[Rec]


2008年6月14日(土)「[●REC レック]」

[REC]・2007・西・1時間17分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、岡田壮平/ビスタ・サイズ(ビデオ)/ドルビー・デジタル

(仏-12指定、日R-15指定)

公式サイト
http://www.recmovie.jp/
(全国の劇場案内もあり)

TVリポーターのアンヘラ(マニュエラ・ヴェラスコ)は、ドキュメンタリー番組「眠らない街」の取材で消防署のひと晩を密着取材することになった。深夜、あるアパートで女性が閉じこめられたという通報が入り、2人の消防士が出動、アンヘラも同行する。現場には2人の警察官も到着しており、アパートの住民のほとんどは1階に集まっている。閉じこめられたという老女の部屋のドアを破って入ると、突然、老女が襲いかかってきて警察官の首に噛みつく。どうにかその部屋から抜け出し、重傷の警官を病院に連れて行くためアパートを出ようとすると、ドアが開かない。周囲は警官隊に包囲されてもすべての出入り口や窓は封鎖されていた。そして「建物は封鎖した。外へ出ずに中にいる警官の指示に従え」という拡声器の声が聞こえてくる。

65点

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 汚い絵と、怒鳴り声と叫び声からできている作品。これを映画と呼んでいいのか……ちょっと抵抗がある。しかも、たった77分が長い。カメラが動きまくるから、目が回って気分が悪くなる。描かれていることもえげつない。血が出まくり。一言でいえば、見せ方を変えただけの、普通のゾンビ映画じゃん。

 しかも、本当はこちらの方が先に製作されているのだが、日本では「クローバーフィールド HAKAISHA」(Cloverfield・2008・米)が先に公開されてしまったために、こちらのほうが低予算で真似して作ったような印象を受ける。途中でライトが消え、赤外線(ナイト・ビジョン)モードで撮影するところや、カメラマンが倒れてカメラだけ録画を続けるといった演出も、二番煎じ、物真似にしか見えない。やはり大予算のハリウッド作品の方がオリジナルに見えてしまう。だからだろう、IMDbでは7.7という驚くほどの高得点。ボクも先にこちらを見ていたら、高得点としたかもしれない。しかし……。

 とにかく、ちゃんとライティングもされている場所を撮影しているのだが、TVのドキュメンタリー番組で、手持ちカメラによる撮影という設定になっているので、カメラが揺れまくる。臨場感を出しているのだろうが、プロのカメラマンは肩載せのカメラ撮影でこんなに揺らしたり、無意味なズームなんかしない。TVのカメラマンをバカにしているのだろうか。

 その上、映画的な編集がなされているのに、ドキュメンタリー・タッチを出す演出として、NGカットや撮影前の打ち合わせみたいな部分まで残されている。こんな編集はありえない。それに巻き戻しまで入っているのはおかしいだろう。無編集という設定なら、やはり「クローバーフィールド」のようにしなければならないはず。その結果「クローバーフィールド」はつまらないし、本作はサスペンスというかドラマが盛り上がるようになっているが……。

 ストーリーはちゃんとある。しかも、ラストには事件の原因を匂わせるものも発見される。が、ドキュメンタリーという設定なので、もちろんそこから突っ込んだものはなく、ブツリと終ってしまうのだが。

 また主役のアンヘラのキャラクターが、かわいくない。美女なのだが、若く経験もなさそうなのに、ベテラン風に振るまい、生意気。ほとんどは怒鳴っているか、叫んでいるだけ。もっと魅力的で健気な女の子だったら……。

 アンヘラを演じたのは、マエラ・ヴェラスコ。スペイン、マドリッド生まれでなんと33歳。とてもそうは見えない。まるで22〜23歳の感じ。本当はもっとかわいい美女なのではないだろうか。ただ本作のキャラクターはそうではなかったと。日本公開された作品では過去に「欲望の法則」(Le Ley Del Deseo・1987・西)に出ているらしいが、見ていないのでなんとも……。

 監督と脚本は、ジャウマ・バラゲロとパコ・プラサの2人。どうやって2人の意見をまとめたのか不思議だが、ジャウマ・バラゲロは小劇場での公開で見なかったがホラー「ネイムレス 無名恐怖」(Los Sin Nombre・1999・西)で劇場映画監督デビューを飾り、アンナ・バキンが出た思わせぶりがっかりホラー「ダークネス」(Darkness・2002・米/西)、そして傑作病院ホラー「機械じかけの小児病棟」(Fragile・2005・西)を撮った人。一方パコ・プラサは、日本公開作品はないようだ。ただTVの「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」でジャウマ・バラゲロ監督と顔合わせしているそうだから、このとき意気投合したのかもしれない。

 警官が使っていた銃は1911オート。ガバメントのように見えたが、スペイン映画なのでスターかリャマかもしれない。構え(スタンス)はウィバー。今の主流を取り入れている。その分、謎の部屋にある録音装置が、オープン・リールのテープレコーダーとは。いつの時代なんだろう。スペインではまだ普通に使われているのか。

 しかし、こういう結末なら努力なんてすべて無駄では。そしてラストにタイトルが出るという演出。なぜなんだろう。

 公開初日の初回、六本木の劇場は50分前くらいに着いたら入口が開いていなかった。ビルの外に30人くらいの人。座っている人並んでいる人などバラバラだが、なんとなく列ができている形。中では人が準備をしているらしいのが見えるが、まったく案内や整列に来ない。7スクリーンすべて共通の入口なのでかなり混乱。ちゃんとした劇場なら普通、案内に来て整列させる。独自のルールを作っている(マニュアルに沿った)劇場は、臨機応変ということができない。

 20分前くらいになってやっと入口が開く。たぶん60〜70人はいたと思う。全席指定なので、これから当日券と引き換えで、また並ばなければならない。インタネット予約も機械の操作が必要で、何台かあるのに長蛇の列。しかも、当日券に引き換えても、10分前にならないとロビーから先に進めないという。ドリンク類を買ってロビーで待つ。ここも人でごった返している。ドリンクを買うのもレジが2台しか開いていなくて、長蛇の列。一体どれだけ並ばせるんだ。システムの押し付けっていうか。

 わずか10分しかなく、トイレに行って来たりするとすぐ10分は経つ。だからなのか予告が始まってからも入ってくる人が多い。最終的には148席に20人くらい。高齢者は少なく、若い人と中年の比は半々くらい。女性は5〜6人。ただ、階段状のスタジアム形式の座席ながら、スクリーンが低いため座高の高い人が前に座るとスクリーン下に出る日本が字幕が厳しい。

 非常口ランプも消えて暗くなって始まった予告編は……ジャッキー・チェンとジェット・リーが夢の共演を果たす西遊記のような「ドラゴン・キングダム」は新予告。だんだん内容がわかってきた感じ。もちろんインターネットの方がもっと詳しい予告だが……。面白そう。

 ドキュメンタリーの「バグズ・ワールド」は、またまたスゴイ映像なのだが、何だか「earthアース」(Planet Earth・2007・独/英)とか「ディープ・ブルー」(Deep Blue・2003・英/独)なんかのシリーズのような感じ。

 ドルビー・デジタルの機関車デモの後に、THXのデモがあり、本編へ。ただ、本編が始まってからも遅れて入ってくるヤツがいて、迷惑なヤツだなあと思っていたら、恐ろしいことが……その遅れてきたヤツの後ろの席の男が、遅れてきたヤツの席をちゃんと座るまでずっと後ろから蹴り続けていたのだ。気持ちはわからないでもないが、その行為に「キレる」とか「人が変わる」現代的な恐怖を感じた。こんなヤツがすぐ近くで一緒に映画を見ているなんて。もし突然暴れ出したらどうしようと、生きた心地がしなかった。

 入場プレゼントでバンドエイドと綿棒のセットをもらった。


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