The Chronicles of Narnia: Prince Caspian


2008年5月25日(日)「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」

THE CHRONICLES OF NARNIA: PRINCE CASPIAN・2008・英/米・2時間30分(IMDbでは147分、米版は144分)

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(Arri、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(日本語吹替版もあり)
(米PG指定)

公式サイト
http://www.disney.co.jp/narnia/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

今のナルニアはテルマール人によって支配され、生き残ったナルニアの民は森の奥深くに隠れ棲んでいた。そんなある日、先王亡き後、弟ミラース(セルジオ・カステリット)が実権を握っていたが、息子が生まれたことを受けて、先王の息子カスピアン王子(ベン・バーンズ)の暗殺指令を出す。博士の助けで伝説の角笛とともに森に逃げ込んだ。しかし追いつめられ、捕まりそうになった時、角笛を吹く。すると第二次世界大戦中のロンドンにいたピーター(ウィリアム・モーズリー)、エドマンド(スキャンダー・ケインズ)、スーザン(アナ・ポップルウェル)、ルーシー(ジョージー・ヘンリー)の4人はナルニアの地へと運ばれる。そして、隠れていたナルニアの民も現われ、カスピアン王子を助ける。

74点

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 驚いた。長大な話。それも一転二転し、失敗しながら成功へとつなげて行く物語。ほとんどは戦闘シーンで、ほとんどはSFX満載。どれだけお金が買ったのか想像もできないほど。贅沢で豪華で、映画らしい映画。スケールがデカイ。

 ただ、前作で面白かった現実世界とナルニアの世界とのギャップや橋渡しがなくなった分、ファンタジー感は薄れている。もちろん異世界で進む話だが、もう異世界は存在する前提で、驚きはなく、ミノタウルスやケンタウルスといった獣人も普通にいて、相手が普通の人間たちだから、良くできているが中世あたりの普通の合戦物語のような雰囲気。あまりおとぎ話的ファンタジーを期待すると肩透かしになるかもしれない。

 合戦に関しては「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring・2001・米/ニュージーランド)シリーズやブラッド・ピットの「トロイ」(Troy・2004・米ほか)、リドリー・スコット監督の「グラディエーター」(Gladiator・2000・英/米)となんら変わらない印象。ただ大軍を目の前にしておいて、1対1の大将戦を行うものの、ちゃんとその後には全軍の大規模な合戦も用意されていて、観客の期待を裏切ることはない。

 若い“少年少女”たちが必死にがんばり、今できることを一生懸命やりとげようとする。一方受けて立つのは老練で姑息な手段を弄する“大人”という構図。このへんもおもしろい。

 前作「第1章:ライオンと魔女」(The Lion, the Witch and the Wardrobe・2005・米)から引き続き出演の4兄弟姉妹は、3年しか経っていないのに、みな大人びてきている。特に成長著しいのが末娘のジョージー・ヘンリー。1995年生まれというから13歳。中学生になれば大人っぽくなるか。いたずらっ子っぽいところがなんともかわいい。不思議なことでも信じる気持ちがピュアで、それに感動させられる。今回の来日では日本語も交えて挨拶したらしい。恐るべき13歳。

 色っぽいのは、カスピアン王子と何となく引かれあうスーザンを演じたアナ・ポップルウェル。1988年生まれだからちょうど20歳。弓を射る姿が決まっていて、何ともカッコいい。彼女と、長男のピーターを演じたウィリアム・モーズリーは大人なのであまり変わっていない印象。カッコいい上にたくましい感じが良い。本作ではあまり頭は良さそうではないけれど。

 生意気エドマンドを演じたスキャンダー・ケインズは、第1作当時14歳。それが本作で17歳だから、中学生から高校生になったわけで、やっぱり成長著しい。ハンサムになってきた。本作では戦いっぷりも見事。

 この4人は2010年公開の次作にも出演予定とか。イギリス発音が物語にピッタリの雰囲気。次作で成長した姿を見るのが楽しみだ。ジョージーは15歳になっているわけだ。

 今回主役のカスピアン王子を演じるベン・バーンズは、本当に二枚目。ただ二枚目過ぎて、たくましさがない感じ。この熾烈な戦いを指揮して行くには貫録というかカリスマ性が足りないというか。ちょっと優男のイメージだ。とても良い人そうなんだけれど。「スターダスト」(Stardust・2007・英/米)で、主人公の父親ダンスタンの若い頃を演じていた人。この人も次作に出演するらしい。

 神のような存在のライオン、アスランの声を担当しているのは、前作から引き続き北アイルランド生まれの名優リーアム・ニーソン。実に落ち着いた優しい声で、まさに慈父というような感じ。包容力があって、頼りになる。この人(ライオン)がいれば、どんな問題も片づきそうな気がする。素晴らしい。

 監督はニュージーランド生まれのアンドリュー・アダムソン。前作から引き続きの続投で、監督が変わっていないからテイストも変わっていない。そこが良い。脚本にも参加しているし。ただ3D-CGアニメの「シュレック」(Shrek・2001・米)シリーズの監督というのが、中世冒険談という意外共通点が見当たらない。まあネズミの騎士が出てきて猫を縛り上げるが……。要は、才能がある人ということなんだろう。監督になる前はヴォル・キルマーの「バットマン・フォーエヴァー」(Batman Forever・1995・米)やシュワルツェネッガーの出た「バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲」(Batman & Robin・1997・米/英)などで視覚効果スーパーバイザーをやっている。次作はプロデューサーのみで、監督は「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(The Word is not Enough・1999・英/米)のマイケル・アプテッドが担当するらしい。

 ところどころ、明るい画面でコピー防止のドットが目立っていたのは残念。

 公開5日目の初回、前日に座席を確保しておいて20分前に着いたら、銀座の劇場はすでに開場済み。字幕版で下は小学生くらいからいたものの、ほとんどは中高年。男女比はほぼ半々。10分前から案内が上映され、5分前から「築地魚河岸三代目」の予告を延々と。しかもビデオっぽいし。

 最終的に2F席は8割くらいが埋まった。これはなかなかの人気。とにかく全席指定は来るのが遅い。特に早くに座席を確保しただろう中央、最前列近辺が遅い。

 半暗になって始まった予告で気になったのは……またまたシャイア・ラブーフ主演の上下マスク「イーグル・アイ」は、巻き込まれアクションらしく、予告するような奇妙な電話がかかってきて、50口径ライフルのM82A1が届き、特殊部隊が突入してきて、逮捕されて……スゴイ迫力で、面白そう。

 なんだか西遊記のような雰囲気の、ジャッキー・チェンとジェット・リー初共演の上下マスク「ドラゴン・キングダム」は、もうそれだけで見たい。ウィル・スミスがアル中で嫌われ者のスーパー・ヒーローを演じる「ハンコック」は、もの凄いアクション。これも思わず見たくなる。

 スクリーンがシネスコになって甘かったピンが来た。ビクサーの新作、「ショート・サーキット」みたいな「ウォーリー」の新予告。やっと内容がわかるようになった。まるで写真のようなビジュアルも圧倒的。なぜか曲は「大脱走マーチ」。見たい。アシモっていう文字が見えような気がしたが……。おもしろい作品が目白押しだ。


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