Surf's Up


2007年12月16日(日)「サーフズ・アップ」

SURF'S UP・2007・米・1時間25分

日本語字幕:丸ゴシック体下、藤澤睦実/ビスタ・サイズ(1.85、デジタル)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)一部の劇場はソニーCineAlta 4Kデジタル・シスタテムで上映

同時上映
「チャブチャブスのクリスマス・プレゼント」
The Chbbchubbs Save Xmas・2007・米・5分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広平/ビスタ・サイズ(1.85、デジタル)/ドルビーデジタル、dts、SDDS


公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/surfsup/index.html
(入ったら音に注意。画面極大化。全国の劇場案内もあり)

世界の片田舎、南極に住むイワトビペンギンのコディ(声:シャイア・ラブーフ)は、小さい頃南極を訪れた伝説のプロ・サーファー、ビッグZ(声:ジェフ・ブリッジス)から貝殻のペンダントをもらって以来、サーフィンに明け暮れ、いつかビッグZのようなプロ・サーファーになることを夢見ていた。そんなある日、ラッコのプロモーター、レジー(声:ジェームズ・ウッズ)は自分が取り仕切るサーフィン・ワールド・カップのビッグZ杯の出場者を世界中から集めるため、部下の水鳥スカウトのマイキー(声:マリオ・カントーネ)を派遣する。そしてマイキーは南極にもやって来る。

83点

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 驚いた。まるで本物のような海、波、砂……美しい風景。かわいらしいキャラクターたち。そしてノリのいいご機嫌な曲の数々。まさに正統派スポ根、青春物語、サーフィン映画。単なるお子様向けのCGアニメというわけではなかった。たっぷり笑わせて、感動させて、楽しい気分にさせてくれる。年末に見るのにはピッタリかも。

 素敵な曲とサーフィンというのは「ビッグウェイブ」(Big Wave・1984・米/日)のノリと似ている。見終わればサーフィンがしたくなる。そして、人生を語る映画でもある。子供にはそこはちょっとわかりにくいかも。

 ただ、型通りの青春モノ、スポ根ものではある。どこにでもいくらでもあり、これまでにも数えきれないくらい、色んな映画で使われたパターンのオンパレード。特に新しいところは何もないと言っていいほど。つまり、それほど定番の良いネタであり、ならば問題はいかに新しく面白く見せるかの勝負。それに成功している。

 見せ方の工夫のひとつは、取材班がドキュメンタリーを取材しているように構成していること。撮影の舞台裏も見せつつ、それをギャグに使い、手あかの付いたネタに新鮮味を与えている。

 人生訓のようなものも多く含まれている。「あきらめずに自分の道を探せ」とか「勝者は道を見つける」とか「勝者はゴールが明確」とか「お金や勝負じゃないんだ」……などなど。そして自ら道を見失っていたという元チャンプは、ボードを作る原木を前に、日本の職人のようなことを言う。「ボードはこの木の中に埋まっている。それを掘り出せ」。うーむ、子供には難しいのでは。

 声の出演は、主人公コディに実写マンガ「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)やのぞき映画「ディスイタービア」(Disturbia・2007・米)のシャイア・ラブーフ。

 かつてのチャンプ、ビッグZは、興行で失敗し映画会社をつぶして話題になった西部劇「天国の門」(Heaven's Gate・1981・米)や、感動SF「スターマン/愛・宇宙はるかに」(Starman・1984・米)のジェフ・ブリッジス。声だけで彼と解り、それでいて隠遁生活を送るチャンプの姿が浮かぶのだから、さすがの演技。説得力がある。ちょいと「ビッグ・リボウスキー」(The Big Lebowski・1998・米)な感じか。

 ラッコのプロモーター、レジーの声は、あの強面のジェームズ・ウッズ。とてもラッコの声からは想像できなかった。悪役が多いからかもしれないが、こんなコミカルな声ができるなんて。「ヴィデオドローム」(Videodrome・1982・加)とか「カリブの暑い夜」(Against All Odds・1984・米)とか、「サルバドル/遥かなる日々」(Salvador・1986・米)の人だからなあ。

 ヒロイン、ライフ・セイバーの声は、ズーイー・デシャネル。見ていないのだが、「あの頃ペニー・レインと」(Almost Famouse・2000・米)で注目されたらしい。傑作コメディSFの「銀河ヒッチハイク・ガイド」(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy・2005・米/英)にも出ている。なかなか良い声で、落ち着いたヒロインにはピッタリ。これから公開される「テラビシアにかける橋」や「ジェシー・ジェームズの暗殺」にも出ているらしい。今後期待の女優さん。

 1番のコミカルな役であるチキン・ジョーの声は、12/22から公開の「俺たちフィギュアスケーター」でウィル・フェレルの相手役を演じているジョン・ヘダー。スピルバーグ・プレゼンツ・アニメ「モンスター・ハウス」(Monster House・2006・米)でも声を当てていたらしい。

 ライバルのタンクの声はサンドラ・ブロックのアクション・コメディ「デンジャラス・ビューティー2」(Miss Congeniality 2: Armed & Fabuolous・2005・米)にも出ていたディードリック・ベーダーという人。

 監督は2人いて、アッシュ・ブラノンとクリス・バック。アッシュ・ブラノンは「トイ・ストーリー2」(Toy Story 2・1999・米)を監督した人で、クリス・バックは「ターザン」(Tarzan・1999・米)を監督した人。どちらもすでに実績を上げている人で、本作のクオリティは当然といえば当然だったかも。

 公開2日目の3回目、字幕版の1回目、前日に座席を確保しておいて、20分前くらいに付いたら銀座の劇場はちょうど掃除が終わり、入れ替えになるところ。まだぴあ席があるとは驚いた。場所柄か若い人それもカップルが多く、やや女性が多い感じ。男女比は4対6くらいだったろうか。下は幼稚園くらいの子供連れからいたが、字幕を読めるんだろうか。英語がわかるのかもしれないが。

 最終的には654席に2割りくらいの入り。カバーのプレミアム・シートは0人。ちょっと少ないんじゃないかなあ。大人向きのサーフィン映画なのに。笑えるし、楽しめるし。よくわからん。

 半暗になって始まった予告で気になったのは……上下マスク、柴崎コウの「少林少女」は「UDON」(2006・日)の本広克行監督作品。香港の作品じゃないのが気になる。同じく日本映画、サギをだますサギ「クロサギ」はやっぱりTVノ映画化か。おもしろそうではある。

 上下マスクの「ダージリン急行」は、やっぱり出演しているオーウェン・ウィルソンが自殺未遂事件を起こしているというのが気になる。それに予告が始まっているのに日本語の公式サイトがないというのも……。

 「Mr.ビーン」は当たるかハズすか、どちらかという感じ。ただ、いま劇場窓口で前売り券を買うと、Mr.ビーンのフィギュア付き携帯ストラップがもらえるのだ。

 なかなにかタイトルが出なくてイライラさせられる「スパイダーウィックの謎」はなかなか面白そう。やっぱり流行りのファンタジー・アドベンチャーということのようだけれど。

 上映前に「CINE ALTA 4K」のロゴが出て、ソニーのロゴも大写しに。デジタル上映はフィルムで出せない色、蛍光系のものとかがきれい。冒頭のコロムビア・ピクチャーズのアネット・ベニング似(最近そうでもなくなってきた)の女神像の絵の虹色は抜群にキレイ。コントラストの低い子供ペンギンの産毛の1本1本までくっきりクリアーに見える。そしてすべての色がヴィヴィッドな感じ。あえてフィルム風にしたり、ノイズを入れたり処理する効果も使って、それをより強調しているが、抜けの良さ、明るさ、透明感……素晴らしい。デジタルの凄さを実感する。


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