The Happenning


2008年7月26日(土)「ハプニング」

THE HAPPENNING・2008・米/印・1時間31分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(with Panavision、1.85)/ドルビー、dts 、SDDS

(米R指定、日PG-12指定)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/happening/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ある日突然、アメリカ東海岸の北東地域で有毒ガスによって人々がばたばたと死ぬ事件が発生する。毒は自然毒と思われ、原因は不明だが、テロではなく植物が関わっている可能性が高かった。高校教師のエリオット(マーク・ウォールバーグ)は、妻のアルマ(ズーイー・デシャネル)と、同僚で親友のジュリアン(ジョン・レグイザモ)とその娘ジェス(アシュリン・サンチェス)とともに郊外を目指して脱出するが……。

71点

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 やっぱりシャマランはやってくれた。ミステリーの解決も謎の答えもなし。テーマとしては、人間に対する自然の逆襲……ということなんだろうけれど、人類に希望はほとんどなく、絶望と暗い運命が描かれている。どちらかといえば、人を怖がらせて、絶望に追い込み、大いなる警告を持って終わる。暗い気持ちで劇場を後にすることになる。

 映画としては、破綻していないし、画面で登場人物たちはかぶらないようにきれいに並び、計算された絵で、サラウンドの音響効果もうまく使われている。演出も当を得たものだと思う。残酷シーンは描きすぎの感じがするものの(そのため珍しく日本でもPG-12指定。かなり気持ち悪くなる)、問題は脚本というかストーリーなのではないだろうか。

 怖がらせ方は、ほとんどが突然大きくなる音楽。常套手段だが、あまりフェアとはいえない。怖がらすというよりびっくりさせるもの。そして残酷さ。自然の恐ろしさを訴えるためということなんだろうが、やり過ぎだと思う。

 印象は「レディ・イン・ザ・ウォーター」(Lady in the Water・2006・米)っぽいことを、「サイン」(Signs・2002・米)っぼく描いたという感じ。M・ナイト・シャマランという人の作品は「シックス・センス」(The Sixth Sense・1999・米)以外で良いと思えたものがないのだが……。どうして作品を作り続けられるのか不思議。自分が製作しているから?。

 主演は「ザ・シューター/極大射程」(Shooter・2007・米)のマーク・ウォールバーグ。本人はあまり好きではないらしいがもやっぱりこの人はアクションが良い。「勇気あるもの」(Renaissance Man・1994・米)のダニー・デヴィートの教え子の軍人役が良かったし、バリバリのアクション「ビッグ・ヒット」(The Big Hit・1998・米)がとにかく良かった。各賞の候補となった香港映画のリメイク「ディパーテッド」(The Departed・2006・米)はたいして良いとは思わなかったが。「ザ・シューター……」はスナイパーとしての説得力もあり良かったのに、本作に出るなんて……。全然魅力が発揮されていない。

 その妻アルマを演じたのは、ズーイー・デシャネル。冒頭から不倫の雰囲気を漂わせるため観客から見放されてしまうようなキャラクターで、非常に損をしていると思う。ケイト・ハドソンの「あの頃ペニー・レインと」(Almost Famouus・2000・米)で注目されたらしいが、小劇場での公開だったので見ていない。ボク的には、やはり小劇場公開で公開されたのでビデオで見た傑作SF「銀河ヒッチハイク・ガイド」(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy・2005・米/英)で主人公が恋した美女役が良かった。

 主人公の同僚で親友のジュリアンを演じたのはジョン・レグイザモ。悪役のイメージが強い人なので意外なキャスティング。ただ、すぐいなくなってしまうのにはガッカリした。日本のゲームの映画化「スーパーマリオ/魔界帝国の女神」(Super Mario Bros.・1993・英/米)のルイージ役とか、ドラッグ・クィーンを演じた「3人のエンジェル」(To Wong Foo Thanks for Everything, Julie Newmar・1995・米)、「スポーン」(Spawn・1997・米)のオリジナルがわからないような特殊メイクの怪人役など、実に多芸多才な人なのだが、「ボディ・カウント/ヤバい奴ら」(Body Count・1996・米)の悪役があまりに強烈で、以来すっかりそのイメージ。

 その幼い娘ジェスを演じたのはアシュリン・サンチェス。ポール・ハギスの大傑作「クラッシュ」(Crash・2004・米)で、マイケル・ペーニャが見えない防弾マントをあげる外に出られない5歳の娘を演じていた子。

 公開初日の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら誰もいなかった。40分前くらいに5人ほどになった。中年男性3人と中年以上の女性と、20代後半くらいの女性。暑い日だったがなかなか開場せず、25分前くらいでようやく開いた。この時点で20人くらい。ほとんどは中年男性。「シックス・センス」にやられちゃった人たちか。僕もその口だが。

 最終的には406席に4割ほどの入り。あれだけ裏切られ続けてもまだ入るか……。中学か高校くらいの10人くらいのグループが目立っていた。彼らは何を期待してきたのだろう。

 スクリーンはビスタで開いていて、暗くなって始まった予告編は……上下マスクのヒュー・ジャックマンとニコール・キッドマンが出る「オーストラリア」は、内容が全くわからなかったが、「ムーラン・ルージュ」(Moulin Rouge!・2001・豪/米)のバス・ラーマンが監督するらしい。なんかロン・ハワードの「遙かなる大地へ」(Far and Away・1992・米)ぽい感じがしたが……。

 驚いたことに、キアヌー・リーブスでSFの古典「地球の静止する日」(上下マスク)をリメイクするらしい。ジェニファー・コネリーやキャシー・ベイツも出ている。途中から音が大きくなってサラウンドになったようだったが、設定を間違っていたのか。それにしてもリメイクばっかりだなあ。

 上下マスクで、FBI、スカリー、モルダーとくれば、もちろんあの人気TV番組の映画化第2作「X-ファィル:真実を求めて」。TVシリーズが終わって久しいので、待望の新作という感じ。


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