Disturbia


2007年11月10日(土)「ディスタービア」

DISTURBIA・2007・米・1時間44分(IMDbでは105分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、栗原とみ子/ビスタ・サイズ(1.66で上映。オリジナルは1.85。with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタルEX、dts-ES、SDDS)

(米R指定からPG-13指定へ)

公式サイト
http://www.disturbia.jp/top.html
(入ると画面極大化。音に注意。全国の劇場案内もあり)

17歳の少年ケール(シャイア・ラブーフ)は、1年前に自動車事故で父を失ってから何をやってもうまくいかない。そんなある日、スペイン語の授業で父のことを言われ思わずカッとなって教師を殴ってしまう。ケールは訴えられ、裁判所の命令によって足首に監視用のGPS発信機をとりつけられ、機械から半径30m以内で許可が出るまで謹慎処分となる。毎日やることがないケールは、やがて自宅の周りの家の除きを始める。そんなとき、隣に美しい少女アシュリー(サラ・ローマー)の一家が引っ越してくる。そして、逆の側の隣家の1人暮らしの男が、連続殺人鬼に似ていることに気付く。

69点

1つ前へ一覧へ次へ
 ジョークTV-CMどおりの映画。変なCMを打たなければならないのは、他に訴求ポイントがないから。そして、一言でいえば、これはアルフレッド・ヒッチコック監督の傑作「裏窓」(Rear Window・1954・米)。ほとんど同じ内容と構成。それをバカな登場人物で今風に置き換えると、こんな映画になる。ただアメリカでは評価が高いようで、IMDbでは7.1点。どうだろ。

 キャストは有名俳優が2人ばかり出ているものの、あまり活躍しないし、他の出演者も魅力に欠け、パッとしない。見どころはクライマックスの犯人との戦いのみ。それもズバ抜けて素晴らしいわけではない。ほとんどは退屈な内容。うむむ……。

 足首に監視装置というのは、「裏窓」の足の骨折と同じ。楽しみがノゾキくらいしかないことと、逃げられない状況へ追い込む設定。グレース・ケリーが演じた恋人役は、引っ越してきた美少女で、ちゃんとブロンド。レイモンド・バーが演じた裏の家の男が殺人を犯すシーンなどそっくりで、同じように死体のようなものを引っ張り出してくる。ジェームズ・スチュアートが使っていたカメラの代わりに、現代らしく小型ビデオ・カメラとMacBook Proを使う。オリジナルでは恋人を隣家に忍び込ませるが、本作では友人の韓国人を潜り込ませる。

 ただ、のぞく側の登場人物がアホばっかりで、同情できない。「裏窓」は事故で骨折したのだから、それだけでも同情できる。教師を殴って謹慎など、もってのほか。しかも毎日ゲームざんまいやらで、しまいにのぞきでは言い訳の余地無し。相手が凶悪な犯罪者でも、自業自得。そして韓国人の友だちも、あまり仲良くしたくないキャラクターだし、引っ越してくる女の子もグレース・ケリーの魅力には及ばない。

 有名俳優は、怪しい男を演じるデヴィッド・モースと、母親役のキャリー=アン・モスだけ。彼らが出ていなかったら、間違いなくマイクロ・シアターでの公開か劇場未公開映画となっていただろう。デヴィッド・モースは最近ブルース・ウィリスの「16ブロック」(16 Blocks・2006・米)に悪徳警官役で出ていた。キャリー=アン・モスは「マトリックス」シリーズが有名。

 ブロンドの女の子アシュリー役サラ・ローマーは、「呪怨パンデミック」(The Grudge 2・2006・米)に出ていたらしいがあまり記憶にない。

 韓国人の友人役は、アメリカ生まれのアーロン・ヨー。TVで活躍していたようだが、なかなかのイケメンで、こんな役でなければもっと印象が良かったはず。がんばって欲しい。

 殴られた教師のいとこという警察官は、ホセ・パブロ・カンティージョ。マイクロ劇場での公開だったためDVDで見たのだが、とても面白かったジョン・ステイサムりノン・ストップ・アクション「アドレナリン」(Crunk・2006・米)で、冷酷非道なギャングの中ボスを演じていた人。さすが役者、まったく印象が違う。「アドレナリン」じゃ、完璧、危険人物に見えたもんなあ。「クライシス・オブ・アメリカ」(The Manchurian Candidate・2004・米)にも出ていたらしいけど、これもマイクロ・シアターでの公開で見ていない。

 冒頭のアバン・タイトルで主人公の父を演じているのは、傑作アクション・ミステリー「デジャヴ」(Deja Vu・2006・米)で、デンゼル・ワシントンの消えたATFの同僚を演じていたマット・レクレイヴン。なんか、こんなちょい役が多い人。

 問題の原案と脚本を手がけたのは、クリストファー・ランドンという人。1975年生まれというから32歳の若手。まだ5〜6作品しか手がけていないようだが、「裏窓」をどうとらえているんだろうか。ぜひ聞いてみたい。

 監督はD・J・カルーソという人。なかなか面白かったアンジェリーナ・ジョリーの刑事もの「テイキング・ライブス」(Taking Lives・2004・米)を監督した人。そうか、だからラストの戦いが面白かったのか。ただ、酷い脚本はどうにも出来なかったということか。ジョニー・デップの傑作アクション「ニック・オブ・タイム」(Nick of Time・1995・米)では製作総指揮を務めているらしい。おなじジョン・バダム監督のアクション「ドロップ・ゾーン」(Drop Zone・1994・米)でもプロデューサーをやっているから、ジョン・バダムと親しいのかもしれない。

 本作はプロデューサーに問題があるのかもしれないが、製作総指揮の1人に「ゴーストバスターズ」(Ghostbusters・1984・米)の監督のアイバン・ライトマンがいる。最近では「Gガール破壊的な彼女」(My Super Ex-Girlfriend・2006・米)を監督している。まっ、当たり外れが大きい人かも。

 公開初日の初回、たぶん混まないと予測して新宿の劇場は35分前についたら、案の定オヤジが2人だけ。25分前に開場となって、場内へ。この時点で5人。全員オヤジ。雨の日だったので、早く開けて欲しかったが、この人数ではしようがない。だいたいあの冗談みたいなTV-CMじゃ誰も期待しないよなあ……。劇場予告は違ったが。

 最終的には350席に25人ほど。この少なさにはビックリ。映画の内容よりよっぽど怖い。若いカップル1組と、上映ギリギリに入ってきた若い女の子2人組をふくめて女性は6人。若い男性は3〜4人。あとは中高年。悲しい。

 暗くなって始まった予告は……なんとチャウ・シンチーと柴崎コウが共演する。タイトルは「少林少女」……と思ったら違っていて、「UDON」(2006・日)の本広克行監督で、フジテレビと香港の合作だとか。サッカーをラクロスに置き換えた、コメディらしい。香港の監督で香港主体で製作だったら良かったのに……。

 あの感動作「レッド・バイオリン」(The Red Violin・1998・加/伊)の監督フランソワ・ジラールの新作は、日本も製作に参加し、役所広司や中谷美紀がマイケル・ピットやキーラ・ナイトレイと共演しているという上下マスクの「シルク」。絹の道ということか。

 「エリザベス ゴールデン・エイジ」ちょっと「ジャンヌ・ダルク」(The Messenger・1999・仏/米)みたいで、戦う女のイメージの予告でカッコよかったが、はたして。またまたシルベスタ・スタローンの続編で、しかも自ら監督するというシリーズ第4作、上下マスクの「ランボー 最後の戦場」はミャンマーというかビルマで大暴れらしい。短過ぎてよくわからない。すごいアクションらしい。

 はるか昔から続いた光の闇の戦いと出たので、いよいよ「ナイト・ウォッチ」の続編公開かと思ったら、またまた魔法系ファンタジーで、「光の六つのしるし」だった。どうなんだろう。「エラゴン 遺志を継ぐ者」(Eragon・2006・米)みたいなことにならないように願うばかり。

 シリーズ第2作「AVP2」は小さな町の住民の人口5,476人からタウント・ダウンされていくという予告。期待したい。チラッとしか出ないのでわかりにくかったが、どうも「24」のミシェルを演じた日系のレイコ・エイルスワースが出ているよう。

 上下マスクの「SAW4」はやっぱり怖そう。というか気持ち悪そう。どうしてつながるのかだけがわからない。見ればわかるのだろうか。


1つ前へ一覧へ次へ