The Number 23


2007年11月23日(金)「ナンバー23」

THE NUMBER 23・2007・米・1時間39分(IMDbでは98分、米R指定版95分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(マスク、by Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.number23.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

動物管理局のウォルター・スパロウ(ジム・キャリー)は、2月3日の自分の誕生日にネッドという名札をつけた迷い犬の捕獲のため、妻アガサ(ヴァージニア・マドセン)との待ち合わせに遅れてしまう。待っている間にアガサは古書店で目立っていた自費出版本の「ナンバー23」という本屋を買い、夫のウォルターにプレゼントする。読み始めたウォルターはたちまち本の虜となり、自分との共通点を多く発見し23という数字にのめり込んでいく。

76点

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 23にまつわるミステリーから、「ダ・ヴィンチ・コード」(The Da Vinci Code・2006・米)のような宗教的な陰謀とか、心霊的なミステリーなんかに行くのかと思った。ところが、思い過ごし的なパラノイアという方向で話が始まる。嫌だなあと思っていると、話は次第に過去の殺人事件に向かっていく。ほお、意外な展開。ちょっとデヴィッド・リンチの「ツイン・ピークス」的な世界という雰囲気もあるし、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」(Memento・2000・米)的世界でもある。

 個人的には23をもっと掘り下げて欲しかった。ほとんどは1814番地を1+8+1+4とするのではなく、18+14=32、32は23の逆数といったようなこじつけ的なもので、あまり納得がいかない。映画の中でもいっているように、こういう都合の良いような計算の仕方をすれば、何の数字でもありえるし、中でも23はそうなりやすい数字らしい。人間の染色体の数が46で、分裂する時23になるとか、マヤのカレンダーで世界週末の日が12月23日だとか、そういう23をもっと突っ込んでくれれば……。

 自殺した父が使っていた銃はPPK/Sのようだった。

 ジム・キャリーがお得意のギャグを封印して、普通の男がパラノイアに陥っていくさまを熱演。鬼気迫る感じで確かに怖い。また、息子の恋愛にも気遣いを見せるなど、いいオトウサンぶりも披露。少なくともギャグを封じた「エターナル・サンシャイン」(Eternal Sunshine of the Spotless Mind・2004・米)よりは良い。しかし、笑いはジム・キャリーの個性であり、新しい路線を模索しているのだろうが、個性を封印してしまうことはないと思う。結局おもしろいのは「ブルース・オールマイティ」(Bruce Almighty・2003・米)だったり、「ディック&ジェーン復讐は最高!」(Fun with Dick and Jane・2005・米)だったりする。「マジェスティック」(The Majestic・2001・米)はそういう意味では奇跡のような映画だろう。

 妻を演じたヴァージニア・マドセンは、あの怪優マイケル・マドセンの妹。「ファイヤーウォール」(Firewall・2006・米)でハリソン・フォードの奥さん役をやっていた人。兄のせいだろうか、戦う強い女のイメージがある。

 小説の中に出てくるブロンドの美女は、リン・コリンズ。実際は映画のようなプラチナ・ブロンドではなく、ダーク・ブロンドのよう。最近ではアル・パチーノがシャイロックを演じた「ヴェニスの商人」(The Merchant of Venice・2004・米)、韓国映画のハリウッド・リメイク版「イルマーレ」(The Lake House・2006・米)でキアヌにほれている建設会社の同僚を演じていた。

 主人公の昔の恋人を演じていたのは、ローナ・ミトラ。ベスト・セラーの映画化「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)で、FBI局員を演じていた人。

 脚本を書いたのはファーンリー・フィリップスという人。UCLAの学生時代に書いた脚本が注目され、本作が脚本家としてのデビューになったらしい。すでに次作が製作中で、ブライアン・シンガーが監督する新作も準備に入ったらしい。どれもスリラー系で、今後の活躍が期待される。

 監督はジョエル・シューマッカー。最近では「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera・2004・米/英)を手がけている。キーファー・サザーランドとの仕事が多いようで、吸血鬼映画の「ロストボーイ」(The Lost Boys・1987・米)、死後の世界を体験する「フラットライナーズ」(Flatliners・1990・米)、そしてアクションの「フォーン・ブース」(Phone Booth・2002・米)と3本で仕事をしている。

 公開初日の初回、銀座の劇場は45分前に着いたらオヤジ5人にオバサン1人。30分前に開場になって、全席自由の場内へ。この時点で15〜16人。少し若い人も増えた感じ。

 最終的には360席の3.5割りほどの入り。男女比は6対4で男性が多く、20代までの若い人は2割りいるかというところ。女性の方が若い人は多かった。

 チャイムが鳴って暗くなって始まった予告は……「アイ・アム・レジェンド」は上下マスクで新予告。だんだん内容がわかるようになってきた。「茶々 天涯の貴妃」はやっと絵付きの予告になったが、主演の元宝塚男役のトップ・スター和央ようかが、良くも悪くも宝塚の男役丸出しで、違和感あり過ぎ。舞台ならいいとしても、お姫さま役にも、時代劇にも、映画にもそぐわない感じ。もっと美人だと思ったが、かつらとかが合わないのか微妙だ。

 上映前に、宇宙版のドルビー・デジタルのデモあり。スクリーンがシネスコになったら中央部分のピンが甘くなって……そのまま開始。ちゃんと合ったのだろうか。


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