Vexille


2007年8月19日(日)「ベクシル 2077 日本鎖国」

VEXILLE・2007・OXYBOT/エイベックス・エンタテインメント/CCRE/松竹/TBS/小学館/小学館プロダクション/Yahoo! JAPAN・1時間49分


ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル



公式サイト
http://www.vexille.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)


21世紀になって、日本のロボット技術は世界を席巻、人間そっくりのアンドロイドも手がけ始めた。しかしそれを禁じる協定が国連で成立、2067年日本は国連を脱退するとともにハイテクによる鎖国を実施した。2077年、ロボット大手「大和重鋼」の日本人、斉藤(声:大塚明夫)がアメリカでの各国要人暗殺に絡んでいるとの情報を得て特殊部隊SWORDが投入されるが、斉藤は逃亡。しかも斉藤が世界協定で禁じられているアンドロイドであることが判明する。事件の真相を探るため、アメリカはSWORDを日本に潜入させることにする。


71点

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 3D-CGはすごい。もはや実写と見まごうばかり。アニメ的なキャラクターとの融合を測るため、むしろフォトリアリスティックさを落としている感じ。技術はどんどん進化しているのだ。しかし、ストーリーは前作「APPLESEEDアップルシード」(2004・日)と同じで、人間と人間そっくりのアンドロイドの問題を描いている。レベルアップしたとは言え、同じ3Dライブ・アニメという手法を使っているので、印象がものすごくにている。うむむ……。

 本作のプロモーションで声優たちがそろって「ドラマが良い」と言っていたが、だいたいこういうときは逆のことが多いもの。3D-CGやメカばかりが目立って、ドラマは付け足しのような感じ。まして前作と同じテーマとなれば、いくら舞台がハイテク鎖国日本(これはこれで、とても面白そう)であっても、新鮮味がない。やっぱりしっかりしたストーリーがあって、それを伝えるために3D-CGやメカが存在しないと、ゲームのデモ映像とかストーリー・パートを見ているようで、どうにも伝わってこない。感情移入もできない。リアルだけではダメなのだ。だって、明らかな操り人形でも、素晴らしいストーリーと演出があれば、泣けるし笑えるし、夢中になれるではないか。

 キャラクターも前作よりリアルになっているが、むしろ前作の方がアニメっぽくて良かったのでは。本作では微妙なラインで、ロボット工学で言うところの「不気味の谷」に入っているような気がする。悪くはないが好きになれない雰囲気。ロボットはどれもいい雰囲気。魅力的。背景もフォトリアリスティックで良い。つまり無生物は良い。あの尖ったヘルメットは外界が見にくいと思うけど。とにかく人間(アンドロイドだったりもするが)がいまひとつ。「APPLE……」のほうが良かった……。

 キャラクターはどことなく声優の顔に似せてある感じがした。ベクシルは黒木メイサに、レオンは谷原章介に、2人を助けるマリアはベクシルと見分けにくいがこちらの方が美人の気はする。ただ松雪泰子に似ていないような……。サイトーはどこか松田優作をスキンヘッドにした感じで、キサラギは吉川晃司とか哀川翔の雰囲気。スラムのでかいヤツはスティーヴン・セガールみたいだったし。誰かに似ているところが不気味の谷。それと、どうにも眼の焦点というか、視線が合っていないような気が随所にした。やぶにらみ。どこ見てんのよ!!

 モーション・キャプチャーしたという動きは、ゆっくりとしたものや普通の動きならとてもリアルだが、素早い動きになるとどうも違和感がある。とても滑らかなスローモーションで見ているような感じ。

 音楽の多くはとってつけたようで、不自然な印象のものばかり。浮いているというか、溶け込んでいない。しかも唐突。それぞれは有名アーティストに依頼したものでいい出来なのだろうが……。

 銃は未来社会なので架空のものということになるのだろうが、参照にしたモデルはあるようだ。マリアが持っているピストルはマカロフ風。なかなかレジスタンスが持っていそうで面白い。キサラギが持っていたのはCZ系か。サイトウは通好みのハイパワー風。SWORDのメインウェポンはオリジナルっぽかった。

 ジャグという金属生命体のようなものが出てくるが、これは「砂の惑星」(Dune・1984・米)のサンドワームのよう。他の映画でも砂漠のシーンで見たことがあるような気が……。

 アメリカが主体で舞台が日本という設定ながら、全員が日本語というのに、最初は戸惑いがあったが、途中からどうでも良くなった。

 初日の銀座と、2日目の池袋と新宿は舞台あいさつがあるというので避けて、公開2日目の銀座の初回へ。前日に座席を予約しておいて、20分前に着いたら場内には30人くらい。2/3は中高年で、大学生くらいから30歳くらいが1/3ほど。女性は極端に少なく2〜3人。小学生くらいの男の子を連れたお父さんも。スクリーンはビスタで開き。10分前から劇場案内を上映。

 最終的には若い人が増えて、中高年と半々くらいに。それでも好きな人は舞台あいさつ狙いで行ったのだろう、540席に50人くらい。実にゆったりと見ることができた。

 気になった予告は……の前に、予告編はすべてピンが甘く、いらいら感がつのった。上下マスクの「ライラの冒険」は今までと変わりなし。でも見たい。日本映画の上下マスク「ミッドナイト・イーグル」は、劇場窓口で前売り券を買うとカラビナ・キーホルダーがもらえるらしいのだが、公開が11月だからなあ……。しかも内容が予告を見てもわからない。なんか「ホワイトアウト」(2000・日)と戦場のカメラマンの話をくっつけたような感じ。でもイーグルってF15のこと?

 「デスノート」は絵付きになったが、旧作品の絵だけ。撮影開始だからなあ。なかなかタイトルが出ずいらいらしたアニメ「ストレンヂア」は時代劇であることはわかったが、どんな内容かさっぱり。とにかくタイトルは速く出して欲しい。覚えられないではないか。キャサリン・ゼタ=ジョーンズの「幸せのレシピ」は軽いラブ・ロマンスというかラブ・コメのようだが、とうだろう。細木数子とは何の関係もない……はず。

 ロバート・ゼメキスの新作はやっぱり3D-CGのようで、上下マスクの「ベオウルフ」。アンジェリーナ・ジョリーが出ているようだが、撮影したデータを貼り付けたような感じ。もうこの人は実写は撮らないのではないだろうか。「アーサーとミニモイの不思議な国」はだんだん内容がわかってきたら、人形劇のような雰囲気。人間が演じるパートもあるようだが、リュック・ベッソンだしなあ……。


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