The Water Horse: Legend of the Deep


2008年2月2日(土)「ウォーター・ホース」

THE WATER HORSE・2007・米/英・1時間52分(IMDbでは米版111分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、ARRI)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビー・デジタルEX、dts-ES、SDDS)

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/thewaterhorse/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

第2次世界大戦中の1942年、スコットランド。アンガス少年(アレックス・エテル)は父親が出征してから明るさを失い、落ち込みがちだった。そんなある日、少年はネス湖の湖畔で丸い岩を発見し家に持ち帰る。岩に見えたそれは実はタマゴで、まもなく小さな恐竜のようなものが孵化する。そんなとき、彼の母アン(エミリー・ワトソン)が仕えるお屋敷にイギリスの砲兵部隊が駐屯することになり、湖近くの丘に砲台を建設し始める。そして、使用人として元軍人のルイス(ベン・チャップリン)もやってくる。恐竜はたちまち大きくなって家出は飼えなくなる。

72点

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 日本語吹替版での上映が少ない割には、子供向きの映画。ネッシーの特殊効果はたぶんデジタルの3D-CGだと思うが、ものすごくリアルで自然。本当に一緒に演技しているとしか思えないほど。スコットランドの自然も美しい。ただ、実話という割りにはストーリー展開に無理があり、大人が見るには少々物足りなさというか、楽しめない。

 ネッシーが雌雄同体で、たった1コだけタマゴを産んで死んでいくというのはいい設定。ネッシーを写真に撮って一儲けしようとしたものの、なかなか姿を現さず写真をでっち上げて、それが有名になってしまったというようなエピソードもいい。しかし、もともと親が子を育てない生物なのに、鳥のように生まれて最初に見たものを親と思い込むというのはどうだろう。少年とネッシー(「ロビンソン・クルーソー」からクルーソーと名付ける)の心の絆が生まれていく過程が希薄だし、「ロープのところへ行け」などの言葉を理解するというのも受け入れがたい。犬じゃないんだから。ほとんど全編に渡って「犬」のような扱い。背中に乗せて水中世界を見せてくれるあたりは、日本の「浦島太郎」の亀にも通じるものがある。でもなあ……都合良過ぎでしょ。

 主役のアンガス少年を演じたのは、アレックス・エテルという14歳のソバカス少年。この前にダニー・ボイル監督の「ミリオンズ」(Millions・2004・英/米)という作品に出ているらしいが、いつ公開されたんだろう。まったく記憶にない。写真を見ると「ミリオンズ」のときはとてもかわいらしい子供だったようだが……。

 お母さんはエミリー・ワトソン。比較的最近ではSFアクション、ガンカタの「リベリオン」(Equilibrium・2002・米)や「羊たちの沈黙」の3本目の続編「レッド・ドラゴン」(Red Dragon・2002・米)に出ていた人。つい最近「ミス・ポター」(Miss Potter・2006・英/米)に出ていたらしい。

 アンガスの味方になる元軍人の使用人ルイスに、ベン・チャップリン。テレンス・マリック監督の戦争映画「シン・レッド・ライン」(The Thin Red Line・1998・米)や、気弱な感じが抜群に良かった「バースデイ・ガール」(Birthday Girl・2002・米)、ミシェル・ヨーが製作・主演したアドベンチャー「レジェンド 三蔵法師の秘宝」(天脈傳奇・2002・中/香/台)、最近ではテレンス・マリック監督の史劇「ニュー・ワールド」(The New World・2005・米)に出ていた。

 親の力で安全な地域に派遣されたという部隊の指揮官、ハミルトン大尉にデヴィッド・モリッシー。「コレリ大尉のマンドリン」(Captain Corelli's Mandolin・2001・米)でドイツ軍将校を演じていた人。最近ではイタかった「氷の微笑2」(Basic Instinct 2・2006・米)で精神科医を演じ、イナゴ少女の「リーピング」(The Reaping・2007・米)では主人公を助ける田舎町の男を演じていた。エンフィールド・リボルバーを持っていた。

 おそらく誰でも正体に気付く謎の老人と、ナレーションはブライアン・コックス。つい最近、連続殺人鬼を描いた「ゾディアック」(Zodiac・2006・米)に出ていた。基本的には悪役が多い人で、「X-MEN 2」(X2・2003・米)や、「ボーン・アイデンティティー」(The Bourne Identity・2002・米)、日本ホラーのリメイク「ザ・リング」(The Ring・2002・米)などが印象的。ちょっとさかのぼれば「ロング・キス・グッドナイト」(The Long Kiss Goodnight・1996・米)なども良かった。

 監督はジェイ・ラッセル。「マイ・ドッグ・スキップ」(My Dog Skip・2000・米)でベスト・ファミリー・フィルム賞などを受賞しているという。なるほど本作を見るとそれが納得できる。最近は消防士の活躍を描いた「炎のメモリアル」(Ladder 49・2004・米)を撮っている。うーむ。

 原作はディック・キング=スミスの小説「おふろのなかからモンスター」(講談社)。この人は映画「ベイブ」(Babe・1995・豪)の原作者としても知られる。ということは、元はもっと良かったのでは……。

 脚本はロバート・ネルソン・ジェイコブス。ディズニーの3D-CG映画「ダイナソー」(Dinosaur・2000・米)や、見ていないが「ショコラ」(Chocolat・2000・米)、「シッピング・ニュース」(The Shipping News・2001・米)などのアート系ミニ・シアター作品を手がけている。ならば、もっと大人向きの感動作が書けたに違いないのに……。

 公開2日目の3回目、10分前くらいに付いたら全席自由の場内には20人くらいの人。早くも「テラビシア……」は3に落ちたか。時間帯もあってか、若いカップルが2/3くらい。残りの1/3は中高年。男女比はほぼ半々くらい。子連れファミリーが1組ほど。

 最終的には763席に50〜60人くらいの入り。これは早く3に落ちるかも。全席指定ではないのに、遅れて入ってくるヤツが多い。時間があるから映画でも見ようというパターンか。遅れて入ってくるなら、ドアは小さく開け、目が慣れるまでしばらくじっとしていて、ささっと座って欲しい。照明代わりに携帯の液晶を使うのはくれぐれも止めて欲しい。気になって仕方がない。

 チャイムが鳴り、アナウンスがあって暗くなって(なぜか禁煙の赤ランプだけは消えない)始まった予告はちょっとピントが甘いままで……岡田中将の軍事裁判を描いたらしい「明日への遺言」は、感情的なところばかりが際立っていて……どうしてこんなにウエットなんだろう。しかも上下マスクの上の方が厚いということは、センターがズレているのでは。

 「僕の彼女はサイボーグ」はいわゆるラブ・ストーリーなんだろうけれど、絵も凄いし、なんだかおもしろそう。監督が「猟奇的な彼女」と「僕の彼女を紹介します」のクァク・ジェヨンだからなあ。期待!

 スクリーンがシネスコになってやっとピンが来た。「スピード・レーサー」はいままでと同じものだったが、色がキレイでクリア。音もスゴイ迫力。上映クォリティが良いと印象も良い。


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