Bridge to Terabithia


2008年1月27日(日)「テラビシアにかける橋」

BRIDGE TO TERABITHIA・2007・米・1時間35分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、佐藤恵子/ビスタ・サイズ(1.85)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG指定)

公式サイト
http://www.terabithia.jp/
(入ったら音に注意。画面極大化。全国の劇場案内もあり)

アメリカの小さな田舎町の貧しい家に生まれたジェス少年(ジョシュ・ハッチャーソン)は、二人の姉と二人の妹の中で唯一の男の子。小学校の高学年で、両親からは早く大人になるように期待されていた。そして学校ではいじめられ、友だちもいなかった。そんなある日、同じクラスに転校してきたレスリー(アナソフィア・ロブ)は隣に越してきた芸術家一家の一人娘だった。やがて二人は親しくなり、近くの森の中に二人だけの秘密の王国テラビシアを作り上げる。

75点

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 思ったほどお涙頂戴ではなかった。むしろ割りとさあっさりと、感情的にならず淡々と描いている感じ。それがいい。ただ、ちょっとあっけない感じはした。したが、結局は両目から涙が……。もし少年時代にこんな事件が起きたら、ボクは一生心の傷になったかもしれない。でも、この映画の幼い主人公はそれを乗り越え、プラスにしていく。偉い。

 たぶん、昔の田舎の子は、だれでも木の上に秘密基地を作ったりして遊んだ経験があるのではないだろうか。大人になってからみると小さな狭いジャンクヤードが、そのころはとても広い場所で、学校とそこがほとんど人生のすべてだったりした。そんな感じが良く出ている。

 そして、どのクラスにも意地悪ないじめっ子がいて、男の子ならあこがれの美しい先生がいて、親は何にもわかってくれなくて、1人孤立していたりするもの。アメリカでもそうなんだあ、と妙に納得というか安心したり。だから、とても良く理解できる。なかなか良くできたジュブナイル。「スタンド・バイ・ミー」(Stand by Me・1986・米)とか、「ウォルター少年と夏の日」(Secondhand Lion・2003・米)とかに似てきてしまうかもしれないが、その後の少年の姿とか、もう少しフォローがあっても良かったような気はする。ちょっと物足りない感じ。

 主役を演じたのはジョッシュ・ハッチャーソン。小学6年生くらいに見えたが、なんと1992年生まれの16歳。アメリカ人でも童顔の子がいるんだ。SFアドベンチャー「ザスーラ」(Zathura・2005・米)で悪ガキの兄を演じていた子。映画での印象が悪かったので心配したが、本作では正反対の控えめで内気な子を演じて素晴らしい。同じ子とは思えないほど。

 転校生の女の子レスリー(映画の中ではレズリーと呼ばれていた)は、「リーピング」(The Reaping・2007・米)のイナゴ少女、アナソフィア・ロブ。「チャーリーとチョコレート工場」(Charlie and the Chocolate Factory・2005・米)にも出ていた。彼女の明るさ、小さなことにこだわらないあっけらかんとしたところが、また良い。だから、余計に辛い。

 ちょっと厳しいお父さんは、液体金属のロボットT-1000のロバート・パトリック。悪役が多いので本作でもそうかと思ったら、普通のお父さんという感じだった。安心。最近スクリーンで見たのは、イーストウッドの「父親たちの星条旗」(Flahs of Our Fathers・2006・米)だったろうか。

 同じく厳しいお母さんは、ケイト・バトラー。きれいな人だが、本当にいそうな生活感のあるお母さんで、「靴をなくした天使」(Accidental Hero・1992・米)などに出ていたらしい。

 かわいい妹のメイベルを演じたのは、ベイリー・マディソン。ミニ・シアターでの公開となったため見ていないが、ジヨン・トラボルタの犯罪サスペンス「ロンリーハート」(Lonely Heart・2006・独/米)に出ていたらしい。ちょっと「光りの六つのしるし」(The Seeker・2007・米)の、妹グウェンを演じたエマ・ロックハートに似ていた。この年ごろはみんな似ているのか、監督が似たような子を選ぶのか。

 あこがれの音楽教師、エドマンズ先生を演じたのは、ズーイー・デシャネル。DVDが出てから見たのだが、おもしろいSFコメディ・アドベンチャーの「銀河ヒッチハイク・ガイド」(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy・2005・米/英)で主人公を振った美女を演じていた人。

 いじめっ子の8年製の大柄な女の子、ジャニスを演じたのは、ローレン・クリントン。たぶん想像の王国テラビシアの心優しき巨人も彼女が演じているのではないだろうか。なかなか憎まれ役を憎たらしく演じてうまい。劇場長編映画は初めての出演らしい。

 原作はキャサリン・パターソンの同名小説(岡本浜江訳・偕成社)。1932年生まれというからすでに76歳の高齢。日本にいたことも有るらしい。アメリカの優れた児童文学書に贈られるニューベリー賞受賞。

 それを脚本化したのは、ジェフ・ストックウェルとデイヴィッド・パターソンの2人。どちらもあまりメジャーな作品は手がけておらず、ジェフ・ストックウェルがジョディ・フォスターが製作した「イノセント・ボーイズ」(The Dangerous Lives of Altar Boys・2002・米)を手がけているくらい。

 監督はハンガリー生まれのガボア・スクポ。「トムとジェリー」で有名なハンナ・バーベラ・プロダクションでアニメーターをやっていたらしい。その後、独立して「ザ・シンプソンズ」を手がけるようになり、評価を高めていったらしい。TVの脚本家、プロデューサーとしても活躍しており、その方が多い。実写の長編映画は初監督。実写の新作も待機中だ。今後注目だろう。

 イラストをうまく使ったタイトルと、エンド・ロールがうまいなあと思ったら、カイル・クーパー。うまいはずだ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は50分前に着いたら、まだ入口が開いていなかった。オヤジが1人。40分前になって7人になり、25分前にやっとドアが開いて地下の階段下へ移動。この時点で20人くらい。まもなく開場となって、全席自由の場内へ。

 最終的に763席に3.5割りくらいの入り。意外に少ない印象。下は幼稚園生くらいから、小学生低学年もいたが少数。2/3は中高年で、1/4くらいが女性だった。

 チャイムが鳴って半暗になって予告が始まる前から暗く、本も読めないほど。どうなってるんだろ。気になった予告は、「僕の彼女はサイボーグ」日本映画なのに韓国映画っぽいタイトルだなあと思ったら、「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)や「僕の彼女を紹介します」(Windstruck・2004・韓)のクァク・ジェヨン監督がメガホンを取るという。なんだか女ターミネーターみたいで、SFXがすごい。でもきっと泣かすんだろうなあ。見たい。

 大統領暗殺を8人の視点から描いていくという「バンテージ・ポイント」は新予告に。シガニー・ウィーバーが出ているのも良いが、なんと人気ドラマ「LOST」の主役ジャック役のマシュー・フォックスも出ている。しかも凄いアクション。おもしろそう。

 ネッシーを描いた上下マスクの「ウォーター・ホース」は長いバージョンでの予告。もう飽きてきたかも。


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