The Good German


2007年9月24日(月)「さらば、ベルリン」

THE GOOD GERMAN・2006・米・1時間48分(IMDbでは105分)


日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/ビスタ・サイズ〈1.85に左右マスク1.66ヨーロッパ・ビスタで上映〉(IMDbでは1.37スタンダード、by Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS/モノクロ

(米R指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/thegoodgerman/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)


1945年、ドイツの降伏によりヨーロッパ戦線が終結を迎え、あとは日本が戦っているだけだった。間近に迫った第二次世界大戦の戦後処理を話しあうため、連合軍の各国首脳がポツダムに集結した。その取材のためジェイク・ゲイスマー(ジョージ・クルーニー)がベルリンにやって来た。ところが、ドライバーを務めるタリー伍長(トピー・マグワイア)が何者かに殺害され、容疑者として恋人の娼婦レーナ・ブラント(ケイト・ブランシェット)が浮かんでくるが、レーナはかつてのジェイクの恋人だった。ジェイクが事件について調査を進めると、殺人事件の裏に何かの陰謀が隠されていることが次第に明らかになってくる。


74点

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 良く出来たミステリー……のようだが、ちょっとわかりにくい。話が複雑なのか、字幕の字数制限のためか、全体の流れはわかるのだが、ディテールがわからなかった。

 ただ、雰囲気は1950年代あたりのミステリー、特にヒッチコックのミステリーを彷彿とさせる。ちょっと硬い感じのモノクロ、1.37のスタンダード比率(1.66での上映だったが)、ちょっと大げさなくらいのオーケストラによる音楽、舞台設定、薄く入っているノイズ……などなど。雰囲気を狙ったのは良くわかる。ただ、音楽はちょっと大げさ過ぎたのではないだろうか。絵はそれほどスゴイことになっていないのに、音楽はまるで世界がひっくり返ってしまったかのような大騒ぎ、のような感じがした。浮いてしまっている。

 あたかも昔の映画を見ているような雰囲気は素晴らしいが、それを真似ることは意味があるのか。それがよくわからない。昔は良かった、ということか。別にモノクロでも良いけれど、昔のフィルムを真似しなくても、自分のスタイルで撮ればいいのに。クエンティン・タランティーノの「デス・プルーフ」(Death Proof・2007・)も1970年代をなぞったものだが、真似という感じはしなかった。ただ、あっちがチープな感じを再現し、こっちのほうが面白い作品の雰囲気を再現した分だけ面白いというか……。

 驚いたのは、あの純朴な感じのトビー・マグワイアが、実に嫌なヤツを好演。劇中殺されるが、アイツならしようがないと思わせる。

 意外な出演者では、ブギウギ・クラブのバーテンダーはイギリスのTVアクション「SAS英国特殊部隊」(Ultimate Force・2002〜2003・英)シリーズに出演して強烈な印象を残したトニー・カラン。記録部の責任者にリーランド・オーサーという人が扮しているが、「X-men」(X-men・2000・米)のトードや「スター・ウォーズ エピソード1」(Star Wars Epsode 1・1999・米)のダース・モールを演じた人かと思ったら、あれはレイ・パークという人。良く似ていて間違えるが別人だった。

 ロシア人の将軍、シコルスキーを演じたのは、ラビル・イシアノフという人。「007/ゴールデンアイ」( Goldeneye・1995・英/米)でもロシアの軍人を演じていた。ロシア生まれというから、その意味で貴重な役者なのだろう。

 監督はスティーブン・ソダーバーグ。この人はうまいんだか、並みなんだか良くわからない。「イギリスから来た男」(The Lemmy・1999・米)や「エリン・ブロコビッチ」(Erin Brockovich・2000・米)みたいな作品を撮るかと思えば、意図不明のリメイクの「ソラリス」(Solaris・2002・米)や、「オーシャンズ12」(Ocean's Twelve・2004・米)みたいな気の抜けた作品を作る。うむむ。

 原作はジョゼフ・キャノンの「さらば、ベルリン」(早川書房刊)。ちょっと読んでみたいかも。

 銃はドライバーのトピー・マグワイアがガバメントをさげており、ロシア軍はPPsh41やモシン・ナガン・ライフル。殺人で使われるのは.32口径のロシアのリボルバーらしいが、はたして何だろう。発砲で使われるのはやっぱりガハメント。

 公開3日目の初回、六本木は全席指定なので、前日に座席を確保しておいて20分くらい前に着いたら、まだ開場していなかった。15分前に開場になって場内へ。きどった劇場だが、場内が汚い。初回なのに背もたれにポップコーンのカスやら、髪の毛、シートに飲み物のシミやら、どうなってんだか。カップ・ホルダーも汚れ放題。あまり手にするものを入れたくない感じ。場末の劇場のようだ。

 スクリーンはビスタで開いていて、5分前から明るいままアニメ「鷹の爪」のキャラによる劇場の注意。最終的にスクリーンやや大きめの184席に8割くらいの入りだったろうか。ギリギリに入ってくるヤツが多く、ちゃんと把握できなかった。ほとんど中高年というか、やや高めで、男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。

 気になった予告編は、ゾンビを飼うというとんでもないホラー・コメディ上下マスクの「ゾンビーノ」。こんな劇場でしか上映できない感じ。あとは普通の作品の予告ばかり。

 暗くなって、THXのデモ。さすがに音は良い。


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