Death Proof


2007年9月2日(日)「デス・プルーフinグラインドハウス」

DEATH PROOF・2007・米・1時間53分(IMDbでは米版90分、国際版114分)


日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.grindhousemovie.jp/
(入ったら音に注意。画面極大化。全国の劇場案内もあり)


テキサス州の小さな町で、幼なじみの若い女の子3人は、憂さ晴らしにどんちゃん騒ぎの一夜を過ごすためチリ・パーラーへ繰り出す。そこへ真っ黒のボディにドクロのマークを付けた車に乗ったスタントマンと名乗る男(カート・ラッセル)が現れ、3人に話しかけてくる。そして夜も更け、3人が車で帰る途中、とんでもない事故が起きる。14ヶ月後、同じ車がテネシー州に現れる。


69点

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 退屈。長い。内容なし。途中で何度か気を失いかけた。たぶん狙いなのだろうが、2本立ての1本としてなら、おしゃべりを減らしてもっとカー・アクションを多くし90分くらいにするという条件で、良いと思う。しかし、この長さじゃ2本立てには長い。もともとアメリカではロバート・ロドリゲス監督の作品と2本立て公開用に作られたものだという。それがアメリカ以外では単独上映となってしまった。まあ2時間もの2本は、昔ならいざ知らず、今は長過ぎるのでは。というか、間違いなくこの内容では長い。しかしIMDbでは7.9点という高い評価(90分版?)。信じられない。好みの差か?

 わざと入れた1970年代風のノイズ、フィルムの傷や汚れ、色あせた感じ、上映フィルムが切れてつなぎ直したかのようなヘンなカットつなぎ…… 意図は解るが見づらい。物語が進むに従ってそれらはなくなるように設定されているが、なんとも……。

 とにかく意味のない会話、ガールズ・トークが延々と続く。雰囲気としてなら「レザボアドッグズ」(Reservoir Dogs・1991・米)のアヴァン・タイトル部分の会話のように意義があり、つかみとして良い。しかし、そんなどうでもいい会話を本作のように延々聞かされるとうんざりする。実際のバーでの会話なら聞かないでいられるが、劇場ではそうはいかない。聞くしかない。救いは、汚い言葉で下世話トークをする女の子たちが、みなそれぞれに個性的な美人だということ。ただ、見た目だけで聞くに耐えない。

 どうやら、狙いとしては、1960年代から1970年代にいかがわしい映画を何本も上映していた場末の映画館「グラインド・ハウス」で掛かる映画ということらしい。ちなみにグラインドとはアメリカの俗語でストリップとか女の意味もある。

 のっけから、やたら足を強調して撮っているから、何かあるなと思ったら、そういうことだったか。あまりにリアルでえげつなくて驚いた。監督のクエンティン・タランティーノが足フェチとか、あるんだろうか。たぶんショッキング・シーンのための前振りだと思うのだが。

 美女で気になったのは、最初の女の子のグループにいた活躍しないけど目立っていた金髪の子、ローズ・マッゴーワン。何と実際にはブルネットで、イタリア生まれ。母がフランス人らしい。ハーフはやっぱりキレイ。この作品のために金髪に染めた(脱色した)ようだ。イマイチだった「ブラック・ダリア」(The Black Dahlia・2006・独/米)に出ていたらしいが、あまり良い映画・役には恵まれなかったらしい。

 ダーティ・ダンスを踊るヴァネッサ・フェルリトは、「クィーン」(The Queen・2006・英ほか)で絶賛されたヘレン・ミレンが主演した末期ガンに侵された殺し屋を描いた「サイレンサー」(Shadowboxer・2005・米)で、ターゲットになる重要な妊婦の役をやっていた人で、人気TV番組「24」のサード・シーズンでは、バウアーを逃がす組織の女を演じていた。あくり良い役はないようだが、確かに存在感のある人。

 最初のグループでリーダー格の、アンヨがきれいなモデルというか女優の女の子は、シドニー・タミーア・ポワチエ。あの「夜の大捜査線」(In the Heat of the Night・1967・米)の名優シドニー・ポワチエと、永遠の名作「冒険者たち」(Les Aventuriers・1967・仏)のジョアンナ・シムカスの娘だ。クリント・イーストウッドの監督作品「トゥルー・クライム」(True Crime・1999・米)に出ていたらしいが、覚えていない。

 バーに1人でいて男にナンパされる金髪美女は、ジョーダン・ラッド。人気TV番組「チャーリーズ・エンジェル」のシェリル・ラッドの娘だ。ドリュー・バリモアのラブ・コメディ「25年目のキス」(Never been Kissed・1999・米)に出ていたらしいが……。そして大ガッカリ映画(クエンティン・タランティーノは絶賛したらしい)「キャビン・フィーバー」(Cabine Fever・2002・米)で犠牲者になる無軌道でバカな若者の1人を演じていたが、あの作品では印象に残るも何もないだろう。つい最近ではデヴィッド・リンチ監督の「インランド・エンバイア」(Inland Empire・2006・米ほか)で出ていたとか。たくさんの人が出ていて話が交錯するので、どこに出ていたのかまったく覚えていない。

 後半の女の子グループの一番の美女は、チア・ガールの格好をしているメアリー・エリザベス・ウィンステッド。死神映画「ファイナル・デッドコースター」(Final Destination 3・2006・独/米)で主役を演じていた女の子。「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・米)ではジョン・マクレーンの娘を演じていた。

 グループのリーダー格のゴッツイねえちゃんを演じたのは、ロザリオ・ドーソン。「メン・イン・ブラック2」(Men in Black II・2002・米)で、事件の鍵を握るローラを演じた人。穏やかな印象だったが、本作はスゴイ。ザ・ロックの痛快アクション「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(The Rundown・2003・米)では、ゲリラの女性リーダーを演じていた。ほかにも史劇の「アレキサンダー」(Alexander・2004・米)、ミュージカルの「RENT/レント」(Rent・2005・米)、フランク・ミラーの「シン・シティ」(Sin City・2005・米)など、メジャーな作品にガンガン出ている。公開を控えている作品もたっぷりある。

 運転手役はトレイシー・トムズ。「RENT……」のレズビアン役でブレイクした人で、「プラダを着た悪魔」(The Devil wears Prada・2006・米)にも主人公の友人役で出ていた。女っぽくって、かわいらしい人で、本作でもそんな人の良さが出ていた。

 スタント・ウーマン役のゴッツイ女性は、ニュージーランド出身の本当のスタント・ウーマン、ベーイ・ベル。タランティーノの「キル・ビル」(Kill Bill: Vol.1・2004・米)シリーズでユマ・サーマンのスタント・ダブルを演じていたのだとか。確かにちょっと似ているかも。本作でも、かなり危険なことをやっている。たぶんホントなんだろう。

 チラリと出てくるテキサス・レインジャーの親子は「キル・ビル」シリーズでも同じ役で出てきた、マイケル・パークスとジェームズ・パークスの本当の親子。ここに関連性を持たせたんだ。

 まっ、タランティーノの本人が出てくるのはご愛嬌というところ。みんながスパスパたばこを吸うのは、1970年代の映画を意識しているからだろう。。

 ちなみにガールス・トークで何度も登場する映画が、「ダーティ・メリー/クレージー・ラリー」(Dirty Mary, Crazy Larry・1974・米)、「バニシング・ポイント」(Vanishing Point・1971・米)、「バニシングin60セコンド」(Gone in 60 Seconds・1974・米)など。チリ・パーラーの壁には貴重そうな映画のポスターが何枚も貼ってある。さすが、映画マニアだなあタランティーノは。「ザトウイチ」の看板もあったし。

 出てきた銃は、シルバーのスナブノーズ・リボルバー。ドライバーのトレイシー・トムズが持ち出す。S&Wだったかなあ。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由。45分前に着いたらロビーには15人くらい。女性はわずかに1人。やっぱり中高年ばかり。40分前に開場し、場内へ。使用禁止のイスが2脚あったのだが、間違って座る人が多い。しかし驚いたのは、最後に座った若いヤツは、途中で背もたれに「使用禁止」の張り紙がしてあるのに気付いたのだが、無造作にはがすと丸めて捨ててしまったこと。劇場の人がチェックに来なかったせいもあるが、こんなヤツが多くなった。すぐ開き直る、逆ギレする。

 最終的には183席の6割くらいが埋まった。これは多いのか少ないのか、判断に苦しむところ。

 カーテンが開いて、半分くらい暗くなって始まった予告で気になったものは……同じような作品ばかりであまり印象に残らなかったし、新しいものでもピンと来なかった。そんな中「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」は新しいバージョンになったようだ。ただ、なぜかビスタ。でもちょっと見たい。「大統領暗殺」はドキュメンタリー的にニュース映像を集めて作ったのか、役者が演じているドラマなのか、よくわからない。面白そうなのだが……。


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