Transformers


2007年8月4日(土)「トランスフォーマー」

TRANSFORMERS・2007・米・2時間24分

(日本語吹替版もあり)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.transformers-movie.jp/
(音に注意。入ると画面極大化。重い)


かつて地球にキューブと呼ばれる物体が落下していた。それを追って金属生命体が地球に飛来、中東カタールのアメリカ軍特殊作戦本部を襲い、コンピューターからデータを取得しようとする。同じ頃、アメリカの高校生サム(シャイア・ラブーフ)は父親から中古車を買ってもらい、憧れていた同級生の女の子ミカエラ(ミーガン・フォックス)をデートにさそう。実はサムの曾々おじいちゃんこそが、北極でキューブを発見した本人だったのだ。そして遺品である眼鏡にその時の情報が書き込まれているらしかった。そして眼鏡を求めて金属生命体はサムの前に現われる。

72点

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 驚異の映像。スゴイ。まるで本当に巨大ロボットが俳優たちと一緒に演技しているかのよう。不自然さがまるでないし、違和感もない。これは劇場の大スクリーンで見ないと。車からロボットに変形するさまは驚きの連続。その映像に圧倒される。お金を払う価値のある絵だと思う。

 ただ、一言でいうと子供向けSFコメディというカンジ。ストーリー展開はあちこちで破綻しているように思われ、ツッコミどころ満載。主人公を筆頭に、登場人物のほとんどがアホだ。女性は美女ばかりだがみんな似ていて、いかにも見た目だけでオツム空っぽタイプ。この映画にキャラクターもストーリーもいらないのかもなあ。

 印象としては、同じ監督が撮った「アルマゲドン」(Armagedoon・1998・米)と同じ。科学的にどうとか、実際にはどうかより、勢いで最後まで突っ走り、積み重ねではなくその場のテンションだけでホロリと感動させる。

 日本に触れる部分もあるが、いずれもギャグで、どちらかというと小バカにしている感じで、このへんは6年前に撮った「パール・ハーバー」(Pearl Harbor・2001・米)と一緒か。主人公の車が真黄色の新車になった時「キル・ビル」(Kill Bull: Vol.1・2003・米)の布袋寅泰の曲が流れたのには笑ったが。

 有名な俳優は顔見せ程度。おそらく予算のほとんどは3D-CGというか特殊効果に回されたのだろう。あまり演技力を必要とされる要素もないし、ストーリーで見せる映画でもない。とにかく呼び物はトランスフォーマーそれ自体なのだから。ただ、ヤツらの声や言葉が、どうにも「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」(Return of the Jedi・1983・米)のイウォーク族のようで、漫画チックに感じられた。もっとデジタルっぽいとか、金属っぽいとか、他の案はなかったのだろうか。ミサイルでも破壊できないものをノコギリで切っちゃうのもなあ。

 ダメ男サムを演じたシャイア・ラブーフは、ドリュー・バリモアの「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」(Charlies Angels: Full Throttle・2003・米)や、ウィル・スミスの「アイ、ロボット」(I, Robot・2004・米)に出ていたらしいが、ほとんど記憶にない。キアヌ・リーヴスのオカルト・アクション「コンスタンティン」(Constantine・2005・米)ではキアヌ・リーヴス演じるコンスタンティンの助手を演じていた。このあと3D-CGのアニメ「サーフズ・アップ」の声の出演が控えているらしい。

 アメリカ空軍の黒人兵士を演じていたのは、「ワイルド・スピードX2」(2 Fast 2 Furious・2003・米)のタイリース・ギブソン。ジョン・シングルトン監督の「フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い」( Four Brothers・2005・米)にも出ていた。

 顔見せといった感じのちょい出演の、コミカルな小太りの黒人はアンソニー・アンダーソン。ジェット・リーのアクション「ロミオ・マスト・ダイ」(Romeo must Die・2000・米)やマーティン・ローレンスのコメディ「ビッグ・ママス・ハウス」(Big Momma's House・2000・米)、最近は香港映画のリメイク「ディパーテッド」(The Departed・2006・米)にも出ていた。

 特殊作戦軍黒人兵士を演じたのはプエルトリコ出身のアマウリー・ノラスコ。人気TVドラマ「プリズン・ブレイク」で主人公と同室のスクレを演じた人。途中でいなくなってしまった感じだったが……。

 国防長官は、似たような無能指揮官役の多いジョン・ヴォイト。アンジェリーナ・ジョリーのお父さんだがあまり仲は良くないようだ。なんといっても強烈だったのは男娼を描いた「真夜中のカーボーイ」(Midnight Cowboy・1969・米)。その後もナチ戦犯追跡を描いた「オデッサ・ファイル」(The Odessa File・1974・英/西独)、「帰郷」(Comming Home・1978・米)、傑作ボクシング映画「チャンプ」(The Champ・1979・米)と話題作、大作に出演するも、アカデミー賞主演男優賞を受賞してしまったからか、以後すっかりB級路線に行ってしまう。ちょっと「ブルーサンダー」(Blue Thunder・1983・米)のロイ・シャイダーみたいな感じ。

 FBIのセクター7の特別捜査官シモンズには怪優という感じのジョン・タトゥーロ。コーエン兄弟の傑作「ミラーズ・クロッシング」(Miller's Crossing・1990・米)以降、コーエン組常連という感じ。本作ではかなりコミカルな役どころだが……。

 マイケル・ベイ監督は、こういうシンプルなものが向いていると思う。 だから製作総指揮のスティーブン・スピルバーグもマイケル・ベイに監督を依頼したに違いない。しかも本作は製作総指揮にマイケル・ベイ監督自身も名を連ねている。かなり自由に作ることができたのではないだろうか。

 脚本は、ともに「レジェンド・オブ・ゾロ」(The Legend of Zorro・2005・米)、「アイランド」(The Island・2005・米)、「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・米)の脚本を手がけた、アレックス・カーツマンとロベルト・オーチーの2人。うまいのかヘタなのかわからないが、少なくとも本作は「レジェンド……」レベルだろう。

 残念なのは、元になった日本のタカラの変形ロボット玩具のことはまったく出てこず、それをアメリカに輸入して他の変形玩具と一緒にして「トランスフォーマー」という世界観を作り上げたハスブロ社の名前しか出てこないこと。まあ、統一された世界観というのが大切なわけで、そこから正義のサイバトロンと、悪のディセプトコン(デストトロン)も生まれたわけだし。コミックやアニメになったのもそのおかげなのただが。日本がギャグのネタだけというのは……。

 銃は、特殊作戦部隊がM4A1カービン。おやつが欲しいと駄々をこねるバカまるだしの大統領が乗っているエア・フォース・ワンの中で、あたりかまわず発砲(マイケル・ベイならでは)していたのはP226か。昔の通信室でつかっていたショットガンは、無線機の古さに合わせてウインチェスターのM12のようだった。FBIはグロックだったか……。

 冒頭に登場する米軍の垂直離着陸機は、V-22オスプレーか。大型ヘリはシコルスキーMH-53に、MH-60ブラックホーク。ほかにも最新鋭のF-22ラプター、そしてAC-130ガンシップ、アフガンで使われて有名になった無人偵察機プレデター、タンク・キラーことA-10サンダーボルトIIまで登場。戦車はM1エイブラムスを壊しまくっている。さすがマイケル・ベイ作品、やることが派手。

 一部、ちょっとコピー防止のドットが気になったが、まあこれはしようがない。

 先行公開されていたおかげもあってか、初日の初回、新宿の劇場は60分前についたら30人程度の行列。よかった。中高年は1/3くらいで、20〜30代くらいが多い。女性は1割ほどしかいなかった。オバサンは0。ちょうど窓口が開いて、2列に整列させられるところだった。

 30分前になってようやく開場。暑い日だったので、もう少し早く明けてくれてもよかったと思うが。すでに列の最後尾は見えない。12席×2列のカバーの席も初回だけは全席自由。

 15分前で1,044席の4.5割ほどだったが、それからどどっと増えて最終的には8割ほどが埋まった。

 気になった予告編は……キムタクの「HERO」はもう間違いなくヒットするだろう。イ・ビョンホンがゲスト出演するようで、面白そうなのだが、女性ファンがロビーに置いてあるポスターまで写メするようでは、女性ばかりで大混乱になりそうな予感。ちょっと見に行けないなあ。「バイハザ3」はあいかわらず内容のないティーザーで飽きてきた。

 驚いたのは「ナショナル・トレジャー」の続編が作られるそうで、タイトルが良くわからなかったが「リンカーン暗殺者の日記」というらしい。12/21全世界同時公開だとか。面白そう。上下マスクの「ボーン・シリーズ」第3弾「ボーン・アルティメイタム」ついに絵付きの予告。カットが速くてよくわからなかったが、「2」が酷かっただけに大丈夫なのか。

 さらにビックリは、ロバート・デ・ニーロが監督するというマット・デイモン主演の「グッド・シェパード」。上下マスクの予告によれば、CIA創設の裏話らしい。10月ロードショー。

 「ファンタスティック4銀河の危機」は上下マスクで新バージョンに。とにかくこれも絵がスゴイ。大スクリーンで見ないと。

 久しぶりにドルビー・デジタルの「ブレード・ランナー風」デモがあって、画面がシネスコになってから、期待作「スターダスト」の予告。大画面はやっぱり予告でもスゴイ迫力。また、いい音。ミシェル・ファイファーの魔女メイクがスゴイ。見たい。


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