I am Legend


2007年12月15日(土)「アイ・アム・レジェンド」

I AM LEGEND・2007・米・1時間40分(IMDbでは米版101分)

米ではIMAX版もあり

日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/iamlegend/
(入ったら音に注意。日本コンテンツに全国の劇場案内もあり)

2009年、クリピン博士が発明したウイルスをクスリとして使いガンを克服したが、3年後そのウイルスが原因で人間が凶暴化。しかもそれが空気感染することから、人類はほとんど滅亡してしまった。しかし偶然にも免疫を持っていた軍の研究者ロバート・ネビル博士(ウイル・スミス)は、幸運にも生き残り、愛犬のサムとともに、ニューヨークの自宅に隠れ住み、治療薬の開発を続けていた。そして、同時に、全世界に向けて自分が生き残っていることをラジオで放送し続けてもいた。感染した人類は変貌を遂げ、紫外線の下では生きていけなくなっており、夜になると襲いかかって来るのだった。

74点

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 思っていた以上に面白い。ちゃんとSF映画になっているし、アクションもたっぷり。意外などんでん返しで、ちょっとした感動と驚きもある。ただ、タイトル的にはアイ・ビケイム・レジェンドだが。

 とにかくすごいのは荒廃したニューヨークの絵。日本人でも知っているようなニューヨークの街角の道路に雑草が生え、大きなビルはラッピングされ、車は乗り捨てられ、1人っこ1人いない。これをリアルな絵で見せてくれる。

 まあ話としては、一言でいえばゾンビもの。紫外線に弱いのはドラキュラだが、ゾンビ犬までいるのは「バイオ」の影響か。もともとの話はチャールトン・ヘストンの「地球最後の男オメガマン」(The Omega Man・1971・米)なんだとか。原作はリチャード・マシスンの「地球最後の男」(I am Legend)だと。実はそれも2回目の映画化で、最初はヴィンセント・プライスの「地球最後の男」(The Last Man on Earth・1964・伊/米)(未)。本作を見ると、2本とも見直してみたい気になった。

 IMDbによれば、1994年にリドリー・スコット監督とアーノルド・シュワルツェネッガーでビデオ化される予定だったのが、予算がオーバーとなって流れてしまったらしい。さらに2002年には、あのマイケル・ベイ監督がウイル・スミスで映画化を試みるも、「バッドボーイズ2バッド」(Bad Boys 2・2003・米)を作ることになったのだとか。ある意味、良かったかも。まあ、単に逃げるだけということなら「アイランド」(The Island・2005・米)みたいな映画になっていたかも知れないが……。

 本作がリメイクで、どこかで見たことがあるようなシーンがあるのは、フランシス・ローレンス監督の前作「コンスタンティン」(Constantine・2005・米)が「エクソシスト」(The Exorcist・1973・米)や「ターミネーター2」(Terminator 2:Judgement Day・1991・米)に似ていたのと共通する。もともとはTVから有名ミュージシャンのミュージック・ビデオを手がけるようになり、それが認められて「コンスタンティン」へつながったらしい。だから絵作りはうまい。説明部分を大胆に省いてしまったのも、そんなところからきているのではないだろうか。

 ウイルスに犯されると凶暴化するのは良いとしても、なぜ紫外線で体から煙が出てしまうのか。その辺の説明は一切ない。実際に色素性乾皮症という病気もある。しかし紫外線で煙では、ヴァンパイアと同じで、あまりに安直ではないのか。ここだけが気になった。あとは、どの程度、人間性と言うか、知能が残っているのかわからないのはリアルだし、それはわからない方が怖さにつながっていい。

 もちろん主演のウィル・スミスはいい。うまい。自然な演技だ。「幸せのちから」(The Pursuit of Happyness・2006・米)みたいなシリアスものも、暗くなりすぎずに演じられるところが良い。そしてこんな想像力を必要とされるSFも、「バッドボーイズ」(Bad Boys・1995・米)のようなハード・アクションも演じられる。

 しかし、それより感動させられ印象に残ったのは、シェパードのサム。劇場でエンドロールをチェックするのを忘れたら、さすがにIMDbにも出ていなかった。アニマル・トレーナーがうまいのか、素晴らしい演技。

 冒頭のTVインタビューでクリピン博士を演じているのは、クレジットはないがエマ・トンプソンか? どこかで見たことがある人なんだけど。

 脚本とプロデュースを担当しているのが、アキバ・ゴールズマン。子供を守る女弁護士を描いた「依頼人」(The Client・1994・米)とか、人種問題を描いた法廷もの「評決の時」(A Time to Kill・1996・米)の脚本家だ。数字にとらわれた数学者を描いた「ビューティフル・マインド」(A Beautiful Mind・2001・米)ではアカデミー脚色賞を受賞している。うまいわけだ。

 主人公は多くの銃をロッカーに持っているが、メインで使うのはM4カービンにフラッシュライトと海兵隊が制式採用しているトリジコンのACOG4倍オプティック・サイト付けたもの。サイドアームはベレッタのM9。使っているPCはMacだ。家にはゴッホの絵。好きな曲はボブ・マーレー。娘のマーレーの名もそこから取っている。ボブ・マーレーは世の中を歌と愛で見たそうとしたと。世の中を悪く使用するヤツは1日も休まないからと、撃たれた2日後にステージに立った話などを、あとで登場する女性に話して聞かせる。これが面白かった。

 その女性アナが持っていたのはH&KのUSPのように見えたが……。

 日本の公式サイトでは主人公がしていた腕時計はハミルトンのカーキ・トワイライトということになっているが、映画の冒頭で大写しになった時計は明らかに違うデザイン。アナログとデジタルと半々になっているものだった。どういうことだろうと調べてみると……どうも両腕に時計をはめているらしく、大写しになる左手のはナイフで有名なスイス・アーミー・ヴィクトリノックスのマルチ・センサー・ウォッチSportech 4000(アメリカで395ドルほど、映画ではロゴが消されている)で、右手がハミルトンのカーキ・トワイライト(日本で12万円ほど)ということらしい。ヴィクトリノックスはお金を払わなかったんだろうなあ。

 公開2日目の初回、45分前に付いたら前売りの列は1人だけだったので、安心してコーヒーを買ってから40分前くらいに戻ったら、なんと、当日券の窓口が開いていて、列は35〜40人くらいになっていた。ほとんど中高年で、女性は3〜4人。

 35分前くらいに開場になって、ペア・シート以外は全席自由の場内へ。最終的には1,064席に6.5割りほどの入り。これはまあまあか。上映近くになって若い人も増えて、下は中学生くらいからになったものの、だいたい全体の2割り程度。

 カーテンが上がって明るいまま始まった予告は……どれも早くタイトルを出してずっと出しておいて欲しいと思うが……大統領暗殺を8つの視点から描く「バンテージ・ポイント」は、3月公開らしい。いま前売り券を劇場窓口で買うと、携帯の画面をブロックするシールがもらえるらしい。

 上下マスクのネス湖の怪獣と少年の心の交流を描くらしい「ウォーター・ホース」は新予告に。そして、いよいよ「ナルニア国物語第二章カスピアン王子の角笛」の予告が開始。上下マスクで、第一章から1300年後のナルニア国の話らしい。こちらは5月末公開。いま劇場窓口で前売り券を買うと、エコ・バッグがもらえるらしい。

 ローランド・エメリッヒ監督の上下マスクの「紀元前一万年」、絵がすごいのに、場内が明るくて暗いシーンが良くわからない。日本語サイトはまだないようで、アメリカのサイトの予告はすごい迫力。面白そう。アメリカは3月公開、日本は4月公開。

 画面がシネスコになって、暗くなって始まった予告は「ライラの冒険」はすごい迫力。見慣れたものでも、シネスコでデジタル・サウンドだとレベルが違う。

 押井守監督の「スカイ・クロラ」はまだ以前と同じ。内容全く不明。どんなものなんだろう。

 驚いたのは、カー・レース・アニメの「マッハGoGoGo」のハリウッド実写版。左右マスクの「スピード・レーサー」は豪華キャストで、しかもアニメの雰囲気が出ていた感じ。内容はまださっぱりわからないが、絵がポップでキレイ。ヘルメットと車体にあのMのマーク。日本語サイトはまだないらしい。予告編はこちら

 ジョニー・デップのホラー・ミュージカル「スウィーニー・ドッド」は新バージョンの予告。なかなか凄そう。かなりダークな感じ。


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