Beowulf


2007年12月1日(土)「ベオウルフ 呪われし勇者」

3D版での上映もあり

BEOWULF・2007・米・1時間54分(IMDbでは113分)

日本語字幕:手書き書体下、太田直子/シネスコ・サイズ(デジタル、70mm IMAX版、D-Cinema 3D版もあり)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/beowulf/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

西暦507年のデンマーク。フロースガール王(アンソニー・ホプキンス)が治める王国はグレンデールと呼ばれるモンスターの襲撃に悩まされていた。そこへ勇者ベオウルフ(レイ・ウィンストーン)が部下の戦士14名と共に現われ、激戦の末モンスターを倒す。褒美として、黄金の竜の角を授かったベオウルフだったが、その後、母のドラゴン(アンジェリーナ・ジョリー)が現われて城下を焼き払ったためため、王の参謀アンファース(ジョン・マルコヴィッチ)の家に代々伝わる家宝である刀を借り、単身ドラゴンの棲む洞窟に向かう。ところが、ドラゴンは美女の姿で現れると、宝剣と竜の角と子供を授けてくれれば、おまえを国王にしてやると申し出る。

71点

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 話はおもしろいが、超リアルな3D-CGのキャラクターが馴染めないというか不気味で感情移入できない。人間が演じていれば……。印象としては、同じ監督の作品「ポーラー・エクスプレス」(The Polar Express・2004・)をリアルさでレベル・アップして、エロ・グロを盛り込んで大人向きにした感じ。印象としてはそっくり。

 髪の毛、ヒゲ、産毛……とにかく表現は細かく超リアルになった。声も一流の俳優たちが演じているから情感たっぷり。動きも俳優たちが演じ、表情までもコンピューターに取り込んだという、モーション・キャプチャーの上を行くパフォーマンス・キャプチャーが使われているから自然になった……はずだが、やはり「ベクシル2007日本鎖国」(2007・日)と同様に、ロボット工学で言うところの「不気味の谷」に入っているような気がする。人間ではない異質なものを本能が敏感に感じ取って、しきりに信号を送ってくる。同様のモーション・キャプチャーを用いたフランスの「ルネッサンス」(Renaissance・2006・仏ほか)のディテールを大胆に省略した白黒2値の平板な3D-CGの方が人間を感じ、感情移入できたのと対照的。

 登場人物はアンソニー・ホプキンスやジョン・マルコヴィッチやアンジェリーナ・ジョリーそっくり(演技のパフォーマンスはしているのだろうか。声だけかも)。たぶん架空の人物で描いた「ポーラー・エクスプレス」のキャラクターに説得力がなかったから、実在の人物にしたということなんだろうが、ハッキリいってしまうと、木偶人形にしか見えない。人を真似てはいるが、魂がない感じ。まさに木偶人形の糸操りを使った「ストリングス 〜愛と絆の旅路」(Strings・2004・デンマーク)の方が人らしく見えた。そして泣けた。つまり、リアルと人間らしさはあまり関係ないのではないだろうか。

 監督はもうCGでしか撮らないと言ったという、ロバート・ゼメキス。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(Back to the Future・1985・米)で大ヒットを飛ばしてからはプロデューサー業が多かった人。「さまよう魂たち」(The Frighteners・1996・米)はさすがにピーター「ロード・オブ・ザ・リング」ジャクソン監督だけに良かったけど……。

 脚本はニール・ゲイマンとロジャー・エイヴァリーの2人。ニール・ゲイマンは「もののけ姫」の英語版脚本を書いた人で、なかなかの冒険活劇「スターダスト」(Stardust・2007・米/英)の原作も書いている人。うまいわけだ。ロジャー・エイヴァリーは恐ろしいアクションの「キリング・ゾーイ」(Killing Zoe・1993・米/仏)の脚本と監督を兼ねた人で、恐ろしかったホラー「サイレントヒル」(Silent Hill・2006・米/日ほか)の脚本も手がけている人。これはおもしろくなるだろう。

 公開初日の初回、何と映画の日ということで、一般当日1,000円。これは普段映画を見ない人も来るかもしれないというので、前日に銀座の劇場の座席を確保して20分前の9時頃着いたら、すでに開場済み。長蛇の列ができていたので心配したが、どうやら「続・三丁目の夕日」の列だったようだ。

 最終的に540席に4〜4.5割りほどの入り。ちょっと時間が早かったのを考えて、多かったのか少なかったのか微妙なところ。ほとんどは中高年で、男性。20代くらいは1〜2割り程度。女性も1割りくらいしかいなかった。

 10分前くらいから始まった劇場案内に続いて始まった予告では……上下マスクの「アイ・アム・レジェンド」や「紀元前1万年」はもう見るとして、「ビー・ムービー」は、ハチミツのひみつの話だとか。おもしろそう。ただ「シュレック」と「マダガスカル」を作ったドリームワークスの作品というのがちと引っかかるが。

 ブラッド・ヒットが主演する「ジェシー・ジェームズの暗殺」は西部開拓時代のアウトローを描いたものだが、内容が良くわからなかった。絵はすごい。S&Wのスコーフィールドを使っていたようだった。また公式サイトはない模様。それにしても、早くタイトルを出して欲しい。何本も予告があるから、覚えるのが大変なのだ。

 スクリーンがシネスコになって「ライラの冒険」。音もすごい迫力だし、絵も大迫力。おもしろそう。ミュージカルの「スウィーニー・ドッド」は怖そう。かなり気持ち悪いかも。


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