28 Weeks Later


2008年1月19日(土)「28週後...」

28 Weeks Later・2007・英/西・1時間44分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(1.85のところ1.66で上映、16mm、35mm、DV、ARRI)/ドルビー、dts、SDDS

(英18指定、日R-15指定)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/28weekslater/
(音に注意。凝りすぎて操作性悪い)

感染するとわずか20秒で凶暴化し人間を襲うようになるウィルスによりイギリスはほぼ壊滅、その後NATO軍がロンドンに基地を置き、イギリスを封鎖したことによって感染者はやがて餓死し、事態は沈静化に向かった。事件から26週間経過して、どうにか海外に非難していた人々もロンドンのみ帰国がゆるされ、もどり始めていた。タミー・ハリス(イモージェン・ブーツ)とアンディ・ハリス(マッキントッシュ・マグルトン)の姉弟も28週後に帰国し、かろうじて生き残った父ドン・ハリス(ロバート・カーライル)と再会をはたすが、母を助けられなかったと伝えられる。姉弟は封鎖を破り、実家へ行ってみるが……。

70点

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 IMDbでは7.2という高評価だが、あまり見るべきものはなかったように思う。感染者は死んではいないが、結局はゾンビ映画で、どうにも納得できない展開ばかり。主役と思われる2人の子供のイタズラ心がすべての惨劇の始まりで、未成年であっても厳しく罰せられるべき行い。これを許してしまうとは。大山火事を起こした火遊び少年を、現実世界で許しておけるだろうか。しかも、生き残るのはこの2人だけという矛盾。

 カメラ(画面)はほとんど常に動いている。フィックス・ショットでも手持ちで撮影したような微妙な揺れがある。観客を乗物酔のような気分にさせるための演出なのかもしれないが、ハッキリ言って不快。大画面では気になってしようがない。しかも画質がバラバラ。非常に荒れているところと、普通のところと、演出とはわかりにくいバラつき加減。感染者の主観を荒らしているわけでもないようだ……。

 さらに血まみれ。ゾンビ映画だから当然だが、必要以上に血が噴き出しそれが強調されている感じ。しかもヘリのローターで何十人もをミンチにする。こちらは感染者であって、生きているのだからより残酷に思える。

 そして、感情があまり伝わってこない。かろうじて良かったのはアメリカ軍特殊部隊のスナイパー、ドイルくらい。あとはなあ……。だいたい前作の「28日後...」(28 Days Later...・2002・英)があの程度で、本作もこの程度と、ほぼ同じ印象。前作からの矛盾はそのまま、ただ突っ走る。

 ちょっと情けない父親を演じたのは、ロバート・カーライル。同じダニー・ボイル監督の「トレインスポッティング」(Trainspotting・1996・英)で注目され、人食い映画「ラビナス」(Ravenous・1999・米)で強烈な印象を残した人。中世冒険映画の快作「プランケット&マクレーン」(Plunkett & Macleane・1999・英)も良かったし、ついには「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(The World is not Enough・1999・米)の敵役までも演じ、痛覚を持たない悪のボスを好演。だいたい悪役が多い。

 その妻は、メル・ギブソン監督の「ブレイブハート」(Braveheart・1995・米)で、主人公の幼なじみの美女を演じていた人。ロバット・レッドフォードの「スパイ・ゲーム」(Spy Game・2001・英/米)では、プラッド・ピットの恋人を演じていた。本作では、そんな強い女のイメージはまったく生かされず、まあ誰でも良いような役。ただ、瞳の色が左右で違うという設定。

 アメリカ軍特殊部隊のスナイパー、ドイルは、ジェレミー・レナー。つい最近「ジェシー・ジェームズの暗殺」(The Assassination of Jesse James bt the Coward Ford・2007・米)にギャングの一員で出ていたが、「S.W.A.T.」(S.W.A.T.・2003・米)では、最初にS.W.A.T.をクビになる過激な男を演じていた人。本作では善い人の役。使っていたのはM14のスナイパー・ライフル、M21。ほかにレミントンM700のスナイパー、M40らしきものや、.50口径のバレットM82を使うものも。ビルの下に降りる時は、カスタム化したM4カービンに持ち替える。EOTechにナイト・ビジョンの付いた優れもの。ライトにバーチカル・フォア・グリップも備え、ストックもゴム・パッド付きでなかなかカッコいい。

 ヘリコプターのパイロットを演じた黒人俳優は、ハロルド・ペリノー。無人島不時着TVドラマの「ロスト」で、男の子を連れた若き父親を演じている人。「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米)と3作目にもリンク役で出演。古くはアラスカ・サバイバル「ザ・ワイルド」(The Eddge・1997・米)にも出ていい味を出していた。

 軍の女医はローズ・バーン。「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(Star Wars: Episode II - Attack of the Clones・2002・米)でアミダラ姫の召使いを演じていた人。最近では真田広之が出たSF「サンシャイン2057」(Sunshine・2007・英/米)にも出ていた。本作ではほとんど活躍しないのが残念。

 監督は脚本も担当したファン・カルロス・フレスナディージョ。日本では2003年にミニ・シアターで公開された「10億分の1の男」(Intacto・2001・西)の監督と脚本を担当し、高い評価を得た人。1967年生まれというから41歳。エグイ表現はスゴイ。ただ音楽の音量が大き過ぎ。音で脅かすのは良くないなあ。それと手持ち撮影も。

 公開初日の初回、新宿の劇場はチェーン館の悪い方から2つ目の劇場での公開。35分前についたらオヤジが1人。寒い日で、25分前に開場になったときには、12〜13人の列。大学生くらいが3人で、あとは中高年男性。

 全席自由の場内にはいると、徐々に若い人が増えて、最終的には350席に3.5〜4割りくらいの入りで、老若比は半々くらいに。女性は4〜5人のみ。

 ブザーが鳴ってカーテンが開き、暗くなって始まった予告は……「エリザベス ゴールデン・エイジ」は最新版での予告。ますます期待を抱かせる。ケイト・ブランシェットがすごい。そして、やっと続編が公開。「デイ・ウォッチ」の予告は、先にインターネットで見てしまったが、大きなスクリーンで見ると印象がかなり違う。とにかくスゴイ絵。2月公開らしいが、この扱いはよほど出来が悪いのだろうか。予告はとても良い感じだが……。日本語の公式サイトさえない模様。ミニ・シアターだったらどうしよう。

 日本ロケしたという「ジャンパー」は、新予告。ちょっと内容がわかってきた。 テレポーテーション能力を持った若者たちが、歴史をゆがめるとして追われる身となると。いま劇場窓口で前売り券を買うと、プロジェクター・ペンというのがもらえる。ダグ・リーマン監督といえば第1作の「ボーン・アイデンティティ」(The Bourne Identity・2002・米)を監督した人だから期待が持てる。


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