End Game


2007年12月23日(日)「エンドゲーム 大統領最期の日」

END GAME・2006・独/米/加・1時間36分(IMDbでは93分、アルゼンチン版99分)

日本語字幕:細丸ゴシック体下、栗原とみ子/ビスタ・サイズ(1.85、デジタル)/ドルビーデジタル

(米R指定)

公式サイト
http://www.nikkatsu.com/endgame/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

アメリカ合衆国のハワード大統領(ジャック・スカリア)が夫人(アン・アーチャー)を連れてある式典に出席。警護に付いたシークレット・サービスのアレックス・トーマス(キューバ・グッディングJr)の目の前で、大統領はマスコミに紛れ込んでいた男に狙撃され一命を落としてしまう。フリー・ジャーナリストのケイト・クロフォード(アンジー・ハーモン)はすぐ近くにいたことから、すぐに取材を開始、元軍人のその男が末期ガンであったことを突き止めるが、何ものかに命を狙われていることに気付き、アレックスに助けを求める。

73点

1つ前へ一覧へ次へ
 さすがに有名俳優がたくさん出ているだけあって、中途半端な作品ではなかった。なかなかのアクション・ミステリー。謎解きも観客まで一緒に捜査しているような気にさせ、ついついのめり込む。いちジャーナリストが警察やFBIやCIA、NRAよりも捜査力があるというのはどうかと思うが、面白い。ただ、いけないのはラストだけだろう。ヒントのみ与えて、ハッキリどういう事件だったのか言葉にしてくれない。「近づきすぎると見えない。視点を変えればわかることもある」と禅問答みたいなことを言われても、主人公ほど頭の良くない一般観客には、どういうことだったのか、ちっとも絵が見えてこない。なんとなくはわかるのだが……

 映画を作っている方は、何回も繰り返し考えるし、検討するから1を聞いて10を知ることもできるだろうが、初めてこの作品を見た観客には、1回で理解できないのが普通だと考えた方が良いと思う。

 また曲者役者が多く、誰が黒幕なのか混乱させられるようになっている。これはいい。アクションも切れが良く、銃撃戦もなかなかリアル。ただ、ラストで語ることを止めてしまったと。だったらそれまでの積み重ねは何だったのか。

 監督は、ジャッキー・チェンのスタント・チームの一員で、スタントマン出身のアンディ・チェン。「ラッシュアワー」(Rush Hour・1998・米)などのジャッキー・チェン映画をはじめ、ハリウッドの大作「スコーピオン・キング」(The Scorpion King・2002・米)や「M:i:III」(Mission Impossible III・2006・米)などにもスタントマンとして関わっている。アクションは確かに良い。途中までは良くてドラマも悪くないのに、最後の最後がこうだから、印象が良くない。本作は監督デビュー作だそうで、J.C.ポラックという人ともに脚本も担当している。次回作に期待しよう。

 キューバ・グッディングJrは出演する作品を厳選しているようで、基本的におもしろい作品というか、良い作品にしかでない感じはある。この人が出ていればだいたい面白い。最近公開されたものだと、ヘレン・ミレンと共演しクールな殺し屋を演じた「サイレンサー」(Shadowboxer・2005・米)がある。小規模な公開だったが……。使っていた銃はSIG P226か229。パドル・タイプのヒップ・ホルスターに入れている。実際のシークレット・サービスはP229が多いというから229だったかも。

 シークレット・サービスの上司がジェームズ・ウッズ。だいたい悪役が多い人。つい最近3D-CGアニメの「サーフズ・アップ」(Surf's Up・2007・米)ではラッコのプロモーターというコミカルなキャラクターの声を担当していてビックリした。

 女性ジャーナリストはアンジー・ハーモン。どこかで見た気はするのだが、よく思い出せない。大人の童話みたいな「キャメロット・ガーデンの少女」(Lawn Dogs・1997・米)で劇場長編映画デビューをはたしたらしい。重要な役だったのだろうか、記憶にない。最近ではジム・キャリーとティア・レオーニのコメディ「ディック&ジェーン 復讐は最高!」(Fun with Dick and Jane・2005・米)にも出ていたらしい。

 大統領夫人はアン・アーチャー。「危険な情事」(Fatal Attraction・1987・米)の良い奥さん以降、そんな役が多い感じの人。最近だとウェズリー・スナイプスのアクション「アート・オブ・ウォー」(The Art of War・2000・米/加)や戦争法廷物「英雄の条件」(Rules of Engagement・2000・米)あたりか。ちょっとTVが多いみたい。

 いかにも怪しげな退役した将軍は、もう70歳を過ぎたアクション俳優だったバート・レイノルズ。確かスタントマン出身だったのでは。かつては最もセクシーな男優とかいわれて、雑誌にヌードを発表したこともある。1959年くらいからTVで活躍を始めた大ベテラン。

 悪党グループのボス、ジャック・ボールドウィンを演じたのはピーター・グリーン。二枚目だがすごくクールな感じがする人で、こんな役が多い。車から無差別射撃する自由はKG9に似たサブマシンガン。銃身が細く、あまり見かけないものだった。

 冒頭の警察の特殊部隊が使うスナイパー・ライフルは、M16ベースで、SPRかナイツのSR-25か。悪人グループはグロック、対するSWATはMP5にドット・サイトやフラッシュライトを取り付けたものを使っている。シークレット・サービスの相棒が銃をクロス・ドローの位置にホルスターをつけていたが、危険なので禁止されているのではなかったか。役者が勝手に好きな位置に着けた可能性もある。バート・レイノルズは自宅の庭で水平二連ショットガンを使ってクレー射撃の練習をしている。アメリカでは庭にシューティング・レンジを持っている人は多いらしい。日本ではとても考えられない話。

 欧米ではほとんどいきなりDVDでのリリースとなった作品。イタリアやイスラエル、タイ、日本などが劇場公開。エンディング以外は良いと思うんだけどなあ……。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は30分前に着いたらオヤジが2人。ここはすっかりオヤジ映画館というイメージだからなあ……。15分前くらいに開場となって、その時点で6〜7人。初めてこの劇場に入った人は、たいてい「なんだよ……」とスクリーン・サイズにガッカリする。ここでもまだ良い方なのだ。もっと小さいところもある。それでも1,800円と同じ料金。不思議。

 最終的には130席に25人くらいの入り。女性は2〜3人。結局ほとんど中高年男性のみという感じ。

 気になった予告編は……有名人の写真を撮り続けているという女性フォトグラファーのドキュメンタリー「アニー・リボヴィッツ レンズの向こうの人生」をどこかでやるらしい。ボクはあまり得意でない感じの予告だった。

 「テラビシアにかける橋」は色んな劇場で予告を見るようになった。これだけで泣ける。でも見たい。上下マスクの「ジェシー・ジェームズの暗殺」は西部劇好きにはたまらないのではないだろうか。暗い映画のような予感がするが、冒険ファンタジーばかりの中でちょっと面白い。

 「勇者たちの戦場」はイラク戦争から帰った兵士たちの運命を描くものらしいが、予告編は理屈よりアクションという構成。本編のアクションは予告がすべてという可能性もあるが……。この劇場でやるとすればアクション系だろう。


1つ前へ一覧へ次へ