The Seeker


2007年12月22日(土)「光の六つのしるし」

THE SEEKER: THE DARK IS RISING・2007・米・1時間39分

日本語字幕:手書き書体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビーデジタル、dts(IMDbではドルビーデジタル、dts、SDDS)

(米PG指定)

公式サイト
http://microsites2.foxinternational.com/jp/hikari6/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

アメリカからイギリスのロンドンへ引っ越してきて1年たったスタントン一家の六男、ウィル(アレクサンダー・ルトウィッグ)は14歳の誕生日に近くのお屋敷、グレイソーン家からクリスマス・パーティーに招待される。そこで「光」に属する古老のガーディアンたちが現われ、お前は「光」の古老のシーカー(捜索者)で、「闇」が勢力を増している今、「光」の力を取り戻すため、はるか昔に6つに分けられた「しるし」をすべてさがし出さなければならないという。見つけられるのは、シーカーであるお前にしかできないと。そして「闇」のライダーも現われ、「しるし」を渡せと迫る。

75点

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 ほとんど予告もされず、TVでCMもやられず、しかもマイナーな数館の劇場でのひっそり公開だが、面白い。もっとご都合主義のB級ありありのゆるい作品かと思っていたら、しっかりとした堂々たるファンタジー作品。IMDbでは4.6点と低評価だが、ボクは楽しめた。ただ、感動というか、心に残るものがなかったのが残念。

 確かに光と闇の戦いというのは、ロシアの「ナイト・ウォッチ/Nochnoi Dozor」(Nochoy Dozor・2006・露)もそうだし、「コンスタンティン」(Constantine・2005・米)とか、あちこちで使い回されているネタ。これを、どう面白く見せるか。ここが監督の腕の見せ所となるわけだ。

 やはり現代からスタートするとなると、舞台は歴史の古いイギリスということになる。「ナルニア国物語」も「ハリー・ポッター」も舞台はイギリス。アメリカでは無理だろう。

 主人公は少年で、これに恋愛感情が絡んでくるところがミソ。学園物的要素もある。当然、少年は映画の中で試練を乗り越え、大人へと成長していく。青春ものの基本だ。それを大人たちが手助けする。

 キーとなる「しるし」は異なる時代に隠されているため、見つけるために色んな時代に(ほとんどは中世的な時代だが)行かなければならないこと。予算の関係からか、この辺はちょっとスケールが小さいが、なかなか面白い。

 主人公ウィルを演じたアレクサンダー・ルトウィッグは、本作が初主演作。ほとんどはTVで活躍していたらしい。

 闇のリーダー、ザ・ライダーはクリストファー・エクルストン。ダニー・ボイルのゾンビ映画「28日後...」(28 Days Later...・2002・英/米ほか)で軍の中佐を演じていた人。アレハンドロ・アメナーバルのホラー「アザーズ」(The Others・2001・米/西ほか)で、戦場へ行った夫役を演じていた。本作では、ちからはあまり強くないが、なかなかの悪人ぶり。ちょっとコミカルな感じなのは、どうなんだろう。

 古老のひとりで、小さな眼鏡でカッコ良かったおばあさんっぽいオバサンはフランセス・コンロイ。本当はもっと若い感じの人で、つい最近ではガッカリだったニコラス・ケイジの「ウィッカーマン」(The Wicker Man・2006・米)で女医さんを演じていた。その時は普通の感じだったが、本作は良い。

 主人公の兄で大学をドロップアウトしたマックスを演じたのは、グレゴリー・スミス。ボクは大好きな映画、人形が動き出すジョー・ダンテの「スモー・ソルジャーズ」(Small Soldiers・1998・米)で主人公の少年を演じていた人。さすがに10年前は子供だったと。大人っぽくなったなあ。

 謎めいた美少女マギーを演じたのは、SFアクション「イーオン・フラックス」(Aeon Flux・2005・米)でシャーリーズ・セロンの妹を演じた美女、アメリア・ワーナー。本作でもやっぱりキレイ。次作も期待したい。「イーオン……」ではロンドン生まれと書いたが、実際にはリバプール生まれらしい。1982年生まれというから25歳。本作では高校生くらいの役のようだが、意外に無理はなかった。

 幼い妹グェンもまたかわいかったが、演じたのは13歳のエマ・ロックハート。「バットマン・ビギンズ」(Batman Begins・2005・米)に出ていたらしい。おさない感じで、とても13歳には見えなかった。せいぜい10歳くらいの感じだったが。

 監督はデヴィッド・L・カニンガム。スイス生まれの36歳、若手監督。TVで脚本やプロデュースも手がけている。1996年にはNHKで放送された「Baja 1000」という四輪駆動車のレースのドキュメンタリーを撮っている。がんばってくれるといいのだけど……。

 原作はスーザン・クーパーの「闇の戦い1 光りの六つのしるし」(評論社刊)。それを脚本にしたのはジョン・ホッジという人。「シャロウ・グレイブ」(Shallow Grave・1995・英)や、「トレインスポッティング」(Trainspotting・1996・英)、「普通じゃない」(A Life Less Ordinary・1997・米)、「ザ・ビーチ」(The Beach・1999・米)とダニー・ボイル監督との仕事がほとんど。作品傾向が全く違う気がするが、どうなんだろう。

 公開初日の2回目、銀座の劇場は15分前についたらちょうど入れ換えになったところ。10分前くらいで30人くらい。男女比はほぼ半々で、ほとんどが中高年。20代以下は数人。混んでいなくて良かった。ここは古い劇場なので前席の人の頭がジャマでスクリーンの下が見えない劇場。カップ・ホルダー付きの新しいシートになったが、床に傾斜がついていない上に千鳥配列でもないので、なんら改善されていない。音もデジタルではないらしく、上映前に流れているBGMは昔の安いプレヤーで聞くレコードみたいな音質。支配人やスタッフは良い人たちなのに……。

 最終的に270席に60人くらいの入り。若い人は1割ほど。ほとんど劇場で予告を見なかったのでしようがないのかも。アメリカでの評価が思わしくなかったので、予算を掛けなかったのか。残念だ。もっと入っても良いと思う。入場プレゼントで、光りで文字が浮かび出るライト付きペンをもらった。

 暗くなって始まった予告編で気になったものは……ゾンビ映画の続編「28週後...」は、監督のダニー・ボイルのビデオ・メッセージ付き新バージョンに。しかもちゃんと「アリガト」と日本語まで入れた日本向けバージョン。驚いた。日本は本国に次いでいい市場なのでは。

 スクリーンがシネスコになって、別バージョンの左右マスク「ジャンパー」の予告。凄いビジュアル・エフェクト。面白そう。見たい。「大いなる陰謀」も別バージョンか。面白そう。そして怖い。

 タイトルは覚えられなかったが(例によって最後にちょっとしか出ない)、3D-CGアニメで、なんか小さな小さな人が住むグレダーレの国とか言うのがあってホートンがどうしたことうしたとか……わからん。


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