The Grudge 2


2007年8月11日(土)「呪怨 パンデミック」

THE GRUDGE 2・2006・米・1時間32分(IMDbでは102分、ディレクターズ・カット版108分)

(日本語吹替版もあり)

日本語字幕:丸ゴシック体下、関 冬美/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://ju-on.jp/
(全国の劇場案内もあり)


日本のインターナショナル・スクールに通う女子高生のミユキ(宇野実彩子)とヴァネッサ(テレサ・パルマー)は、いじめているクラスメイトのアリソン(アリエル・ケベル)を仲間に入れる儀式と称して、中に入ると呪われると言われる惨劇のあった屋敷へ連れて行き、押し入れに閉じこめた。すると本当に押し入れが開かなくなり、中から絶叫が聞こえる。そのころ、アメリカのカリフォルニアで、事件に巻き込まれ日本から帰ってこれなくなった姉のカレン(サラ・ミシェル・ゲラー)を連れ戻せと、半ば強制的に母(ジョアンナ・キャシディ)に求められた妹のオーブリー(アンバー・タンブリン)は、いやいや日本にやって来る。カレンが入院している病院で言葉が通じず困っていると、ルポ・ライターのイーソン(エディソン・チャン)が助けてくれる。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
 IMDbでたった4.6点。しかもアメリカ公開版より10分も短い。そしてビックリはするがあまり怖くない。単なる「1」の繰り返し。「3」を作りやすいように舞台をアメリカへ移して終わったということか。美女がたくさん出ているのと、ジェニファー・ビールスを久しぶりに見れたことが救いかも。

 カヤコを「リング」の貞子にしたいのかなあ。すでに俊雄くんはケータイストラップになってしまったし。白塗りパンダメイクがあまりにクッキリと出るので、怖さよりも滑稽さが出てきてしまった。はかなさとかおぼろな感じに怖さがあると思うんだけど。こういうキャラクター化は怖さをどんどん削いでいってしまう。チャップリンじゃないんだから……。紙一重でしょ。

 登場人物の多くが、どうでもいいことは大声で叫ぶのに、大切なことは小声でつぶやくようにしか言わない。逆だろ、普通と思わず突っ込んでしまう。

 もはやカヤコと俊雄くんの悪霊コンビは、対処のしようがない最終兵器状態。「強い怨みに触れると、とりつかれる」と最初に言われてもなあ……。そんな、家に入っただけで呪われるという絶大パワーすら軽く越えて、まさにパンデミック(感染爆発)状態。ちょっとでも関係しただけで呪いが感染し死に至ることになる。家は関係ない。夜も昼も関係ない。人にくっついてどこまでも行く。何でもありだがワクチンだけはない。原因というか、発端はわかっているのに(まったく納得できないが)、止める手段がない。こうなると原爆以上の脅威。人類は白塗り親子によって亡ぶしかない。ここまでやってしまうと、解決編はあり得ないだろう。もし止めるバージョンができたとしても、観客は絶対それに納得できないに違いない。

 オーブリーぱ校長も家に入ったことを聞いて驚く。もう家は関係ないわけで、ちょっとでも関わったらとりつかれるんだから、そんなことで驚くなよ。家に入った人と会っただけで呪われるんだから、それを脅しのネタに使われてもなあ……。アメリカ公開版よりも10分、ディレクターズ・カット版よりも16分も短いので、わかりにくくなっているのかもしれないが……。いちいち上げていたらキリがない。

 ラスト近く、カヤコの実家にアメリカ人のオーブリーが訪ねていき、人里離れた廃屋のようなボロ家で老女を発見して英語で話しかけると、驚いたことに日本人の老婆は流ちょうな英語でスラスラと答える……これも何かの霊能力なのか。それととも祟りか。

 脚本はデビュー作の前作「呪怨」(The Grudge・2004・米)も手がけたスティーヴン・サスコ。この2作が評価されたのか、新作が4本も控えている。日本を舞台にというか、日本で発生した怨念話でありながら、本作はアメリカ人が執筆しているだけあって、キリスト教の宗教色が非常に濃いシン・イーター(罪を喰らうもの)の話になっている。映画で言うとヒース・レジャーの主演した「悪霊喰」(The Sun Eater・2003・米/独)と一緒。これが日本的には馴染みがない。

 オーブリーを演じたアンバー・タンブリンは、TVを中心に活躍している人で、「バフィー〜恋する十字架〜」にも出ていたらしい。ということはサラ・ミシェル・ゲラーとはすでに共演済み。映画ではアメリカ版の「ザ・リング」(The Ring・2002・米)にも出ている。

 アリソン役のアリエル・ケベルは、以前はTVが多かったようだが、「Be Cool/ビー・クール」(Be Cool・2005・米)あたりから劇場作品が増え出したらしい。日本公開作は少なく、いまひとつかも、

 いじめっ子のヴァネッサ役テレサ・パルマーは、オーストラリア生まれの金髪美女。まだデビューして間もないようで、今後の活躍を期待したい。

 その同級生の日本人役ミユキは、宇野実彩子。本作がデビュー作のようだ。よくわからない。

 驚いたのはジェニファー・ビールスで、あの「フラッシュダンス」(Flashdance・1983・米)の美女も、おばちゃんになっちゃったなあと。最近出ていたのは「ニューオーリンズ・トライアル」(Runaway Jury・2003・米)らしいが、気が付かなかったほど。

 そして意固地な母親役のジョアンナ・キャシディ。「プレードランナー」(Blade Runner・1982・米)で戦う女レブリカントを演じていた大人の色気のある女優さん。本作ではメイクもあってか、かなりおばあさんに近い。うーむ、老けたなあと。

 なぜか登場する香港記者は、イケメンのエディソン・チャン。ハリウッド進出をはたしたアンドリュー・ラウ監督の「頭文字[イニシャル]D THE MOVIE」(Initial D・2005・香)で日本人役をやっていた人で、もちろん同監督の「インファナル・アフェア」(無間道・2002・香)にも出ている。でも、なぜこの人? なぜ香港人?

 感心したのはタイトル。血の滴がタイトルになり、ただようように文字が出て、長い黒髪が消していく。そしてサラウンド。あきらかに側方で音がしたり、移動したりする。素晴らしい効果。

 公開初日の初回、新宿の字幕版の劇場は、40分前に着いたら前売りの列にオヤジが1人。当日券売り場に4〜5人。35分前になって待ち列が10人くらいに。暑い日で、どうにか早く入れて欲しい。下は小学生くらいからいるし。

 30分前くらいにになってようやく開場。日差しが強く、それを避けるために横並びになっていたら、どうも当日券の列と混じってしまったよう。整列に来なかったので、そのまま開場で、ちょっと混乱していた。

 最終的には350席に5.5割ほどの入り。年齢層は割と幅広く。下は小学生くらいから、上は白髪の老人までいた。男女比はほぼ半々くらい。暑いので怪談噺で涼もうということか。でもこの作品で涼めるかどうかはちょっと疑問。

 予告編は同じようなもので、「伝染歌」や「TAXi4」など特にどうということも。意外だったのは、本作が「ゴースト・ハウス」(The Messengers・2007・米)の製作会社、“ゴースト・ハウス”が作っていたこと。同じなんだ。


1つ前へ一覧へ次へ