Until Death


2007年9月29日(土)「ディテクティヴ」

UNTIL DEATH・2007・米/英・1時間46分(IMDbでは米版101分)


日本語字幕:手書き書体下、神代知子/シネスコ・サイズ(Arriflex)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.detective-movie.jp/
(全国の劇場案内もあり)


2006年、アメリカ、ニューオーリンズ、フレンチ・クォーター地区。麻薬取り引きのおとり捜査で、アンソニー・ストウ刑事(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は、潜入させた同僚の刑事2人を死なせてしまう。さらには、麻薬所持で逮捕された甥のことで見逃して欲しいと言ってきた警官を告発してクビにし、妻ヴァレリー(セリーナ・ギルズ)との約束をすっぽかし、娼婦を脅して犯すような行為を繰り返し、果ては自身が麻薬にまで手を出していた。そんなとき、勢力を拡大しつつあった組織のボス、キャラハン(スティーヴン・レイ)の手下によって銃撃され、植物状態となってしまう。


73点

1つ前へ一覧へ次へ
 わざとパンチ・パーマで、顔色を悪く、しわを濃く、三白眼にして、いかにもチンピラのような相貌で熱演したジャン=クロード・ヴァン・ダムは、これまでのいただけないB級アクションの数々を取り消しにするくらい良かったのではないだろうか。ストーリーや、設定はありきたりで、先も読めるが、見せ方がうまいので、充分楽しめる。

 もうジャン=クロード・ヴァン・ダムは、だめだめオヤジのスティーヴン・セガールのようになってしまったのかと思ったら、まだウェズリー・スナイプスのラインにいたようだ。たまには骨のある良い作品にも出るし、そこそこの大作にも呼んでもらえるようだ。実際、相手役にスティーヴン・レイが出ていなかったら見なかった。スティーヴン・レイが出ているなら、そこそこ予算はかけられているはずだ(と言っても、彼も最近B級作品が多くなっているが)。

 ただ「ディテクティヴ」というタイトルでは、この作品の雰囲気がまったく伝わらない。確かに「Until Death」では主人公が死んでしまうのだろうと想像が付いてしまうが……。たぶんアメリカのプロデューサーや脚本家、監督たちスタッフは、それがわかってもいいという判断だったのだろう。日本のキャッチ・コピーが「ヴァン・ダム死す」なのに、なぜタイトルは……。

 アメリカのメイン・ビジュアルではヴァン・ダムはベレッタM92を持っているのに(本編中でも使用)、日本のポスターやチラシ、前売り券などではなぜかトイガンっぽいガバメントが合成されている。不思議だ。本編では、アンクル・ホルスターにはS&Wのチーフ。SWATは定番のMP5。ギャングはAK。

 美人バーテンダーは、フィオナ・オシャウネシー(正しい読み方不明)。オリバー・ストーンの退屈な史劇「アレキサンダー」(Alexander・2004・米)で看護婦を演じていたらしい。ほかにはあまり映画には出ていない。これがブレイクのきっかけになるか。

 新人刑事はどこかで見た記憶があるのだが、思い出せなかった。役者の名前もわからない。うーん、気になる。

 脚本はダン・ハリスとジェームズ・ポートルース。ダン・ハリスは「X-Men 2」(X2・2003・米)や「スーパーマン・リターンズ」(Superman Returns・2006・米)の脚本を手がけた人。うまいはずだ。ジェームズ・ポートルースはヴァン・ダムの「ダブル・チーム」(Double Team・1997・米)でオフィス・マネージャーをやっていた人。プロデューサーやライターもやっている。

 監督はサイモン・フェローズ。出来の悪い「ローズマリーの赤ちゃん」(Rosemarry's Baby・1968・米)みたいなヘザー・グラハムの「エヴァンジェリスタ」(Blessed・2004・ルーマニア/英)を撮った人。同じ劇場で公開されるとは何たる偶然。その後のウェズリー・スナイプスの「スナイプの大運動会第3弾」ビデオ作品「7セカンズ」(7 Seconds・2005・ルーマニアほか)も同じ劇場だし、その後のヴァン・ダム作品は日本劇場未公開と、B級路線まっしぐらか。でも、本作は良かったのではないかと思う。次の作品も良ければB級路線脱出かも。

 公開初日の3回目、銀座の劇場は45分前でロビーには0人。ぽつぽつとオヤジ以上がやって来て、ほとんどがそのまま場内へ。昔はみんな途中でも入って、次の回の見たところまで見たら途中でも出るという人が多かったからなあ。

 10分前に入場になったが、この時点では男のみ15〜20人くらい。30代以下は数人。女性0。全席自由で、前席の人の頭が気になる劇場なので、前のほうに。スクリーンはシネスコで開いていた。最終的には177席に3〜4割くらいの入り。女性は2〜3人。

 暗くなって始まった予告で気になったのは……上下マスクの「ヒッチャー」は、1985年版のルトガー・ハウアーの佳作「ヒッチャー」の完全リメイクらしい。予告編は面白そう。ただ、プロデューサーがマイケル・ベイというのが気にかかるだけ。

 「オヤジの映画祭」と銘打たれたスティーブン・セガールのB級アクション3連発はどうなんだろう。しかも全部「沈黙」シリーズになっている。掟破りも良いとこ。もう力士のようになって、走れないような人がアクションをやってもなあ……。オヤジ3人で見ると料金が1割引になるらしい。

 「バタフライ・エフェクト2」は、思いっきり外しそうな気もするが、ひょっとしたら面白いかもというところ。難しい。劇場が良いか、料金が安ければちょっとくらいつまらなくても我慢できるけどなあ。

 タイ映画「ロケットマン」は楽しそう。劇場が辛いけど、スッキリしそうだし。


1つ前へ一覧へ次へ