前へ一覧へ次へ