Earth


2008年1月13日(日)「earth アース」

EARTH(イギリスのTVタイトルはPlanet Earth)・2007・独/英・1時間38分(IMDbでは90分と96分版あり)

日本語ナレーション:渡辺 謙/ビスタ・サイズ(Super 16、Super 35、HDTV、DVC Pro、DVCAMなど)/ドルビー・デジタル

(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://earth.gyao.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

現在の地球上で暮らす野生の動物たちの姿を追い、北極から南極へ、地球を縦断する。ホッキョクグマ、トナカイ、水鳥、ゾウ、ライオン、クジラ……そこにはさまざまなドラマがあった。

70点

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 映像は確かにスゴイ。スゴイんだが、どうにもTVっぽい感じ。TVのドキュメンタリー番組を見ている印象だった。

 イギリスではTV放送されたBBCの番組で、撮影もそれなりの機材。ただ自然の雄大さとかスケールの大きさを伝えたいなら、劇場作品としてはシネスコの横長スクリーンを選択して欲しかった。画質はそんなに悪くなく違和感もなかったが、1.85ではやはり役不足という感じ。音響はサラウンドで良く回り、臨場感もあったのだけれど。

 現実に起きていることを記録したドキュメンタリーだからしようがない部分もあるのだが、全体として単調で地味。起承転結がないので最後までテンションを保つのは難しく、途中眠くなった。隣のオヤジは数分間落ちていた。幼い子供はもっと辛かったのではないだろうか。

 感動的なのは親子の情愛。これは動物も人間も一緒なのではないか。母に甘える子グマや子ゾウのかわいらしいこと。そして子供たちを気にかける母親の様子。まったく人間とそっくり。クジラの親子も、ペンギンの親子も、鳥の親子も、みんな同じ。ほとんど墜落に近い飛ぶ練習をする小鳥の映像も面白かった。

 動物たちは命をかけて移動を繰り返す。それは、太古の昔に巨大な隕石が地球にぶつかって、地軸が23.4度傾いたため四季が生じたためだという。食料や居心地の良い環境を求めて移動する。人間はその危険な移動をしなくてもいいだけ幸運と言えるのだろう。

 北極の日が昇らない冬、逆に日が沈まない白夜もとらえられている。そしてとんでもない極限の環境に棲むホッキョクグマの日常が美しく捕らえられていること。ほとんど晴天だが、実際にはたいてい時速にして70〜80km/時という強風が吹きあれる、体感温度マイナス35℃などという世界に暮らしているそうだ。ボクの師匠のウッディ小林さんも今年10月にホッキョクグマの撮影に北極圏へ行かれたそうだが、風が強くて三脚が揺れ、なかなか撮影できないという。しかも極寒のため電池がすぐに使えなくなってしまうらしい。さらにホッキョクグマは凶暴で、近づくのは大変危険らしい。それをあんなにもクリアに長期間撮り続けているとは、驚異以外の何ものでもない。

 監督はアラステア・フォザーギルとマーク・リンフィールドの2人。どちらもBBCの名プロデューサー、デイビッド・アッテンボローと仕事をしている。そしてアラステア・フォザーギルはヒット作「ディープ・ブルー」(Deep Blue・2003・英/独)の監督をしている。

 音楽はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が担当。また英語版のナレーションは、「X-メン」(X-Men・2000・米)やTV「スタートレック'88/新・宇宙大作戦」のピカード船長役のパトリック・スチュワート。日本語版のナレーションは渡辺「ラスト・サムライ」謙。

 公開2日目の3回目、前日に座席を確保しておいて、20分くらい前に着いたらちょうど前回が終了して清掃中。程なく会場となった。年齢層は、下は幼稚園くらいから、高齢者まで幅広いが、大半は高齢者。男女比は4.5:5.5くらいで女性の方が多かった。ほぼ予想どおり。

 17席×2列はカバーの掛かったプレミアム・シートで、ほかも全席指定。なのになぜ「ぴあ席」があるのか不明。もともとぴあ席は自由席に座席を確保することで始まったのではなかったか。全席指定の劇場にぴあ席があることがわからない。

 最終的に654席の8割りくらいが埋まった。これはすごい。しかもカバーの席も7割りくらい。環境問題はブームなんだろうか。予告前のCMも多かった。

 気になった予告編は……詐欺師をだます詐欺師を描く「クロサギ」は新予告に。またTVドラマからの映画化だが、面白そうではあった。上下マスクの「チーム・バチスタの栄光」は第4回「このミス」大賞を授賞したベストセラー小説の映画化だそうで、心臓外科医の医師団のなかに犯人がいるというものらしい。

 クレア・デインズやヴァネッサ・レッドグレイヴ、メリル・ストリープ、グレン・クローズ、トニ・コレットら名女優で描く「いつか眠りにつく前に」は、ちょっと雰囲気が「きみに読む物語」(The Notobook・2004・米)のような雰囲気で、なんだか予告編だけでも感動してしまう感じ。

 がっかりだったウォン・カーウァイ監督の新作「マイ・ブルーベリー・ナイツ」はなかなかタイトルが出ずイライラさせられた。予告なんだから、タイトルを隠してもしようがないと思うのだが。今度はどうなんだろう。

 「エリザベス ゴールデン・エイジ」は新予告へ。映像も凄いし、ケイト・ブランシェットが何とも素晴らしい感じ。確かに強く、気高い印象。これは期待できそう。

 ドルビー・デジタルの宇宙版デモがあってからの本編上映。


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