Dead Silence


2008年3月29日(土)「デッド・サイレンス」

DEAD SILENCE・2007・米・1時間29分(IMDbでは米版90分)

日本語字幕:手書き書体下、高山龍一/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米R指定)

公式サイト
http://www.dead-s.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

ある日、ジェイミー・アーシェン(ライアン・クワンテン)とリサ・アーシェン(ローラ・リーガン)夫妻の元に、何も書かれていない大きな荷物がとどく。開けて見ると中には古い腹話術の人形が入っていた。ジェイミーが留守の夜、突然物音が無くなり、人形が動き出す。ジェイミーが帰宅すると、妻は舌を抜かれて死んでいた。状況証拠から犯人と疑われるジェイミーだったが、とりあえず田舎に帰って葬式の準備を進めることになる。すると父エドワード(ボブ・ガントン)は車イスで生活する体になっており、若い後妻のエラ(アンバー・ヴァレッタ)と暮らしていた。

70点

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 音というか音楽で脅す映画。内容はそれほど怖くない。というか、脚本が安直過ぎ。思いつきで書き上げたような印象。もっとちゃんと練って、破綻のない、納得できるストーリーにして欲しかった。わざわざ夜に出かけるとか、気になるところが多過ぎ。これだけあると、見ている最中に気になって付いていけなくなる。気にならない人は楽しめるかもしれない。ボクはダメだった。

 「ソウ」(Saw・2004・米)シリーズの人形はもちろん、「チャイルド・プレイ」(Child's Play・1988・)のチャッキーとか、スピルバーグの「ポルターガイスト」(Poltergeist・1982・米)でも人形は怖いアイテムのひとつ。日本人形も髪が伸びたりするものがあり、結構怖かったりするし、フランス人形も怖いもののひとつ。ということは、特に珍しいモノではないのだが、「エイリアン2」(Aliens・1986・米)じゃないけれど。今度はそれが団体で出てくると。新しいのは腹話術と組み合せたところか……って、それもあったような……「マジック」(Magic・1978・米)って、そんな感じの映画じゃなかったっけ?アンソニー・ホプキンスが怖かった。

 怖いシーンで何かモノが落ちたり、いきなり鳥とかが飛び出したりして、大きな音を入れて脅かすというのが常套手段だが、これは怖がらせているというより驚かせているだけ。本作ではそれはしていないが、結局音楽を大きくするのでビックリさせるのは一緒。うーむ。オチも読めるしなあ……。

 全体に色を浅くし、モノトーンっぽくして、血や車、ライトや花の赤だけを際立たせたり、瞳のアップになってそこに写っているものにつないでいったり、地図の俯瞰が実写になったりとカットつなぎにも工夫が見られて面白いのだが。

 刑事が使う左側にフラッシュ・ライトを着けたポンプ・アクションのショットガンは、レシーバーの後部にレバーがあったからモスバーグか。

 人形と図面で構成されたタイトルは、yU+Co.の仕事。腹話術のventriloquismという英語は、ラテン語の「腹」と「話す」の単語を合わせて出来たというウンチクに納得。だから日本語も「腹話」術というのかも。

 主演のライアン・クワンテンは、これまでほとんどTVで活躍していた人で、日本ではほとんど無名に近い人。とてもハンサムな人なので、今後、良い作品に恵まれれば日本でも人気が出るかもしれない。

 その妻で最初の犠牲者となるリサ役のローラ・リーガンは、やはりTVで活躍していた人だが、日本では劇場公開されたビデオ作品の「インビジブル2」(Hollow Man II・2006・米)に女博士役で出ていた人。

 若い後妻のエラを演じたアンバー・ヴァレッタは、元スーパー・モデル。ロバート・ゼメキス最後の実写監督作品「ホワット・ライズ・ビニース」(What Lies Beneath・2000・米)から女優に転向したそうで、最近では「トランスポーター2」(Transporter 2・2005・仏/米)で人妻役や、ウィル・スミスの「最後の恋のはじめ方」(Hitch・2005・米)のセレブなどをやっていた人。

 父エドワード役のボブ・ガントンは、最近はTVでの活躍が多いようだが、古くはマシュー・ブロデリックの南北戦争映画「グローリー」(Glory・1989・米)や、スタローンの「デモリッションマン」(Demolition Man・1993・米)、大傑作「ショーシャンクの空に」(The Shawshank Redemption・1994・米)、「ジム・キャリーのエースにおまかせ」(Ace Ventura: When Nature Calls・1995・米)などに出ている。

 頼りにならない刑事リプトンを演じているのは、ドニー・ウォールバーグ。「ザメシューター/極大射程」(Shooter・2007・米)のマーク・ウォールバーグの兄だ。「ボディ・カウント/ヤバい奴ら」(Body Count・1996・米)でヤバい奴らを演じていた人。最近では「ソウ3」(Saw III・2006・米)に出ていた。

 監督とストーリーはジェームズ・ワン。マレーシア生まれの30歳の若手監督。「ソウ」(Saw・2004・米)の監督だが、この出来では前作が泣くのでは。

 脚本は「ソウ」の脚本と主演のリー・ワネル。オーストラリア生まれの30歳。「ソウ」は良かったが、この脚本ではなあ……。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は25分前に着いたらすでに会場済み。入ってみるとオバサンが1人座っていた。フラットな床で系列館中最も見にくい劇場での上映。最終的には全席自由の272席に30人ほどだったので、助かった。床に傾斜がついていて、イスが千鳥配列なら、大きさはいい劇場なのに……。

 年齢層は若い人が3/4くらいと多く、男女比は6対4で男性が多かった。

 ブザーが鳴って、暗くなって始まった予告編は……上下マスクの「ランボー最後の戦場」は、やっと内容がわかるバージョン。しかしスタローンの決めゼリフはなぜクサく感じてしまうのだろうか。ボクの偏見なのか。決して嫌いじゃないのに。アメリカでは「ロッキー・ザ・ファィナル」(Rocky Balboa・2006・米)同様評判が良かったらしく、早くも「ランボー5」の話が浮上しているらしい。確かに諦めない男だ。

 日本の漫画が原作らしい香港・日本合作映画「軍鶏 Shamo」は、見たいなと思ったら日本語吹替版での上映らしい。うーん。しかも、さっぱり内容はわからない。


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