日本語字幕:丸ゴシック下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(マスク、Super35、IMDbではシネスコ)/ドルビーデジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタルのみ)
(英18指定、日R-15)
米軍基地のマルドゥーン隊長(ブルース・ウィリス)は、科学者のアビー(ナヴィーン・アンドリュース)と生物化学兵器の取り引きを行なっていたが、トラブルになりアビーは特殊なガスを大気中に放出させてしまう。基地近くのゴーゴー・ダンサー、チェリー(ローズ・マッゴーワン)は仕事の返りガスを浴びて変身したゾンビに襲われ、片足を食いちぎられてしまう。元恋人のレイ(フレディ・ロドリゲス)や保安官(マイケル・ビーン)、女医(マーリー・シェルトン)ら生き残った者たちと、ドライブインに立てこもる。 |
シッコ(病人)と呼んでいるが、これはれっきとしたゾンビ映画。しかも、まるでジョード・A・ロメロが作ったような雰囲気満載で、それをもっとアクション仕立てにして、メキシカンなテイストを加えたと。荒唐無稽で、しかもレイティングなど気にしないでやりたい放題。少しくらいつじつまが合わなくても、理にかなっていなくても勢いで最後まで突っ走る。よくできた超B級ムービー。たぶんアメリカでは爆笑も得て大盛り上がりだったことだろう。日本人的にはちょっと笑いにくいが。 お約束で、1970年代のB級ムービーの雰囲気を再現し、キズ、ノイズをわざと入れ、つなぎもちょっとコマ落ちしていたり、しまいには1巻紛失というお詫びまである。名画館の雰囲気か。ご丁寧に、ダニー・トレホ主演の架空のアクションB級映画「マチューテ」の予告まである。しかも、これが面白そう。M16だ、P99だ、ミニガンだと撃ちまくり。 たぶん、アメリカで同時上映の「デス・プルーフ」( Death Proof・2007・米)の監督クエンティン・タランティーノと、美女の足を1つのモチーフにしようと話し合ったのだろう。本作では、もがれた美女の足に、義足の変わりにM4カービンをくっつけてしまう。一体どうやってトリガーを引いているのか、まったくわからない。しかもM203グレネード・ランチャーを連射しているのだ。単発なのにいつリロードしているのか。それを忘れさせる勢いは見事。 まあとにかく派手な演出で、血は普通の映画の2倍くらい飛び、手がもげるは、足がもげるは、頭が飛ぶは。そりゃもう、やり放題。セリフもあちこちにファッキンがちりばめられている。 1970年代の映画の雰囲気を再現したとは言っても、出てくる銃器は現代風が多い。軍はM4カービンとM16A2も混じっていた感じ。ウィリス隊長はマカロフのような形のピストルを持っていたようだが。ビーン保安官はたぶんパイソン4インチで1970年代の雰囲気。ただ、途中ルガー・セキュリティ・シックスになっていたようだが、これはわざとか。他にはS&Wのチーフ、スパス・ショットガン、ウインチェスターM94、ラストではミニガンも出るが、M16A1も出ていた。 気になったのは、途中でフレディ・ロドリゲスがガバメントでロードエイジェント・スピンを披露したこと。スゴイはスゴイんだけど、どうもスライドをつかんでいたように見えて、だとしたら全くのウソということになる。これはDVDでチェックするしかないなあ。 主役の美女は、ローズ・マッゴーワン。「ブラック・ダリア」(The Black Darhlia・2006・米)とか「スクリーム」(Scream・1996・米)に出ていたらしいが、まったく記憶に無い。主演作もあるようだし、日本でも公開されているようだが、ほとんどミニ・シアターでの公開で見ていない。 ちょっと小柄の主役の恋人役は、フレディ・ロドリゲス。アクションもいけるようだが、今まで、あまり見た記憶がない。あのがっかりした「ポセイドン」(Poseidon・2006・米)とか、肩透かしだった「レディ・イン・ザ・ウォーター」(Lady in the Water・2006・米)の近所の人、「夢駆ける馬ドリーマー」(Dreamer: Inspired by a true story・2005・米)のジョッキ役で出ていた人。こんなアクションがやれるとは意外。 保安官役のマイケル・ビーンは久しぶりでビックリ。1990年代以降、映画に出ていないわけではないが、日本公開された作品にはほとんど出ていない。最近の公開作は「ドラゴン・スクワッド」(Dragon Squad・2005・香)だが、ミニ・シアターでの公開で見ていない。うむむ、なんだか悲しい。 マイケル・パークスは、タランティーノの「キル・ビル」(Kill Bill: Vol.1・2003・米)からずっと「デス・プルーフinグラインドハウス」(Death Proof・2007・米)でも、アール・マッグロウ保安官役で出続けている。 保安官助手、デュピティで登場する長髪の味方を撃ってしまうダメ男は、特殊メイクで有名なトム・サビーニ。意外とゾンビ物によく出演しているが、ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」(Zombie Dawn of the Dead・1978・米/伊)や「13日の金曜日」(Friday the 13th・1980・米)の特殊メイクを手がけていた人。まっ、ある意味ピッタリかなと。 美人女医さんはマーリー・シェルトン。ダコタ・ファニングとブリタニー・マーフィーの「アップタウン・ガールズ」(Uptown Girls・2003・米)や、「25年目のキス」(Never been kissed・1999・米)、「カラー・オブ・ハート」(Pleasantville・1998・米)などの良い作品に出ている。 その夫にふんしたのは、「インビジブル」(Hollow Man・2000・米)の良い研究者を演じたジュッシュ・ブローリン。「インビジ……」以降、なんだかパッとしなかったが……。こんな悪役を演じていたか。でもやっぱり雰囲気は良い人に見えるなあ。 人をゾンビにするガスを開発した科学者アビーは、ナヴィーン・アンドリュースという人。人気TV「LOST」で元軍人のサイードを演じている人だ。映画にも出ていたとは。なんでも、これから公開されるジョディ・フォスターの女版「狼よさらば」(Death Wish・1974・米)の「ブレイブワン」にも出ているらしい。 公開8日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由で、50分前に着いたらロビーには誰もいなかった。まもなく開場になり場内へ、ほかにオバサンが1人。35分前に6人になった。オバサン2人、若い男性1人、ジイサン2人、そして自分。 最終的には183席に4割ほどの入り。下は30代くらいから、上は老人まで。30代くらいはギリギリに増えて1/3ほどになっただろうか。男女比はほぼ半々。途中で見ていられなくなったのか、バアサンが1人出て行った。 半暗ではじまった予告編で気になったのは、「ディープ・ブルー」(Deep Blue・2003・英/独)の監督が撮ったドキュメンタリー「アース」。とにかく雄大で美しい大自然に圧倒される。予告でこれだから、本編はどれほど凄いのか。 3D-CGムービー「サーフズ・アップ」はついに新予告。さらに内容がわかるようになってきた。とにかく絵がスゴイ。「バイオハザードIII」もやっと内容がちょっとはわかる新予告になった。劇場窓口で前売り券を買うと3種類のポストカードがもらえるらしい。でもそんなのいらねーって感じ。 日本映画の「スマイル」は、やっぱりどこから見てもエミリオ・エステベスの「飛べないアヒル」(The Mighty Ducks・1993・米)だよなあ……。そして「オペラ座の怪人」がニュー・プリントで限定公開? なんで今さら? 字幕の翻訳にたくさんのクレームが付いたから? |