Catacombs


2007年10月6日(土)「カタコンベ」

CATACOMBS・2007・米・1時間34分(IMDbでは米版100分)


日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(なぜかin Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.catacombs.jp/
(叫び声に注意。全国の劇場案内もあり)


情緒不安定でときどき精神安定剤を飲んでいるヴィクトリア(ジャニン・ソサモン)は、姉に招かれてパリに向かう。くたくたで着いた途端、ボロアパートに連れて行かれ、ここは連続殺人鬼が住んでいたから安いんだと聞かされる。そして今夜はパーティーだと、姉は嫌がるヴィクトリアを無理矢理カタコンベ(地下墓地)で開かれる非合法イベントへ連れて行く。


55点

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 実に退屈なホラー。94分が長い。CMを含んだ30分のTVドラマならOK。短ければそこそこ面白いと思う。このオチも許せる。

 ホラーで退屈とは最悪だ。内容何もなし。1時間半の間、若い女性の悲鳴と何分かごとに大きな音がするのを聞いていたい人か、ほぼ半分はゾンビのように怖い女の泣き顔と、あと残り半分の何も写っていない真っ暗な暗闇にお金を払っても良いという人向き。

 だいたいの人はオチがわかるはず。しかも夢オチと一緒。最低な結末だが、欧米(というか米では?)サプライズ・パーティとかどっきりカメラが流行っているようだから、日本人とは感覚が違うのかもしれない。これは短編向けのネタだろう。IMDbでは驚異の6.6点という高評価。びっくりした。ある意味、拍手したいオチだけど。

 ボクに言わせると、登場人物はバカばっかりだし(アメリカ映画だが、フランスってこんなに若者の脳が腐っているんだろうか?)、脚本も構成から酷く、カタコンベという設定も生かされていないし、テーマすらないように思える。演出も、個々のカットは悪くないのに、まとまってシーンになると退屈で、単調。リズムなんてかけらも感じられない。セットもいかにも作り物。使っている音楽が示しているように、大音響のロックをいきなり始めてそのままいきなり終る感じ。すべてフォルテ。強弱とかバランスなんて全然無し。Aメロ、Bメロ?「そんなの関係ねー」とばかりに繰り返すだけ。これを企画したプロデューサーの神経を疑う。

 ほぼ94分間泣くか叫んでいる主演は、ハワイ生まれのエキゾチックな感じのジャニン・ソサモン。傑作中世活劇「ロック・ユー!」(A Knight's Tale・2001・米)でお姫さま役を演じた人。同じプライアン・ヘルゲランド監督、ヒース・レジャー主演の「悪霊喰」(The Order・2004・米)にも出演している。せっかくの美女が、本作ではまったくの台無し。泣きまくっているから、顔はパンダ・メイクになっているし……。

 アホな姉のキャロリンは、グラミー賞を受賞したロック歌手Pinkことアリシア・ムーアなんだとか。役があまりに酷いいので、ブスにしか見えない。のっけから失礼な女で、観客はコイツが最初に死ねばいいのにと思ってしまうほど。最後まで憎たらしい。なぜこんな映画に出たんだろう。

 脚本と監督を担当したのは、トム・コーカーとデヴィット・エリオットの2人。トムはコミックやイラストで有名な人らしいが、長編劇場映画は初めてとか。デヴィットは過去に、キアヌ・リーヴスが悪役を演じた「ザ・ウォッチャー」(The Wacher・2000・米)や「フォー・ブラーズ 狼たちの誓い」(Four Brothers・2005・米)の脚本を書いた人。どうしてあれらの作品が書けて本作がこうなってしまうのか、理解に苦しむ。

 プロデューサーは、表記順で行くと、まず製作総指揮がピーター・ブロック。傑作刑事映画「NARCナーク」(Narc・2002・米)や、話題となった傑作ホラー「ソウ」(SAW・2004・米)、痛快アクションの「アドレナリン」(Crank・2006・米)などの製作総指揮を務めた人。しかしガクンとレベルが落ちた続編「CUBE 2」(CUBE 2・2002・米)や「CUBE ZERO」(CUBE ZERO・2004・加)、「ソウ2」(SAW II・2005・米)、「ソウ3」(SAW III・2006・米)も手がけている。当たり外れ半々か。

 そして2番目に出てくるプロデューサー、マーク・バーグ。感動野球映画ながら外してしまったケヴィン・コスナーの「さよならゲーム」(Bull Durham・1988・米)、面白かった学生アクション「トイ・ソルジャー」(Toy Soldiers・1991・米)、感動友情ものの「マイ・フレンド・フォーエバー」(The Cure・1995・米)、バイオレンス・アクションの「ボディ・カウント ヤバイ奴ら」(Body Count・1996・米)、デンゼル・ワシントンの「ジョンQ―最後の決断―」(John Q・2002・米)などを手がけている。そして2004年から「ソウ」シリーズを手がけ、本作に至る。うむむ。

 プロデューサーのオーレン・ノウルズは、マーク・バーグとエボリューション・エンタテインメントを立ち上げた人だそうで、1999年からマーク・バーグとほとんど同じ作品に関わっている。

 グレッグ・ホフマンもプロデューサーだが、2005年に亡くなっているそうで、本作はグレッグ・ホフマンに捧ぐと出る。2003年からエボリューション・エンタテインメントに加わったらしい。「ソウ」の企画を持ち込んだのがこの人。マークとオーレンを説得したらしい。本作は企画段階で関わっていたのだろう。

 公開初日の初回、新宿の劇場は変更になっていて、40分前に着いたら、若いカップルが1組のみ。30分前に中年男性2人と若い男性2人が加わって、22〜23分前に開場になった時には10人くらいに。

 最終的には406席に30人くらいの入り。これではすぐ小さい劇場に移されそうだ。まっ、この出来ではしようがないと思う。オバサンがちょっと増え、男女比は6対4くらいで男性が多く、男性の2/3くらいは若い人たちだった。

 カーテンが開き、暗くなって始まった予告で気になったのは、「SAW4」が公開されるらしい。もう良いかなあという感じだが……。内容は全く不明。首謀者のジグソウも死んだはずなのに。ヒッチコックの裏窓みたいな「ディスタービア」は新予告。どうだろう。

 「キングダム―見えざる敵―」も新予告になったが、なかなか面白そう。期待してしまう。ジェイミー・フォックスのメイン・ビジュアルの銃のレバーが逆に付いているではないか。銃だけ裏焼きか。

 それにしても、予告からセンターがピンボケ。周辺は合っていたので、本編が始まると字幕はクリアに読めたので、それへど気にならなかったが、こんなことで良いのか。いまはプロの映写技師が写していないのだろうか。フィルムが危険物ではなくなったため、資格が入らなくなったとか……。プロ意識というのを見せて欲しい。お金を獲るんだから。


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