National Treasure: Book of Secrets


2007年12月22日(土)「ナショナル・トレジャー 大統領暗殺者の日記」

NATIONAL TREASURE: BOOK OF SECRETS・2007・米・2時間04分

日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/movies/nt2/
(入ったら音に注意。画面極大化。全国の劇場案内もあり)

ベン・ゲイツ(ニコラス・ケイジ)は、先祖のトーマス・ゲイツが預かったというリンカーン大統領暗殺者ジョン・ウィリアム・ブースの日記にまつわるエピソードを発表した。何ページかが欠けているのは、宝の在りかを記した暗号が書かれていたため自分の先祖がそれを燃やしてしまったからだとした。ところが客席からその日記を受け渡した酒場の主人の子孫だというミッチ・ウィルソン(エド・ハリス)が現われ、自分はその時の燃え残りを持っていて、それによるとゲイツの祖先が暗殺にかかわっていた疑いがあると糾弾する。ベンは疑いを晴らすため、父のパトリック(ジョン・ボイト)と共に、その燃え残りを盗み出しスペクトル分析にかけると……。

76点

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 すごい。2時間4分の間、ほとんど観客を休ませず、冒険に次ぐ冒険。ジェットコースター・ムービーというのとはちょっと違う感じ。ゲームのRPGのような感じ。小さなクエストを重ねていって、最後に使命をはたす。

 1つの謎を解くと、次の謎のヒントが現われ、それを解くとまた次の扉が開くという具合。そして、それぞれの謎がちゃんと考えられ、しかも実在の人物やモノ、歴史上の事実などをうまく取り込んで構成されているので、非常に説得力がある。本当のことなんじゃないかと。これは前作「ナショナル・トレジャー」(National Treasure・2004・米)のいい所をそのままちゃんと継承している。出演者もメイン・キャストはみな同じ。スタッフもほとんど一緒で、なにより監督も同じというのが大きいだろう。味が変わっていない。これは劇場の大きなスクリーンで見ないと損。

 そして、歴史の謎を探るわくわく感は、考古学者か何かになったような気分にさせてくれる。それでいて、理屈ばかりでなく、アクション満載で、悪との戦いもある。まるで世界を股にかける「インディー・ジョーンズ」と「007」を合わせたような作品。たぶん監督の趣味なのだろうが、続編の本作でも、やっぱりドライ・スーツを脱ぐと下にタキシードというシーンがあり、これはショーン・コネリーの第3作「007/ゴールドフィンガー」(Goldfinger・1964・英)のアバン・タイトルで使われていたし、その次の「007/サンダーボール作戦」(Thunderball・1965・英)でも使われていた。そしてジェームズ・キャメロン監督の「トゥルーライズ」(True Lies・1994・米)でも真似されていたジェームズ・ボンドらしいシーン。たぶん本作のジョン・タートルトーブ監督もジェームズ・ボンド・ファンなのではないだろうか。

 そのジョン・タートルトーブ監督は爆笑スポ根「クール・ランニング」(Cool Runnings・1993・米)を撮った人。サンドラ・ブロックのコミカルなラブ・ストーリー「あなたが寝てる間に…」(While You were Sleeping・1995・米)を撮ったり、ジョン・トラボルタのファンタジー「フェノミナン」(Phenominon・1996・米)を撮ったかと思えば、アンソニー・ホプキンスのシリアスなドラマ「ハーモニーベイの夜明け」(Instinct・1999・米)を撮るなど、まさに職人監督。本シリーズの前にはブルース・ウィリスのハートフルなファンタジー「キッド」(The Kid・2000・米)を撮っていて、たぶんコミカルなタッチがこの監督の本来の持ち味なのではないかと思う。今後も期待だ。

 1と2共通のキャストというと……ニコラス・ケイジの父親役は、基本的に悪役が多いが「真夜中のカーボーイ」(Midnight Cowboy・1969・米)の名優で、アンジェリーナ・ジョリーのお父さんジョン・ヴォイト。恋人役は「トロイ」(Troy・2004・米)で美女ヘレンを演じ、実話の映画化「戦場のアリア」(Joyeux Noel・2005・仏独ほか)の歌姫を演じたドイツ生まれのダイアン・クルーガー。天才ハッカーの相棒、ライリーは「ナショナル……」以外はTVで活躍している感じのジャスティン・バーサ。面白い人なのに。そしてFBI捜査官セダスキーには、こちらも悪役の多い「レザボアドッグス」(Reservoir Dogs・1991・米)のハーヴェイ・カイテル。

 新しいキャストは、やっぱり怖い敵役をやらせると抜群のエド・ハリス。「アビス」(The Abyss・1989・米)や「ザ・ロック」(The Rock・1996・米)、「スターリングラード」(Enemy at the Gates・2000・米/独ほか)が印象的だった。ニコラス・ケイジの母親役は、「クィーン」(The Queen・2006・)のエリザベス女王役でアカデミー主演女優賞を獲得したヘレン・ミレン。末期癌の女殺し屋を演じた「サイレンサー」(Shadowboxer・2005・米)も良かったが、「鬼教師ミセス・ティングル」(Teaching Mrs. Tingle・1999・米)の鬼教師なんてのも演じていて、怖かったなあ。大統領役はキューバ危機を描いた「13デイズ」(Thirteen Days・2000・米)でのケネディ大統領役が素晴らしかったブルース・グリーンウッド。「13……」以降、大統領役がハマってしまったようだ。シマウマの競馬映画「レーシング・ストライプス」(Racing Stripes・2004・米)の優しいお父さん役も印象的だった。

 脚本と原案は前作から引き続きコーマック・ウィーバリーとマリアンヌ・ウィーバリー夫妻。これだけの緻密な脚本が書けるのに、「バッドボーイズ2バッド」(Bad Boys II・2003・米)や「アイ・スパイ」(I Spy・2002・米)を書いてしまうのがわからない。

 プロデューサーは言わずと知れた「パイレーツ・シリーズ」のヒット・メーカーのジェリー・ブラッカイマー。たくさん作っているから、もちろんつまらない作品もあるが、大ヒット作も多い。

 公開2日目の初回、金曜初日のお陰か、新宿の劇場は55分前に着いたらオヤジが1人だけ。50分前くらいから劇場の準備が始まって、45分前くらいに前売りの列が10人くらい、当日券に1人。35分前に前売り20人、当日10人くらいになった。ほとんど中高年。女性は2〜3人。30分前に当日券の窓口が開き、当日券を買った人は前売り券の列へ。

 25分前くらいに開場して、12席×2列のカバーの席も含め全席自由の場内へ。この時点で40〜50人。最終的には1,044席の6.5割りくらいが埋まった。まあ。そこそこの入りか。男女比は女性が増えて6対4くらいに。下は中学生くらいくらいからいたが、中高年の夫婦が目立っていて、若い人は1割りくらいか。

 スクリーンはビスタ比率で開いていて、半暗になって始まったCMで、毎月14日は東宝シネマデイで、当日入場券が1,000円になると。毎月1日は映画の日で1,000円だし、毎週水曜は女性デイで女性のみ1,000円。65歳以上になればいつでも1,000円らしい……前売り券の方が高くなってしまうってことか。

 気になった予告は、トム・クルーズ、ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープの「大いなる陰謀」はなかなか面白そう。上下マスクで、内容は良くわからないが、アフガン戦争の舞台裏を描いたものらしい。

 「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(Star Wars: Epsode II Attack of the Clones・2002・米)から若き日のダース・ベーダーを演じたヘイデン・クリステンセンが登場して日本向けメッセージがあり、その新作はある日テレポート能力を得てしまった若者の話「ジャンパー」。上下マスク。これは面白そう。主人公がいい気になっていると、付けを払えて追っ手がやってくると。渋谷のスクランブル交差点も出てきた。見たい。

 実話の映画化という「アメリカン・ギャングスター」は、監督がリドリー・スコット、上品身なりのマフィアがデンゼル・ワシントンで、汚い格好の正義の刑事がラッセル・クロウという顔合わせ。これも面白そうだ。ヤツを逮捕すると10万人が失業する、というセリフが気になる。見たい。劇場窓口で前売り券を買うと、なかなか上等なサングラス・ケースがもらえる。

 スクリーンがシネスコになり、暗くなって、ドルビーデジタルのブレードランナー風デモがあって、「魔法にかけられて」の予告。アニメの世界から人間のリアル・ワールドへやって来ると、アニメ・キャラが人間になってしまい……というラブ・コメディらしい。ギャップがおもしろい。予告だけでも笑える。劇場窓口で前売り券を買うと、かじりかけリンゴ・ストラップがもらえるらしい。

 新しいパターンのディズニーのお城から、ジェリー・ブラッカイマーの道に1本の木の映像へ行ってそのまま本編へとスムースにつながって始まった。


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