Saw IV


2007年11月17日(土)「ソウ4」

SAW IV・2007・米・1時間33分(IMDbでは95分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://saw4.jp/
(全国の劇場案内もあり)

死亡した事件の首謀者ジグソウ(トビン・ベル)の死体が司法解剖され、胃の中からロウで固められたマイクロ・カセットが発見される。ホフマン刑事(コスタス・マンディラー)が呼ばれ、テープが再生されると、ジグソウの声で「ゲームは始まったばかりだ」というメッセージが流れる。しばらくして、ホフマン刑事とリッグ隊長(リリク・ベント)が率いるSWATチームがある建物に突入し、行方不明となっていたケリー刑事(ディナ・メイヤー)の惨殺死体を発見する。まもなくFBIのストラム捜査官(スコット・パターソン)とペレーズ捜査官(アスィナ・カーカニス)が到着し、事件の首謀者ジグソウに、他にも協力者がいると推理し、元妻のジル(ベッツィ・ラッセル)を尋問する。その頃、リッグ隊長は何者かに襲われ、気が付くとジグソウからのゲームへの招待のビデオが流れる。エリック刑事(ドニー・ウォールバーグ)とホフマン刑事が縛りつけられていて、助けたいなら執念を捨てろという。そしてタイマーがカウントダウンを始める。

71点

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 映画としては、あまり悪いところのないまとまった作品だと思う。よく出来ている。感情も動かされるが……なによりMAXの残酷さ。冒頭の解剖シーンからしてスゴイ。とても言葉で言い表せないくらいエグイ。そして死に至らしめる仕掛けの奇抜さ。それが売りの映画なのだから、それは成功している。

 すでに第1作目で謎を明かしてしまっているので、謎解きのミステリーとしてはもはや成立しない。今回はジグソーが死んだのに、なぜ事件は終らないいのか、という部分に謎を残したわけだが、結局は残酷な殺し方と仕掛けを見せるだけになってしまっている。つまり、誰が真犯人でもいいのだ。観客の興味はそこに向かわない。ラストで真犯人が明かされても、「ソウ」シリーズのパターンだし、驚きもない。ただ謎を残して終らないことは大切なことだから、ちゃんとした結末は必要。キッチリと落ちはつけて見せたと。

 謎を深め驚きを強めるために、時間軸がバラバラにされているので、シンプルな話はわかりにくくなっている。こうしないと真犯人がわかってしまうということもある。映画が終る時に、時間軸がバラバラだったことが明かされる。観客は当然同時進行だと思っていたわけで、これはあまりフェアとは言えないが、真犯人捜しがメインのミステリーではないので、まあ、許せるか……。

 ただ、歯車がいっぱいある仕掛けだと、歯車に何かをはさんでやれば止まるはず。着ているシャツでも良い。どうして登場人物たちはそれをしないのか。その疑問が湧くようだと、演出ミスかも知れない。

 ちゃんとシリーズ3作目の終わりをしっかりと取り入れているあたりも、マニアにとっては嬉しいところだ。しかしDVDなどで見直している人はわかるとしても、劇場でほぼちょうど12カ月前(allcinemaによれば2006年11月18日公開)だとあまり覚えていない。最近流行りのプロモーションで、劇場公開直前に前作を地上波TVで放送してくれればわかるのだが……。

 ただ、この終り方、このシリーズをまだまだ続ける気らしい。「まだ始まったばかりだ」……常套句ではないか。「SAW V」は2008年に公開されるらしい。現在プリ・プロダクション中とか。

 あまり有名な役者さんは出ていない。ほとんどの登場人物は惨殺されるので、顔の売れた人が出たがるとは思えない。1作目のダニー・グローバーくらいだろう。犯人のジグソウを演じているトビー・ベルも脇役の人。刑事のエリックを演じるドニー・ウォールバーグは2作目から出ているもののやっぱり有名ではない。キャスティングはリアルさを高めるための狙いでもあるのだろう。

 最初の仕掛け人であるジェームズ・ワンとリー・ワネルは製作総指揮に回ってしまっている。脚本にさえ関わっていない。1作目からのプロデューサー、マーク・バーグやグレッグ・ホフマン、オーレン・クルーズといった人たちが動かしているらしい。2人が監督したり脚本を手がけた新作はあるようだが、日本公開はされていない。

 SWATは定番のMP5を装備。珍しいのは、リモコン操縦するキャタピラ式の爆弾処理ロボットが出てくるところか。モニターで監視する謎の男はS&WのM686の6インチか。SWATの隊長リッグはベレッタM92FSを使う。FBI捜査官はグロック。銃器を担当したのはAl Vrkjanという人。アル・ヴァルキヤンと読むのだろうか。タクティカル・アドバイザーも務めている。「バイオハザードIIアポカリプス」(Resident Evil: Apocalypse・2004・加/英)でガン・ハンドラー、「アサルト13要塞警察」(Assault on Precintct 13・2005・米)で武器係を務めている。コナミのゲーム原作のホラー「サイレントヒル」(Silent Hill・2006・米ほか)でも武器係を務めている。

 公開初日の初回、新宿の劇場は35分前に着いたら6人ほどの行列。驚いたことにオヤジ0。20代後半くらいの若い人ばかり。列が道路に延びていっても案内が無く、1回飲料水会社のトラックが横切っていって危なかった。

 20分前に開場となって、当日の窓口も開いた。この時点で15〜16人。若い女性は2〜3人。全席自由の劇場。ただ。入口近くに喫煙スペースがあり、ドアが開いているから煙がどんどん場内に入ってきて煙いこと。ちゃんと強力な排煙装置を設置したところを喫煙スペースにしないと意味がないと思う。

 最終的には406席の3.5割りほどが埋まった。1割りくらいが女性で、ほとんどは高校くらいから大学、25歳くらいまでの男性。中高年は女性より少なかったかも。意外だ。

 暗くなってカーテンが開いて始まった予告は……とにかくタイトルがなかなか出ない予告が多いので、覚えられない。決して逢えない2人というコンセプトのラブ・ストーリーらしい「東京少年」と「東京少女」は、後者がなぜか女の子の携帯が明治時代に届いて会話をするという、「イルマーレ」(The Lake House・2006・米)というかオリジナルの「イルマーレ」(時越愛・2001・韓)と「オーロラの彼方へ」(Frequency・2000・米)を合わせたような話。どちらもオジサンには向かないかも。なんだかNHK少年ドラマ・シリーズといった印象だったが……。ビデオ予告らしく、あまり画質がよろしくなかった。

 他人の傷を自分に移すことが出きる超能力を持った少年の「KIDS」は、乙一原作で、傷とキッズを掛けたタイトルらしいが……。どうなんだろう。「アース」はとにかく映像が驚異的で、美しい。ドラマではなくドキュメンタリーというところが悩むところだ。日比谷スカラ座のスクリーン・サイズとクォリティなら感動できること間違いないだろう。うむむ。

 「ランボー4 最後の戦場」は長いバージョンでの予告。正直、これもどうだろ、という感じ。オリジナルはただ「RAMBO」で、最後の戦場は日本で勝手につけたものだろうから、さらなる続編が作られないことを望むばかり……ということにならなければいいが。日本公開予定は2008年6月28日とか。長いよ!

 「エリザベス ゴールデン・エイジ」は無敵艦隊がすごくて、ケイト・ブランシェットがジャンヌ・ダルクみたいになっている。アクション系だったら意外性もあって面白いが……。文芸大作になっていないことを祈りたい。いずれにしても、眉毛のない顔は怖い。で、シリーズ第2作「AVP2」の予告は期待させる。早く見たい。

 まあ、とにかく携帯を点灯させるヤツが多い。音はしなくても明る過ぎて迷惑だ。どうにかして欲しい。


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