Rush Hour 3


2007年8月26日(日)「ラッシュアワー3」

RUSH HOUR 3・2007・米・1時間33分(IMDbでは米版90分)


日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://rh3.jp/



カーター刑事(クリス・タッカー)は格下げとなり、ロサンゼルスで交通整理をやっていたが、こちらもトラブル続き。ちょうどそのころリー(ジャッキー・チェン)は、国際刑事法廷シンポジウムに出席する中国大使ハン(チー・マー)の護衛としてロサンゼルスに来ていた。そして会議の席上、ハン大使が狙撃され、リーは狙撃犯を追う。それを見かけたカーターもまた追跡に加わるが……。


74点

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 驚いた。シリーズ3作目で、まだ同じような構成でここまでおもしろく見せることができるとは。それは、やはり監督が1作目から同じということが大きいのかもしれない。たいていは1作しか作らず、2作目以降は別の監督が手がけて、味が変わってしまうということが多いのに、本シリーズはずっと一貫している。それは見事なほど。細部を気にせず最後まで楽しめるとは素晴らしい。

 バカ騒ぎでもストーリーがちゃんとあって、人間ドラマもちゃんと描かれている。それでお涙ちょうだいというわけではなく、アクションをいっぱい見せてスカッとさせ、しっかり笑わせて楽しくさせる。クリス・タッカーが、カジノで「ジェームズ、ジェームズ・カーター」と007の真似をするのには笑った。「クライング・ゲーム」ネタにも笑わせられる。残念なのは、クリス・タッカーの甲高いマシンガンのようなおしゃべりが癇に障ることと、ジャッキー・チェンのシワが増えて老けてしまったこと。永遠の青年でいて欲しいなあ。

 見事な悪役で印象に残るのは、ジャッキー演じるリーと孤児院で一緒で兄弟だったというケンジ役の真田広之。チャンバラの見事さと身のこなしが軽いのは当然としても、英語がうまい。とても流ちょうなような気がした。たぶんジャッキーをはるかにしのいでいるはず。海外作品の新作も何本か控えているということで、国際スターの仲間入りらしい。今後もどんどん活躍して欲しい。

 女殺し屋を演じたのは、工藤夕貴。さすがにアクションは吹替を使っていたが、なかなかの妖艶な殺し屋ぶり。「SAYURI」(Nemories of a Geisha・2005・米)のおかぼ役はもちろん良かったが、こんな役もできるんだ。

 国際刑事法廷の代表を務めるリュック・ロッソを演じたのはマックス・フォン・シドー。最恐映画「エクソシスト」(The Exorcist・1973・米)で神父を演じていた人で、あの当時から老人という感じだったが、1929年生まれというから今年78歳か。ロバート・レッドフォードのCIAノ陰謀を描いたアクション「コンドル」(Three Days of the Condor・1975・米)の殺し屋が良かった。「ヒマラヤ杉に降る雪」(Snow Falling on Cedars・1999・米)では工藤夕貴とすでに共演している。

 成長して美しい女性になった中国大使の娘ソー・ヤング(何という名前!)には、日本人っぽい相貌のチャン・チンチュー。ツイ・ハークのアクション時代劇「セブンソード」(七剣・2005・香)に出ていた人。今後の活躍が楽しみだ。

 驚いたのは、フランス保安局のレビ役で登場し、銃を持ち込んだなと言ってリーとカーターを拷問する男。なんと映画監督のロマン・ポランスキー。心理的恐怖を描いた傑作ホラー「ローズマリーの赤ちゃん」(Rosemary's Baby・1968・米)が有名だが、最近では「戦場のピアニスト」(The Pianist・2002・仏/独ほか)でアカデミー監督賞を受賞、「オリバー・ツイスト」(Oliver Twist・2005・英/チェコほか)でも高い評価を得ている。こんなギャグをやる人だとは。ある意味必見。

 スキンヘッドにして、後頭部にイレズミ(のメイク)まで入れた(このタトゥー・ステッカーが入場プレゼントだった)美女は、ノエミ・ルノアール28歳。どこかで見たような気がしたが、日本語タイトルがかわいそうだったアクション「マルセイユ・ヴァイス」(Gomez & Travares ・2003・仏)に出ていたらしい。うーむ、ハッキリと覚えていない。フランスとマダガスカルのハーフだそうで、謎めいたエキゾチックな雰囲気。今後も期待したい。

 最初の狙撃シーンで登場するライフルは、ヨーロッパ映画らしく見慣れないものだった。ひょっとするとストレート・プルのブレイザーだったかも。逃げる真田が持っていたのは、シルバー・スライドのP229あたりか。クリス・タッカーが持っているのはM92FSのようだったが、銃身がちょっと短かったのでセンチュリオンだったかも。M84ではないと思うんだけど。たぶんグロックも持っていた。

 ギャングたちはH&KのMP7サブマシンガンを使ったり、銃撃シーンも楽しめる。ラストのエッフェル塔での戦いは、まるで本当に底で撮影したかのように見える。素晴らしい。

 エンディングのクレジットでは、画面半分にお約束のNGシーンが流れる。あいかわらずジャッキーは危ないことをやっているが、それよるやっばり笑わせてくれる。工藤夕貴の投げたナイフのプロップが本当にジャッキーに当たりそうになったりして、えっ、ホントに投げていたんだとあらためて驚いたり。言えない英語の単語があって、何度もNGを出すのがかわいかったりして、お見逃し無く。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由ということで、50分前に着いたら10人くらいの列。ほとんど中高年の男性で、おばさんは1人。40分前、20人くらいになったところで開場。ただし前売り券も当日券との引き換えが必要で、入場には時間がかかる。

 時間があったのでカフェオレをオーダーしたら砂糖入りで、甘いのなんの。大失敗。20分前くらいになるまでBGMなし。ちと寂しい。スクリーンはシネスコで開いていて、10分前から場内案内を上映。

 最終的には400席に4〜4.5割の入り。うーん、イマイチか。男女比は6.5対3.5くらいで男性が多く、ほとんど中高年。この面白さならもっと入っても良いと思うが。

 予告は半暗で上映。黒が良く見えないので夜のシーンがわからない。日本映画「スマイル」は、アイスホッケーでスポ根物で、これって「飛べないアヒル」(Champions・1992・米)? 上下マスクの「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」は面白そう。ちょっと絵がついて期待させる作り。暗殺の影に陰謀があり、世界を驚愕させるものだという。いま劇場窓口で前売り券を買うと、鍵型のパズル・ストラップがもらえるらしい。公開は12/21全世界同時。

 上下マスクの「ファンタスティック4銀河の危機」はついに新バージョン。だんだん具体的な内容がわかるようになってきて、面白そうな雰囲気。同じく上下マスクの「エディット・ピアフ 愛の賛歌」。「TAXi3」(Taxi 3・2003・仏)に出ていた女優さんが眉を全部剃って鉛筆で書いたような線の眉にして本人と似た雰囲気を出そうとしているのに、まず驚かされる。良い作品なんだろうが、重そうな映画で、ちょっと苦手だなあ。

 スクリーンがシネスコになって「ボーン・アルティメイタム」の新予告。予告といえど温室も画質も良く、さすがにシネスコは迫力がある。ただカットが早過ぎで、何が写っているのかわからない。目が回る。


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