Resident Evil: Extinction


2007年11月3日(土)「バイオハザードIII」

RESIDENT EVIL: EXTINCTION・2007・仏/豪/独/英/米・1時間34分(IMDbではアルゼンチン版93分、米版95分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、太田直子/シネスコ・サイズ(OTTO NEMENZ、マスク、Super 35、Moviecam Cameras)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(仏12指定、豪MA指定、独18指定、英15指定、米R指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/residentevilextinction/index.html
(音に注意。入ると画面極大化。ポップアップ可でないと不可。全国の劇場案内もあり)

T-ウィルスはアンブレラ社の予想をはるかに超えて、全世界に感染し、地球は荒廃し砂漠化していた。わずかに感染を免れて生き残った人々は、アンデッドに襲われないため、1個所にとどまらず、常に旅を続けていなければならなかった。アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は廃虚となったモーテルで、コンボイを組んで移動する一団がT-ウィルスに感染したカラスの大群に襲われているところに遭遇、アリスの中の何かが覚醒し、超能力を発揮して彼らを助ける。そして、唯一、汚染されていない地域として噂されるアラスカを目指すことになる。しかし、同じ頃、アンブレラ社はアリスのクローンを作り、アンデッドをコントロールする手段を開発していた。そして、オリジナルのアリスを監視衛星を使って追跡していたのだった。

72点

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 良くできた近未来ゾンビSF冒険アクション映画。多くのゾンビ映画と、近未来SF映画と、ホラー映画のいいところを合体させて作り上げたという感じ。ツボを押さえた作りで、しっかり楽しませてくれる。第3話として、それまでの話に決着をつけて見せるが、まだアンブレラ社の幹部は生き残っており(日本なのに中国みたいだったが)、続編の可能性を残して終る。

 良く出来ているのだが、展開のスピーディーさを重視したあまりなのか、感情がいまひとつ伝わってこなかった。もっと逃げる人たちの焦燥感や絶望感、アリスの困惑と使命感、仲間との連帯感や、死の悲しみがあってもいいのに、それらは事務的に片づけられ、スポットが当てられない。涙も血も流れるのに、人が死んだら墓を作って次に移動するだけだ。セリフも非常に少ない。

 世界観はちゃんと「バイオハザード」を受け継いではいるものの、テイストがかなり「マッドマックス」(Mad Max・1979・豪)というか、ガソリン不足など「マッドマックス2」(Mad Max 2・1981・豪)っぽい。さらには元祖ジョージ・A・ロメロが最近作った「ランド・オブ・ザ・デッド」(Land of the Dead・2005・米ほか)にも似ている。カラスの襲撃シーンは、ヒッチコックの「鳥」(The Birds・1963・米)そのものという感じ。

 また、前2作では全然気にならなかったが、本作でミラ・ジョヴォヴィッチ(インタビューを見たら本人はミラ・ヨヴォヴィッチと発音していた)の女っぽいところが見えてしまった。今回はなぜか、銃以外にも2本(2挺?)のグルカ・ナイフを使うのだが、それを投げる姿が腰が入っておらず、いわゆる女投げなのだ。たぶんいままでは撮影アングルや編集がうまく、それがまったくバレていなかったのだ。本作ではそれが出てしまった。そうか、やっぱりミラはそんなに男っぽくなかったんだ。アクションのうまさは実際にあるにしても、演出や編集のおかげが大きかったんだ。ちょっとガッカリ。

 しかも、たぶんミラだけアップの大部分がデジタル処理(ぼかしか?)されて顔が分厚いファンデーションを塗ったようにディテールがなくなっている。これはどうなんだろう。「ウルトラヴァイオレット」(Ultraviolet・2006・米)じゃないんだから。一歩間違えば「ベオウルフ」になってしまう。ギリギリ。

 前作からのキャラとしては、アリスのほか、特殊部隊の隊員だったカルロス(オデット・フェール)、ラクーン・シティでタクシーの運ちゃんだか何かをやっていた黄金のデザート・イーグルを持つLJ(マイク・エップス)、アンブレラ社のアイザック博士(イアン・グレン)というところ。もちろんゾンビ犬も出てくる。美人のジルはどこへ行ってしまったんだろう。

 新キャラとしては、コンボイを率いる女ボスのクレア(アリ・ラーター、グロック使用)、ドラマを生みそうなキャラのKマート(スペンサー・ロック)らがいるが、いずれもキャラが立っておらず、物語の中で生かしきっていないのでほとんど印象に残らない。

 アリス(ミラ)が使っている銃はポスターのウージーSMG2挺とは違って、パラ・オードナンスの1911オートの2挺拳銃。ハンマーがスライドに埋まるくらい短いタイプで、ダブル・アクション・トリガー、シルバー。ここまでなら、たぶんP14.45LDA。これにフレーム先端にレールが付き、リアサイトはノバック・サイトになっていたから、ナイト・タック.45というヤツか。背中にはソウド・オフショットガン(モスバーグM500/590? 前作でも使っていたし)。ノーブラTシャツは映画の定番。

 カルロスが持っていたサブマシンガンは、箱形っぽいウージーのような形状だったが、たぶんIMDbのスチールから察するにポーランド、ラドム社のPM98サブマシンガン(画像はこちら。真ん中くらいの右のサイレンサー付きがそれ)。なぜ、こんなマイナーな銃が……。スクリーン初登場。

 塔に登って狙撃するカウボーイハットの男は、イギリスの軍用ライフル、L85A1のようだった。ほかにもシルバー・スライドのUSP、ウインチェスターM94など。

 銃器を担当したのは、前作から引き続きチャールズ・テイラーという人。コナミのゲームを映画化したかなり怖いホラー「サイレントヒル」(Silent Hill・2006・米ほか)や、ジョン・カーペンター監督のカルトの名作をリメイクした「アルサルト13要塞警察」(Assault on Precinct 13・2005・米/仏)など、結構かわった銃を選ぶ人らしい。

 監督は、ラッセル・マルケイ。オーストラリア出身で、ミュージック・ビデオの世界手では有名な人らしいが、恐ろしかった「レイザーバック」(Razorback・1984・)で映画でも注目された。その後「ハイランダー/悪魔の戦士」(Highlander・1986・英)シリーズを手がけ、何本か話題作を手がけた後、ボク的には面白かったがいまひとつパッとしなかった「タロス・ザ・マミー/呪いの封印」(Taros, The Mummy・1998・米)以降、TVの仕事が中心になり、本作で再び劇場映画の世界に復活した。

 脚本は、ミラ・ジョヴォヴィッチの旦那さんで、第一作目の監督でもあるポール・W・S・アンダーソン。暴走する若者を描いた低予算映画「ショッピング」(Shopping・1993・英)で注目され、大予算映画を作るようになった。ボクはSFホラー「イベント・ホライゾン」(Event Horizon・1997・米)がおもしろかったが、これもマイナーな扱い。もっと監督して欲しいなあ。

 銀座の劇場はシネアルタ4Kというソニーのデジタル方式での上映。たぶんフィルムでは表現できなかった蛍光のような色も出せ、明るい感じがした。とてもクリアでキレイ。音はどの方式になるんだろう。

 公開初日の初回、銀座の劇場は60分前に着いたら、すでに30人ほどの行列が。45分前くらいに案内があったものの、寒い日だったのに窓口が開いたのは30分前になってから。下は中学生くらいからいたが、ほとんどは高校から大学くらいの若い男性。ゲーム・ユーザーと被っているんだろうか。女性はオバサンが2〜3人。オヤジは1/4くらい。列は最後尾が見えなくなっていたが、たぶん60人以上。劇場の向かいには関係者らしい12〜13人の一団。

 20分前にやっと開場になった。遅い。入場プレゼントでスクラッチの付いたポストカードが配られた。ロビーでは女の子がいて、ゲームが流されていたが、デモはなし。何だったんだろう。初回のみ全席自由で、17席×2列のカバーの席もOK。スクリーンは70mm比率くらいで開き。

 最終的には654席に7割りくらいの入り。まあまあのスタートと言っていいのではないだろうか。

 スクリーンがビスタになって、証明が半暗になって始まった予告編では……劇団ひとり原作の「陰日向に咲く」は、なんだかよくわからなかった。ちょっと重い感じ。織田裕二主演、森田芳光版「椿三十郎」(上下マスク)は、セリフからカット割りまでが黒澤明のオリジナル版と同じように感じて、疑問符いっぱい。なんでリメイクなんかするんだろう。仲代達矢の役が豊川悦司で、加山雄三が松山ケンイチ……うむむ。豊川悦司が血を拭き出すんだろうか。カラーにはなったものの……。

 最大の驚き情報は、スタローンがまた柳の下企画。何と「ランボー」。20年ぶりのシリーズ第4作は「ランボー 最後の戦場」とか。還暦で肉体アクションかあ。今度はどこの国をメチャクチャにするんだろうか。しかも監督もやるらしい。イタイ……。

 スペインの無敵艦隊を描くらしい「エリザベス ゴールデン・エイジ」はケイト・ブランシェットが主演というから、「エリザベス」(Elizabeth・1998・英)の続編だろうか。

 3D-CGアニメのペンギン・サーフィン映画「サーフズ・アップ」は新予告に。


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