Balls of Fury


2008年3月30日(日)「燃えよ!ピンポン」

BALLS OF FURY・2007・米・1時間30分

日本語字幕:丸ゴシック体下、佐藤恵子/ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル、dts

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.moe-pin.com/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

1988年ソウル・オリンピックで、12歳にして卓球のアメリカ代表となった天才卓球少年のランディ・デイトナ(ダン・フォグラー)は、決勝まで進出するが、その試合に父(ロバート・パトリック)が中国マフィアのフェン(クリストファー・ウォーケン)とカケをしていることを知り、プレッシャーからドイツ代表のカール・ウルフシュターク(トーマス・レノン)に惨敗してしまう。さらに父までも殺され以来19年、すっかり落ちぶれたランディは、場末のバーで卓球芸を見せるマチネー芸人となっていた。そんなある日、フェンを追い続けているFBIのロドリゲス(ジョード・ロペス)捜査官が現われて、フェンが開催する裏卓球世界大会にスパイとして出場して欲しいと依頼してくる。

65点

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 笑えなかった。笑いたかったのに……。見どころは美人女優のマギー・チャンのお色気シーンと、クリストファー・ウォーケンの怪優ぶりのみ。主人公にあまりにも魅力がなさ過ぎ。馴染みのない俳優なので、もっと人柄が良いとか、憎めないとか、何かないと特に日本の観客が付いていくのは難しいと思う。普通の人に見えて、どうでもいいという感じ。

 ただ、もしSFXで太ったように見せているのだとしたら、それはそれでスゴイけど。ひょっとして嫌われるようにわざとボサボサのロン毛で、プレスリーみたいなデカイもみ上げにしているのだろうか。

 何と言っても、字幕がひど過ぎ。「だっせー」とか「マジ?」とか「カッケー」とか、いまの若者用語みたいな口語を無理して字幕にしているから、読みにくいし、アメリカ人がこんな言葉遣いをするかという違和感あり過ぎ。もしDVDが出るとしたら(買わないが)、今しか通用しないはやり言葉字幕はやめてほしい。字幕で無理して笑わせようなんて、どうかしている。

 ちゃんと設定やプロットなど「燃えよドラゴン」(Enter the Dragon・1973・香/米)をパロッているところは買える。ただタイトルは「ドラゴン怒りの鉄拳」(Fist of Fury・1971・香)のパロディだろうが……うーむ、中途半端。ピンポン・シーンはほとんどが3D-CGのようで、どんな超絶技もまったく感動がない。せめて本物の凄い技くらい少しは見せてくれても良いのに。試合もまったく盛り上がらない。最初から現実感のないラリーばかり。すべてが3D-CGでもいいから、凄い技だけは、ここぞというところで使ってくれないと。

 監督と脚本家のコンビは、ロバート・ベン・ガラントとトーマス・レノンの2人。この2人はともに「TAXI NY」(Taxi・2004・米/仏)、「キャプテン・ウルフ」(The Pacifier・2005・加/米)、「ハービー/機械じかけのキューピッド」(Herbie Fully Loaded・2005・米)、「ナイトミュージアム」(Night at the Museum・2006・米/英)などを手がけた人。この中で良かったのは「キャプテン……」と「ナイト……」の2本……。つまり設定はそこそこ悪くないので、監督によるというところか。2人とも役者もやっていて、本作ではトーマス・レノンがドイツ人選手カール役で、日本次には笑えないおバカぶりを発揮している。

 主演のダン・フォグラーは日本ではほとんど知られていない。歌手でもあり、映画には1999年から出ているらしいが……。この夏公開予定の「カンフー・パンダ」の声の出演も含めて、新作が5本くらい控えているのだから、アメリカでは人気があるのだろう。

 敵のボス役でクリストファー・ウォーケンが出ているのにはビックリ。昔はシリアスな役しかやらなかったが、最近では「ヘアスプレー」(Hairspray・2007・米)の気のいいお父さん役など、コミカルな約に挑戦している。

 冒頭にちょっとだけ登場する主人公の父役はT-1000こと「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgement Day・1991・米)のロバート・パトリック。つい最近「テラビシアにかける橋」(Bridge to Terabithia・2007・米)で主人公のお父さん役を演じていた。

 ポンポンの名人を演じたマギー・Qは、「レディー・ウェポン」(Naked Weapon・2002・香)などでお色気とアクションを披露していたが、「M:i:III」(Mission: Impossible III・2006・独/米)をきっかけにハリウッド進出。「ダイ・ハード4.0」(Live Free or Die Hard・2007・英/米)でも敵役で大活躍。本作では唯一光っていたのでは。

 その父親役はジェームズ・ホン。「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米)で目玉を作っていた人。

 敵の組織の幹部を演じていたのは、ケイリーヒロユキ・タガワ。「ラスト・エンペラー」(The Last Emperor・1987・伊/英ほか)が強烈だった。最近では「Sayuri」(Memories of Geisha・2005・米)で芸者を買う男爵を演じていた。

 中国人の荒くれ者を演じていたのは、ジェイソン・スコット・リー。「ドラゴン/ブルース・リー物語」(Dragon: The Bluce Lee Story・1993・米)でブルース・リーを演じた人。SFの「ソルジャー」(Soldier・1998・米)以降、あまり見かけない気がしたら、こんなところにいたか。

 人気TVドラマ「HEROES/ヒーローズ」で有名になった日本人マシ・オカもほんのちょっとだけ出てくる。見落とさないように。

 悪の組織は武器の密売をしているという設定なので、いろんな銃が出てくる。AK、UZI、たぶんベレッタM12、ショットガンとか。FBIの特殊部隊はH&KのUMP、M4カービン、そしてなぜかベレッタM93Rなど。ひょっとしたらトイガンだったかもしれない。FBIのロドリゲスが最初に使っていたのはP228のような感じ。

 公開9日目の初回、銀座の劇場は初回のみ全席自由なので50分前に着いたらオヤジが1人。20分前くらいになってようやく開場。この時点でもオヤジが4人。最終的には183席に20人弱くらいの入り。この出来ではしようがないだろう。女性は3人くらいでやや年齢が高く、若い男性は5人くらい。父に連れられた小学生くらいもいたが……。

 半暗で始まった予告で気になったものは……フレディ・ハイモア少年主演の「奇跡のシンフォニー」は、親と会うとか合わないとか、内容はよくわからなかった。ただフレディ・ハイモアが出ることと、感動作らしいことはわかった。タイトルもなかなか出ないし。

 ジョージ・クルーニーの上下マスク「フィクサー」も、もうすぐ公開だというのに、やっぱりよく内容がわからない。さすがに見どころを先に見せるような予告はなくなったが、最近はタイトルも内容もわかりにくいものが増えてきたような気がする。

 暗くなって、ドルビー・デジタルの宇宙版のデモがあってから本編が始まった。


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