Bee Movie


2008年1月27日(日)「ビー・ムービー」

BEE MOVIE・2007・米・1時間31分(IMDbでは90分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、稲田嵯裕里/ビスタ・サイズ(デジタル、1.85、ARRI)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.beemovie.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ミツバチのバリー・ベンソン(声:ジェリー・サインフェルド)は大学を卒業し一生の仕事を決めなければならなかった。いろいろな職種があったが、外の世界が見たいということで、花粉レンジャーに加わることに。そしてひょんなことから人間世界に迷い込み、花屋のヴァネッサ(声:レネー・ゼルウィガー)に命を救われ、禁じられていたのに思わず話しかけてしまう。しかし2人は仲良くなり、ある日一緒に行ったスーパーマーケットでハチミツが売られていることを発見し、人間がハチミツを盗んだとして裁判に訴えることにする。

71点

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 3D-CGのキャラクターも良いし、動きも自然、バックのものはすべてリアルで、実写と見まごうばかり。アメリカのオリジナル音声も実に魅力的。笑わせる要素も満載で、実際かなり笑える。しかし、この内容はどうなんだろう。やはり訴訟社会アメリカの現実を反映しているということなのだろう。日本人的にはどうにも納得できない展開で、すべての原因は主役のオマエが訴訟なんか起こすからだろうと突っ込みたくなる。それを一生懸命考えて元に戻そうとするのは当然であり、あえてそれに拍手喝采することもないと思えてしまう。

 養蜂家に飼われてハチミツを搾取されているミツバチも、他の方法で助けることができたのではないだろうか。それを訴訟だなんて。ミツバチ対人間という訴訟はどうにも理解しがたく、いかにも作り物の展開になってしまう。せっかく話ができるミツバチに最初は驚くが、次第に心許していくという(それでもかなり速い)過程を入れているのに、訴訟で一気にぶち壊しにする。ここまで言うなら、人間の法律とミツバチの法律は別だろうと。国が違っても簡単に訴訟できないって言うのに……。

 特別ゲストといった感じで、勝手に“スティング”という蜂に由来する名前を使ったとして歌手のスティングも出てくるし、プライベート・ブランドのハチミツを売ったとして俳優のレイ・リオッタも証言する羽目になる。アメリカでレイ・リオッタのハチミツは有名なのだろうか。そしてミツバチのニュース・ショーにはビー・ラリー・キングが……しかも、驚いたことに、全員本人が声を当てているのだ。

 主人公バリーの声をあてているのは、脚本も担当したジェリー・サインフィールド。基本的にはTVで活躍している人のようだ。

 ミツバチの理解者となる人間の女性ヴァネッサは、レネー・ゼルウィガー(以前はレニー・ゼルウィガーと書いた)。見ていないが、最近「ミス・ポター」(Miss Potter・2006・英/米)に出ていた。個人的には「ベティ・サイズモア」(Nurse Betty・2000・米)がいいけど。

 主人公の親友アダムの声は、マシュー・ブロデリック。「プロデューサーズ」(The Producers・2005・米)はなかなか良かった。印象に残っているのはハリウッド版の「GODZILLAゴジラ」(Godzilla・1998・米/日)だろうか。もっとさかのぼれば、ハイテク・アクションの「ウォー・ゲーム」(WarGames・1983・米)だろうか。

 アラスカを目指す蚊のムースブラッド(ヘラジカの血、日本名はシカッチ)は、「リーサル・ウェポン4」(Lethal Weapon 4・1998・米)のマシンガン・トークのクリス・ロック。いい味を出している。

 ハチミツ業者の雇った太っちょの弁護士レイトンは、本当に太っちょのジョン・グッドマン。最近は「モンスターズ・インク」(Monsters, Inc・2001・米)をはじめとしてアニメの声優の仕事が多いようだが、コーエン兄弟の「オー・ブラザー!」(O Brother, Where Art Thou?・2000・米)とか、「ブルース・ブラザース2000」(Blues Brothers 2000・1998・米)なんかに出ていた人。

 そして、バリーのお父さんは、映画監督でプロデューサーでもあるバリー・レヴィンソン。ロバート・レッドフォードの「ナチュラル」(The Natural・1984・米)や、ダスティン・ホフマンとトム。クルーズの「レインマン」(Rain Man・1988・米)、SFホラーの「スフィア」(Sphere・1998・米)などを手がけた人。5作品がアカデミー賞にノミネートされ、監督賞も受賞している凄い人。ちょっとおバカなお父さんをやっているとは。

 お母さんは、名女優のキャシー・ベイツ。スティーヴン・キング原作の「ミザリー」(Misery・1990・米)はすごかったなあ。「フライド・グリーン・トマト」(Fried Green Tomatoes・1991・米)もよかったし、「悪魔のような女」(Diabolique・1996・米)の女探偵もまた違った雰囲気。

 それにしても、女性キャラの顔がどこかみんな女芸人の友近に似ている気がしたのは、気のせいか……。

 ちょっとおしゃれなアンブリンをパクったようなタイトルと蜂を使ったエンドロールは、yU+Co.。最近では「300〈スリーハンドレッド〉」(300・2007・米)や「Gガール 破壊的な彼女」(My Super Ex-Girlfriend・2006・米)などを手がけている。

 監督はスティーヴ・ヒックナーとサイモン・J・スミスの2人。スティーヴ・ヒックナーはアニメの「プリンス・オブ・エジプト」(The Prince of Egypt・1998・米)という比較的まじめな作品を作っている。一方サイモン・J・スミスは「アンツ」(Antz・1998・米)や「シュレック」(Shrek・2001・米)にレイアウトのチーフとして関わった人で、実は声の出演もしている。監督は本作が初めてらしい。

 公開2日目の3回目、字幕版の1回目、前日に座席を確保しておいて、20分前に着いたら銀座の劇場はまだ前の回を上映中。15分前くらいに終了して清掃が入り、入れ替えになったのは10分前くらい。まもなく「ライラの冒険」のメイキング映像が流れた。

 最終的に540席に2〜2.5割りほどの入り。ラリー・キングとかスティングとか、レイ・リオッタのギャグなんか大人向きだと思うんだけどなあ。場所柄か若い人、カップルが多く、8割りほど。男女比は3.5対6.5くらいで女性の方が多かった。

 気になった予告編は……「ナルニア国物語」は同じ内容だが、大きなスクリーン、良い画質、良い音響で見ると全く印象が違う。凄い迫力で期待させる。

 ちょっとセンター部分がピン・ボケだったが……金城武が出る「Sweet Rain 死神の精度」は、たぶんにブラッド・ピットの「ジョー・ブラックをよろしく」(Meet Joe Black・1998・米)の匂いがぷんぷんしたが、ちょっとおもしろそうな感じ。

 3D-CGの「カンフー・パンダ」は、設定からしてギャグ満載で、どうにも日本のギャグ・アニメっぽいのだが、れっきとしたハリウッド映画。ジャック・ブラック、ジャッキー・チェン、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー……と凄い声の出演人。予告は日本語吹替版だったが。


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