Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull


2008年6月21日(土)「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」

INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL・2008・米・2時間02分(IMDbでは124分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision、Arrifles 435/235)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.indianajones.jp/top.html
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

1957年、ネバダ州の米軍兵器実験施設に、米兵に擬装したソ連軍の1団が侵入。さらってきたインディ(ハリソン・フォード)とマック(レイ・ウィンストン)に、女性指揮官のイリーナ・スパルコ(ケイト・ブランシェット)は倉庫にあるはずの1947年のロズウェル事件の時の箱を探し出せと強要する。箱を発見したインディは、スキをついて脱出、FBIに救出される。そんな時、バイクに乗ったマット・ウィリアムズと名乗る青年(シャイア・アビーフ)が現われ、オクスリー教授(ジョン・ハート)が発見したクリスタル・スカルを見つけ出して渡さないと母親のマリオン(カレン・アレン)が殺されるから助けて欲しいと言ってくる。

74点

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 すごい。さすがスティーヴン・スピルバーグとジョージ・ルーカスのコンビ。観客を全く飽きさせない、とてつもなく楽しい映画を作り上げた。まさにジェットコースター・ムービ。一難去ってまた一難、息つくヒマもないほど冒険のてんこ盛り。しかも、いままでの面白かったところを全部取り込んで、さらに1950年代の時代感満載で、ちょっとレトロで懐かしい感じに仕上げている。

 どうやって撮影したのかわからないようなチェイス・シーンは、本当にジェットコースター感覚。ハラハラ、ヒヤヒヤ。ギャグもたくさんちりばめられていて、笑える。コテコテではあるけれど、すごいなあ。料金分、たっぷり楽しめる。ただ、見終わって何か心に残るとか、深く感動するということはない。何も考えずに楽しむだけで良い。気軽なデート・ムービーとしては最高だと思う。おかしなところも多々あるものの、見ている時はあまり気にならないところがうまい。

 今回のお宝は水晶のドクロ。全世界に10数個あるらしいが、大英博物館にあるアステカの遺跡から出たとされたものと、フランスの美術館にあるものものは、ともに19世紀に作られたと判明したらしい。本作では、形がそれらとはちょっと違い、意外な真実が明らかになる。そこも見どころ。こういう答えだったか。スピルバーグだなあ。

 時代設定も、第1作の1936年(1981年公開)、第2作の1935年(1984年公開)、第3作の1938年(1989年公開)から20年ほど経過しているので、無理をせず1957年という設定にしているところが良い。もちろんハリソン・フォードが66歳になっているからで、不自然さがない。また1作目のマドンナ、マリオンが出てくるところも良い。あまり変わっていないのにも驚いた。走っている車、ファッションも。それほど1930年代とは変わっていない。それでいて、核実験とか、プレスリーの「ハウンドドッグ」とか、ポマード(グリース)、FBIのアカ狩りとか、1950年代の時代感たっぷり。これも良い。

 だから銃も米軍のM1トンプソンやM2カービン、M1919マシンガン、ソ連軍のAK47、AKS47、トカレフ、マックのハイパワーなど時代を反映したものが多い。インディがトラックから持ち出して使う対戦車兵器は有名なRPG-7のようだったが、配備されたのは1961年からだから、1949年から配備の始まったRPG-2の方だったかもしれない。ソ連軍が使う水陸両用ジープは、米軍に化けるためだったのか、たぶんフォードのGPA(細部は違うが……)。第二次世界大戦後期にはアメリカからソ連にも供与されたというから、ソ連の装備であってもおかしくない。この辺もグッド。

 ハリソン・フォードは1942年生まれ。本作の前は「ファイヤーウォール」(Fierwall・2006・米/豪)に出ていた。そろそろアクションものは辛いんじゃないかなあとおもっていたら、まだまだいけるようだ。この役がピッタリはまっている。

 今回相棒となるのはシャイア・アビーフは、「トランスフォーマー」(Transformers・2007・米)や「ディスタービア」(Disturbia・2007・米)ほどおバカな役ではないので、まあ安心して見られる。スピルバーグ監督のお気に入りというか秘蔵っ子だそうで、たしか「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(Indiane Jones and the Temple of Doom・1984・米)の子役のキー・ホイ・クアンも秘蔵っ子だったんじゃなかったっけ? その後TVに出たようだが、ほとんど映画に出ていないまま、すでに37歳。現在はマーシャル・アーツとスタント・コーディネーターをやっているらしい。シャイア・アビーフはどうなるんだろう。

 1作目のマドンナ、マリオンを演じたカレン・アレンはなんと1951年生まれだから57歳。とてもそんなには見えない。「レイダース……」も良かったが、「スターマン 愛・宇宙はるかに」(Starman・1984・米)が良かったなあ。ずっと映画やTVに出ていたようだが、日本公開されたものは少ないようで、最近の作品は「イン・ザ・ベッド・ルーム」(In the Bed Room・2001・米)らしいが見ていない。

 驚いたのは敵役のケイト・ブランシェット。さすがオスカー女優、新境地開拓といった感じ。いままでにない一面を見ることができる。黒髪おかっぱのヘアー・スタイルが独特の雰囲気を醸し出している。言われないとケイト・ブランシェットだとはわからないほど。「エリザベス:ゴールデン・エイジ」(Elizabeth: The Golden Age・2007・英/仏)のエリザベス女王を演じた人とは思えないほどの変わりよう。名女優は役を選ばないというところか。

 意外に地味な役だが、失踪したオクスリー教授を演じているのがジョン・ハート。変人の役が多い気がするが、ボク的には「エイリアン」(Alien・1979・米)の最初に犠牲となる乗組員の役は凄かった。ほかにも衝撃作「エレファント・マン」(The Elephant Man・1980・英/米)や、映画会社をつぶしたと言われる「天国の門」(Heaven's Gate・1981・米)などに出ている。最近では、「Vフォー・ヴェンデッダ」(V foe Vendetta・2005・米ほか)に出演していた。

 難航したという脚本を仕上げたのは、デヴィッド・コープ。「宇宙戦争」(War of the Worlds・2005・米)や「ザスーラ」(Zathura: A Space Adventure・2005・米)、「シークレット・ウィンドウ」(Secret Window・2004・米)という、どちらかというと退屈な作品を最近書いている人。ただ、「トイ・ソルジャー」(Toy Sildiers・1991・米)や「ザ・ペーパー」(The Paper・1994・米)「パニック・ルーム」(Panic Room・2002・米)などの脚本がおもしろい作品も手がけている。本作はたぶん当たりだ。

 ロードショー公開の初日の初回、新宿の劇場は50分前に着いたら前売り券の列に40人くらいの人。当日券も同じくらい並んでいた。ただ。列がごっちゃになっていて、まもなく案内があって分けられた。25分前くらいになって当日券の販売が始まり、20分前くらいに開場。この時点でたぶん両方の列に100人くらいずつ。若い人から老人まで観客層は広く満遍なくいた感じ。男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。

 全席自由で、カバーの席はなし。入場した時点で1,044席に3.5割ほどの入り。最終的には9割ほどが埋まってしまった。さすが話題作。1週間前に先行公開していたというのに、この入りはスゴイ。

 スクリーンはビスタで開いていた。関係者らしい一団が7〜8人。ビデオ・カメラ取材が入っていたからか、いんでぃー・じょーんずてのコスプレ野郎が2人。ホルスターに鞭まで持っていた。日本にはどうにも馴染まない感じだが……。浮きまくり。周囲から奇異な目で見られていて、それが快感なのか、よくわからん。

 半暗になってCM・予告。完全に暗くならないので、暗い画面だと良く見えない。でも、途中から入ってくるヤツに気を遣う必要なんかあるのだろうか。

 「20世紀少年」は新予告。ちょっと恐そうで、なかなか面白そう。「崖の上のポニョ」はセリフありのバージョン。所ジョージも声優やっているんだ。

 絵も何も無しで、文字だけの予告は「ドラゴンボール」。2009年3月の公開らしい。まだ公式サイトもない。チョー・ユンファが出るらしいが……。

 それより、突然だったのは上下マスクの「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」。中国が舞台のようで、主人公の息子が活躍するらしい。兵馬俑がたくさんでてきて……ジェット・リーが悪の皇帝で、ミシェル・ヨーが主人公たちを導く役のようで、最後にはキングギドラのような三頭龍が! 見たい。

 暗くなり、スクリーンがシネスコになって、ドルビー・デジタルの洞窟版デモがあって、本編へ。ルーカス・フィルムのロゴが出た時点で「よっ!」とか声をかけるヤツがいて、不自然な拍手。「エイリアン2」の時は本気の拍手で鳥肌が立ったけど、どうも関係者のようで、逆に引いた。


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