Perfect Stranger


2007年9月30日(日)「パーフェクト・ストレンジャー」

PERFECT STRANGER・2007・米・1時間50分(IMDbでは109分とカット版105分)


日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://www.movies.co.jp/perfectstranger/
(入ると画面極大化。音にも注意)


敏腕スター新聞記者のロウィーナ(ハル・ベリー)は、PCオタクの同僚マイルズ(ジョヴァンニ・リビジ)と組んで、上院議員の同性愛疑惑を調査、ついにその証拠をつかむが上からの圧力でつぶされてしまう。記者を辞めたロウィーナの前に、幼なじみのグレース(ニッキー・エイコックス)が現われ、トラブルになっていることを話した翌日、惨殺死体で発見される。ロウィーナはマイルズに協力してもらい、一番怪しい交際相手の広告代理店の社長ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)を調べるため派遣社員として会社に入り込む。


73点

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 普通に良く出来たミステリー。ただ、派手な広告展開をして敷居を高くしてしまったために、結末がわかってしまったのは残念。「この犯人はありえない」とか「あなたは絶対だまされる」とかいう惹句はもろ刃の剣。慎むべきだと思う。むしろ誰なんだろう、容疑者が多いとか。謎を広げる方向で展開すべきでは。先の言い方では犯人像を絞り込んでしまう。

 小説でも、映画でも、「ありえない犯人」「絶対だまされる犯人」とは普通は3パターンしかない。主人公自身か、被害者本人か、まったく関係の無い第3者か。このほかにアガサ・クリスティが容疑者全員犯人という手もやったが……。第3者はあまりにフェアじゃないのでほとんどないとすると、主人公自身か、被害者本人ではないか。

 冒頭の事件から、後につながるうまい展開で、鉄壁のミステリーを構築。見せ方も実にうまい。ハラハラドキドキ。広告のおかげで犯人の予想はつくが、確かにラストはショッキング。納得も行く。みんながかわいそう。ただ、あまり後味は良くない。日本人的にはたぶん、ありだと思うが、アメリカ人的にはこの結末はなしだろう。それで、5.3点という中間的な評価となったのではないだろうか。

 ハル・ベリーの幼なじみを演じているのは、人気TVドラマ「スーパーナチュラル」の悪魔の手先メグを演じているニッキー・エイコックス。ちょっとしか出てこないが、アクの強さで印象に残る。やっぱり人気番組に出ると映画にも呼ばれるということか。

 ジョヴァンニ・リビジはいかにもの配役だが、さすがにうまい。「閉ざされた森」(Basic・2003・米)なんか、似たような役どころだったけれど、抜群のうまさだったもんなあ。

 ちなみに、出てくるノートPCはバイオ。ソニー・ピクチャーズだからなあ。さすが気を遣っている。

 監督はジェームズ・フォーリー。マドンナの「フーズ・ザット・ガール」(Who's That Girl?・1987・米)やレイチェル・ウォードの「アフター・ダーク」(After Dark, My Sweet・1990・米)、TVの「ツイン・ピークス」、アル・パチーノの「摩天楼を夢見て」(Glengarry Gren Rose・1992・米)などを撮っているいわば名人。最近ではチョウ・ユンファの「NYPD15分署」(The Corruptor・1999・米)、ダスティン・ホフマンがギャングを演じた「コンフィデンス」(Confidence・2003・米)で、さがにちょっと息が切れたか。本作は上手さが光っていると思う。

 脚本はトッド・コマーニキ。本作に目撃者役で出演しているらしいが、監督もしたり、ライターもしたり、役者もしたり……プロデューサーとしての仕事が一番多いようだ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は50分前に着いたらオバサンが3人と若いカップルが1組。40分前に10人くらいになって、30分前、上のドアが開いてとりあえず階段下へ。3〜4分して開場になり、全席自由の場内へ。この時点で30人くらい。男女比は4対6くらいでやや女性が多いか。30代以下は5〜6人。

 この劇場は広めなのだがスクリーンが低く、前の席の人の頭が邪魔になる。イスがカップ・ホルダー付きの新しいものになったが、見えにくさはかわらない。スクリーン下に字幕が出ると見にくいことがある。真ん中あたりに座ると避けようがないので、両端にシフトした方が良い。そのため、一度座ってから移動する人が多く、中には3カ所くらい席をとってから、次々座って確かめる人もいる。

 最終的に763席に7割くらいの入り。これはTV・CMのおかげか、それともTV・CMのせいか。良くわからない。予告で非常口ランプが消えるのは良いが、通路のフットライトが明る過ぎ。これも少し落として欲しい。

 気になった予告編は、日本映画の「犯人に告ぐ」。誘拐事件を劇場型捜査で解決するという話らしい。「ナンバー23」は思わせぶりな謎がいっぱいで、気になる。見たい。ジム・キャリーが笑い無しで挑むようで、サスペンス・ミステリーらしい。ラテン語の文字数は23文字で、遺伝子は両親から23個ずつ受け継ぎ、ジュリアス・シーザーの刺し傷は23カ所で……23という数字が深く関わっていると。見たい。

 ちょっと予告が見飽きてきたが、ニコール・キッドマンの「インベーション」は怖そうでいい。ちょっと、どこかで見たような気がするのは残念だが、とにかくニコール・キッドマンがキレイ。またまた冒険ファイタジーの「ウォーター・ホース」は、恐竜の話のようで、それがネス湖の恐竜になったというような予告編。上下マスクの「キングダム」は早く見たい。もう予告は良いって、10/13から公開か。

 同じく上下マスクの「アイ・アム・レジェンド」も同じ予告で飽きてきた。12月公開でまだ先だから、そろそろ違う予告を見たい。銃器反対派のジョディ・フォスターの「ブレイブワン」は女版「狼よさらば」のような感じで、面白そう。押井守監督の「スカイ・クロラ」は青空と雲だけのティーザーで、まったく内容は不明。「僕は今、若い人たちに伝えたいことがある」というフレーズが気になる。


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