CJ7


2008年6月29日(日)「ミラクル7号」

長江七號・2008・香・1時間28分(INDbでは86分)

日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(マスク、Arriflex 535 B、Super 35)/ドルビー・デジタル

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/cj7/
(音に注意。入ると画面極大化。全国の劇場案内もあり)

廃虚のような建物に二人で暮らす父のティー(チャウ・シンチー)と、小学生の息子ディッキー(シュー・チャオ)は、母親が病気の末に死んだため治療費や葬式代の借金があり極貧生活を送っていた。ディッキーはそのために学校でいじめられ、先生からも嫌われている始末。しかし美人のユエン(キティ・チャン)先生だけは別で、しかもディッキーはいつも明るく元気だ。そんなある日、学校の友達の間で流行っているミラクル1号という玩具を買ってくれとディッキーに懇願されたティーは、いつものようにごみ捨て場へ行ってものをあさっていると、そこから1機のUFOが飛び立ち、後に緑色のボールのようなものが落ちている。ティーはそれを持ち帰り、ディッキーに玩具として渡すが、突然それは球体から犬のような生物へと姿を変える。ミラクル7号と名付けたディッキーは、かばんに入れてそれを学校へ連れて行くが……。

73点

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 うーん、下らないと思ってしまうのに、感動する。ちょっと涙が……。チャップリンのような極貧、カンフー、美女、ナンセンス・ギャグ、3D-CG、マンガ的表現……まさしくチャウ・シンチー映画。チャウ・シンチー監督・脚本・主演映画「少林サッカー」(少林足球・2001・香)や「カンフーハッスル」(Gong Fu・2004・香)と構造はそっくり。

 映画では、子供と動物(のような宇宙人)には勝てないと言われるが、本作もそのパターン。天才子役のシュー・チャオと、かわいらしい3D-CGキャラクターのミラクル7号の印象が強く、父親役のチャウ・シンチーと美人先生のキティ・チャンもかすんでしまった感じ。

 チャウ・シンチーはごま塩頭になっていたが、これは本物だろうか。漢字では周星馳と書き、作家の馳星周はチャウ・シンチーのアナグラムというのは有名というか、誰でも気が付く。1962年生まれというから46歳で、白髪は微妙なセン。彼は現代のチャーリー・チャップリンになりたいのだろうか。どの作品にもそんな匂いがするが、特に本作はその感が強く、「E.T.」(E.T.: The Extra-Terestrial・1983・米)より、なんとなく「キッド」(The Kid・1921・米)を彷彿とさせる。TVの子供番組の司会からキャリアをスタートさせたというから、子供の扱いはお手の物なのかも。

 息子役のシュー・チャオは、実際には女の子なんだそうで、さらにチャウ・シンチーの養女なんだとか。二重にビックリ。それにしても、この演技力はただ者ではない。劇中は本当に男の子にしか見えない。まあ10歳だから、髪を短くすると性別がわからなくなるのは当然かもしれないが。今後に注目だ。

 3D-CGのナナちゃんことミラクル7号は、犬系の4つ足だが、どこかに秘密のポケットでもあるらしく、色んなものを獲り出して見せる。まるで「ドラえもん」のようだと思ったら、チャウ・シンチーは「ドラえもん」の大ファンなんだとか。だとすれば猫か。ラスト、橋の向こうから出てくる雰囲気は、ブラッド・ピットの「ジョー・ブラックをよろしく」(Meet Joe Black・1998・米)のラストとそっくり。チャウ・シンチーは映画オタクか。

 美人の女先生を演じたのは、キティ・チャン。がっかりだった「少林少女」(2008・日)で中華食堂のアルバイトの女子大生を演じていた人。ほぼ新人だ。

 使われている曲はディスコ・ミュージックとしてかつて流行った昔懐かしい曲が多い。これはなぜなんだろう。単にチャウ・シンチーが好きなだけかもしれない。

 公開2日目の2回目、字幕版の1回目、30分前に着いたらロビーには7〜8人の人。20分前くらいに列を作るように案内があって、15分前に入れ替え。全席自由で、この時点で30人くらい。女性は7〜8人。2/3は若い人。

 どの席からもスクリーンが見にくい劇場で、混んだらどうしようと思っていたものの、最終的には224席に40人くらいの入りで助かった。前の席に人がいなければ困ることはない。

 アナウンスが流れて、カーテンが上がって、暗くなってからスクリーンはシネスコからビスタへ。押井監督の「スカイ・クロラ」は新予告に。「攻殻機動隊2.0」の予告も。かなり変わった印象。やっばり混むんだろうなあ。見たいけど、それが嫌だ。

 同じくアニメで「クローン・ウォーズ」は3D-CGだが、キャラクター以外はものすごく写実的でリアル。音も素晴らしい。実写版と違和感がない。ジョージ・ルーカスが撮りたかったのはこれじゃないの? そういう意味ではやっぱり見ておきたい。C3POとかR2D2とか、ストーム・とルーパーなんかは3D-CGで全く違和感なし。

 「インビジブル・ターゲット」はショーン・ユーらが出るポリス・アクション。監督は「香港国際警察/New Police Story」(New Police Story・2004・香/中)のベニー・チャン。これは見たい。ただ、劇場が……。


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