Sweeney Todd: The Demon Barbar of Fleet Street


2008年1月19日(土)「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

SWEENEY TODD: THE DEMON BARBAR OF FLEET STREET・2007・米・1時間57分

日本語字幕:手書き書体下、佐藤恵子/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/sweeneytodd/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

19世紀のロンドン、フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)は、美しい妻(ローラ・ミシェル・ケリー)と一女に恵まれ、幸せに暮らしていた。しかしある日、ベンジャミンの妻を見初めたターピン判事(アラン・リックマン)によって無実の罪で流刑にされる。15年後、風貌まで変わってしまったベンジャミンは脱獄してロンドンにもどり、復讐のためパイ屋を営む大家のミセス・ラベット(ヘレナ・ボヘム=カーター)の二階で再び理髪店を始める。

72点

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 まさに血みどろの映画。ミュージカルでちょっと悲惨さ・残酷さが薄められてはいるものの、結局言いたかったことは「人を呪わば穴二つ」ということか。この物語に救いはない。最悪の結果といっても良い。正月にこれを見る意味とは……。年末でなくて良かったことだけは確かだが。

 IMDbでは8.3点という名作級高得点。しかし、悪くはないが、決して気分の良い映画ではない。しかも、いまひとつ感情が伝わってこない。全体を支配する暗さと、主人公が復讐のため鬼になってしまったことだけは良くわかった。

 拳銃で1発ズドンではなく、刃物、それも髭剃り用のカミソリできらり一閃、傷口パックリ、血がドバーッだから残酷さはひとしお。それも特殊メイクでちゃんと傷口ができて、そこから出る。ただ、血がシリアスものに見るようなリアルなどす黒いものではなく、どちらかというと日本の血糊というか、舞台寄り、芝居がかった感じはした。

 話自体は1847年に初めて上演された芝居らしい。それを「ウエストサイド物語」(Weat Side Story・1961・米)で作詞を手がけた作詞作曲家のスティーブン・ソンドハイムという人が、1979年にミュージカルにしてブロードウェイに掛けたらしい。ボクは日本では1999年に公開された、ベン・キングスレーがトッドを演じた「スウィーニー・ドッド」(The Tales of Sweeney Todd・1998・アイルランド/米)(何とTV番組)しか知らなかった。これでは、トッドは猟奇殺人者であって、アメリカからやって来た青年が犯人を追いつめていくという話になっていた。これを復讐劇にしたのは、スティーブン・ソンドハイムか。IMDbによれば、イギリスの脚本家クリストファー・ボンドという人が1973年に、スウィーニー・トッドが復讐でロンドンにもどってくるという設定を作ったらしい。それをスティーブン・ソンドハイムが採用したと。

 残酷さはともかく、恐ろしさというか、人肉パイの気持ち悪さはTV版の方があったように思う。ただ初めて聞いた話だったから衝撃が大きかったということもあるかもしれない。本作は2回目になるわけだから。

 気になったのは、トッドに助けを求めてくる若い船乗りのアンソニーがどうなったかということ。映画は彼が乗り物を探しに出て行くところまでしか描いていない。もどってきて発狂してしまうのか。

 主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of thge Black Peal・2003・米)のジョニー・デップ。生歌を披露している。そしてティム・バートン監督の奥さんで、歌の特訓をしたという 「ファイト・クラブ」(Fight Club・1999・米)のヘレナ・ボヘム=カーター。悪党ターピン判事に「ダイ・ハード」(Die Hard・1988・米)のアラン・リックマン。その部下の小役人に「ラスト・サムライ」(The Last Samurai・2003・米)で通訳を演じたティモシー・スポール。みなベテランだ。

 主人公の美しい妻を演じたのは、映画初出演というローラ・ミシェル・ケリー。イギリス生まれの27歳。あまり出番が多くなかったので、わからないが、評価は次作にかかっているかも。

 若い船乗りの二枚目は、ジェイミー・キャンベル・バウアー。やっぱり映画初出演の新人だ。ロンドン生まれの20歳。ちょっと人気が出そうな美形だが、どうだろうか。

 孤児の少年を演じたのは、エド・サンダース。やっぱり映画は初出演のようだが、なかなかうまかった気がする。将来が楽しみかも。

 主人公の娘ジョアンナはジェーン・ワイズナー。イギリス生まれの21歳。映画は初出演らしい。

 監督はダークな作品が多いティム・バートン。新作が3本も進行中というからスゴイ。最近ずいぶん太ったような気がするが、やっぱり幸せ太りかなあ。

 公開初日の2回目、新宿の劇場は50分前に着いたらロビーに10人くらいの人。中年くらいが1/3で、残りは若いカップルという感じ。時間帯のせいか。徐々に人が増え、40分前くらいに案内があって列を作ることに。この時点で20人以上。男女比はほぼ半々というところ。

 さらに人が増えていって、30分前くらいに4列だったのを6列に変更。20分前に入れ替えとなって場内へ。スーパー・ペア・シート以外は全席自由。最終的には1,064席に6〜6.5割りくらいの入り。この血まみれ加減では、なかなかの入りだろう。

 チャイムが鳴って、カーテンが上にあがって半暗で始まった予告は……予告だけで泣けてくる「テラビシアにかける橋」の長いバージョン。見たいけど泣いちゃうよなあ。なんかどこの国でも、こういうことは子供の時にありそうな気がして、とても郷愁を覚える。

 「ナルニア国物語 第2章カスピアン王子の角笛」もとても面白そう。人間の世界ではあまり時間が過ぎていないのに、ナルニアでは1300年後の世界になっている。なんだか興奮する作りで期待が持てる。

 暗くなってから上映された「マッハGoGoGo」の実写映画化「スピード・レサー」はとにかく色がキレイ。そしてすごいSFX。7月公開ということで、まだ日本語のサイトはないようだ。

 まだ内容がさっぱりわからないが「紀元前1万年」は、サーベル・タイガーやマンモスが出てきて、とにかく絵がスゴイ。ローランド・エメリッヒ監督作品だし、飽きさせることはないだろう。


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