Mercury Man


2008年6月28日(土)「マーキュリーマン」

MERCURY MAN・2006・タイ・1時間46分

日本語字幕:細丸ゴシック体下、塩崎裕久/ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル

(シンガポールNC-16指定)

公式サイト
http://www.mercuryman.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

チベットの寺院にアリーナ(メティニー・キンバヨーム)率いるテロリストの1団が侵入、太古の隕石から作られたという「月の護符」が盗み出される。さらにタイのバンコクの消防士チャーン(ワサン・カンタウー)は刑務所の火事に絡む脱獄騒動の際、「太陽の護符」を体内に注入されてしまう。そしてそれからチャーンは体に異変が起きていることに気付く。そんな時、チベットから「月の護符」を追ってきたプニマ(ジンウィパー・ゲーウガンヤー)から「太陽の護符」によって超人になりつつあることを知らされる。善となるも悪となるもあなた次第で、力をコントロールできるようにならなければならないと。一方テロリスのボス、ウサマ・アリ(アノン・サーイセンチャイ)は絶大なパワーを得るため「月の護符」と「太陽の護符」を合体させ、それによって得たパワーで妹を殺したアメリカに復讐しようとしていた。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーむ、タイ映画は良いと感心するものか、これはどうだろうと頭をかしげるもののどちらかに分かれることが多いようだ。本作は後者の方。しかも2006年の作品だし、なぜ今さら……。感覚的には昔の日曜朝の子供向けTV番組のような感じ。大人にはちょっと……演技も演出も、きついかなあ。何回か気を失った。長い!

 ただ3D-CGだけはなかなかの完成度。若干、色味や解像度などで物足りない感じがするものの、実にレベルが高い。これは見る価値がある。というか、見どころはここ。雰囲気が「スパイダーマン」(Spider-man・2002・米)に似ているので、あれを撮りたかったのかもしれない。そこにタイらしく「月の護符」「太陽の護符」などという仏教的な要素と、テロという現代的な要素も取り込んで、独特の世界観を作り上げてはいる。スーツはオカマの妹(弟?)に作ってもらったので、当然ファスナーなどがあってもいいわけで、堂々とファスナーの場所がわかったりする。日本の傑作ヒーローもの「ゼブラーマン」(2003・日)的な処置か。

 アクションは、女の子たちがちと辛い。たぶんほとんど素養のない女優さんなのだろう。そして動きもあまり速くないのだろう。それを隠すためにカットがものすごく細かく割られている。コマ落としにはなっていないものの、割られ過ぎていて、何が起こっているのかわからない。せっかくのアクションが台無し。はたしてコマ落としと、ノーマルと、カット割りとどれが良かっただろう。難しいところだ。そもそも彼女たちにアクションをやらせたのが間違いかも。

 悪い方の女性、アリーナ役はメティニー・キンバヨーム。タイっぽくない感じの美女。これまでに2本の劇場作品に出ているようだが、作品自体の評価が低く、辛い感じ。本作では、彼女のせいではないのだが、自分に「月の護符」を埋め込んで変身した姿がしょぼい。セパレートの水着にキクラゲみたいなものをつけて白塗りにしただけ。「X-メン」(X-men・2000・米)のミスティークを狙ったんだろうけどレベルが違い過ぎる。学芸会並みといったら言い過ぎか。特にパンツがデカイのがダサイ。ブルマーか思うほど。それに、普通の格好でも、当たり前のように大きなナイフを腰に下げているのは罪にならないのだろうか。

 「太陽の護符」を追ってくるプニマを演じたのは、ジンウィパー・ゲーウガンヤー。タイらしい美女で、本作が初めての劇場作品出演作らしい。もうちょっとカンフーができないとなあ。それにニキビがひどかったようだが……。

 アクション監督はパンナー・リットグライ。傑作アクション「マッハ!」(Ong-bak・2003・タイ)のアクション監督をやった人で、なかなか良かった「トム・ヤム・クン!」(Tom Yum Goong・2005・タイ)でもアクション監督を務めている。最近公開された「ロケットマン!」(Fire Warriors・2006・タイ)では、黒鬼役で出演も(なぜか、みんな末尾に!が付く!)。彼の弟子がトニー・ジャーらしい。まあ、この人が手がけたからといって、すべてが面白いわけではない。

 脚本と監督はバンデッド・ソンディ。この前に日本劇場未公開だがDVDが発売されているホラー「ビハインド」(The Unborn・2003・タイ)、そして2002年にミュージカル・コメディも撮っている。3作目でアクションで、得意なのは何なのだろう。少なくともアクションは向いていないのでは。彼女も普通に大きなナイフを下げているし。

 良かったのはタイトルの後のキャストやスタッフの名前の見せ方。煙のように消えていく感じがオシャレ。誰がったのかわからないが、センスが良い。ただ、内容とのバランスは取れていないが。

 テロリストたちが使うのはAK47とベレッタM92。検問を張るアメリカ軍はM16A2。ほかにステンレス版のM92や、XM177も出ていた。そういえば、主人公の部屋には日本茶のペットボトルが合ったような気がしたが……。それと、エンディングのクレジットで、レイコ・クラタの名があったが、何をやっている人なんだろう。気になった。

 公開初日の3回目、40分ほど前に着いたら、ロビーには6〜7人の男性。老若比は半々というところで、女性は1人もいなかった。30分くらい前から人が増え出して、15分前に入れ替えになった時には20人くらいに。

 最終的には、177席に30人ほどの入り。女性は2〜3人。まあ、こんなものだろう。初回にはなぜかグラビア・アイドルの舞台あいさつがあり、プレゼントもあったようだから、そこに集中した反動だろう。

 スクリーンはビスタで開いていて、くらくなって始まった予告編で気になったのは……にかくタイトルが出るのが遅いので覚えるのが大変。もっと速くタイトルを出せ! で、ファンの署名によって日本での劇場公開が決定したという「ホット・ファズ」は、007のティモシー・ダルトンも出演しているようで、見たいが上映劇場がなあ……。お金を払う気になれない。

 これまた、なかなかタイトルが出ないゾンビ映画は「デイ・オブ・ザ・デッド」。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」、「ドーン・オブ・ザ・デッド」と続く3部作なんだとか。なんだかゾンビの動きがものすごく速い。天井も這う。ただ、やっぱり劇場が。

 「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」は、ちゃちなところなんか、やっぱりウケ狙いなんだろうなあ。メインのキャストが「ザ・ニュースペーパー」の3人で、あのメイクだし。


1つ前へ一覧へ次へ