The Mummy: Tomb of the Dragon Emperor


2008年8月17日(日)「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」

THE MUMMY: TOMB OF THE DRAGON EMPEROR・2008・独/加/米・1時間52分

日本語字幕:手描き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://www.hamunaptra3.com/
(音に注意。)

1946年、リック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー)とエヴリン・オコーネル(マリア・ベロ)の大学生の息子アレックス(ルーク・フォード)は両親に内緒で大学を中退し、中国で古代遺跡の発掘調査中、ついに古代の皇帝陵を発見する。しかし謎の女リン(イザベラ・リョン)が現れ、発掘を邪魔しようとする。そのころ、リックとエヴリンはイギリス外務省の依頼により、かつて中国から持ち出した“シャングリラの眼”を返還するため上海に向かう。しかし、すべてはかつての皇帝(ジェット・リー)の復活を画策するヤン将軍(アンソニー・ウォン)が巧妙に仕組んだものだった。

74点

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 おなじみのキャラクターに新しいキャラクターが加わって展開する、連続活劇第3弾。第1作に日本で勝手に古代エジプトの死者の都“ハムナプトラ”をタイトルにしてしまったため、まったく関係のない中国でのミイラ話となってしまった。こんなに続編が作られるとは思わなかったんだろうなあ。

 とにかく、大冒険映画として良くできている。何の予備知識も必要なく、ただ頭を空っぽにして単純に楽しめる映画。ジェットコースター・ムービー。とにかくたっぷりと、眼でも、耳でも、奇想天外なストーリーでも、登場人物(キャストとキャラクター)でも楽しませてくれる。ここまで徹底してやってもらったら文句なしでしょ。

 印象としては「インディ・ジョーンズ」シリーズとそっくり。古代遺跡を発掘して、秘宝を取り合って、とんでもない事件が起こって、冒険に次ぐ冒険で、勧善懲悪、スカッと爽快。テンポもよく、感動的で、期待を絶対に裏切らない。多少ストーリー展開に無理なところがないではないが、見ている間はほとんど気にならないので、まあ、良いのではないかと。ただ、黒装束で襲ってくるのは忍者という発想はあまりにもハリウッド的だなあとは思うけど。中国の話なんだから。

 時代設定も1946年と第二次世界大戦直後と、本家「インディ……」の1957年ととそれほど違わない。1作目「失われた砂漠の都」が1926年(1999年公開)で、2作目「黄金のピラミッド」が8年後の1934年(2001年公開)、息子は本作で12年経っている設定なのですでに大学生と。

 それで、銃撃戦もたっぷりあるのだが、だいたい第二次世界大戦で活躍した銃器が登場する。その中でも父親リックは前作からリボルバーだったから、それを生かしてちょっと古めの選択をし、息子と武器自慢をするところが笑える。父はトンプソンM1928に50連ドラム・マガジンとリボルバー、またはガバメント。コルト・ピースキーパーとかいってSAAを出していたが(撃ったのはDAリボルバー)、ピースメーカーの間違いか。あとでPPSh41とステンSMGも使う。息子はPPSh43とP38(撃たなかったようだが)とハイパワー。のちにステンも使う。母はハイパワーの2挺拳銃(片方はタンジェント・サイト付き)、ウインチェスターM92かM94のレバー・アクションも。中国軍はSKSライフル(国産化した56式小銃だと時代が合わなくなるが、オリジナルもロシアが採用したのは1949年だから……)

 字幕はトンプソンがフリーズしやすいとなっていたが、セリフではジャムといっていたようだった。あとで作動不良になったときには、ジャムとはっきり聞こえたが、ジャムではわかりにくいと思ってフリーズにしたのか。どっちがわかりやすいかなあ。

 主要メンバーは、主役のリック役のブレンダン・フレイザー、妻の弟のジョナサン役のジョン・ハナーは前2作からの続投。なぜか妻のエヴリン役はレイチェル・ワイズからマリア・ベロに交代。何があったんだろうか。レイチェル・ワイズが売れたために、作品を選ぶようになったとか……。マリア・ベロはアクションものが多い女優さんで、特に印象的だったのはデヴィッド・クローネンバーグ監督の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(A History of Violence・2005・米/独)の夫の過去を知らない妻役。本作でも前作のレイチェル・ワイズにまけない活躍ぶり。ハイパワーの2挺拳銃とウインチェスターで大暴れ。

 息子アレックス役はルーク・フォード。オーストラリア出身の27歳。主にTVで活躍していた人で、2006年から映画に出ているようだが、日本公開された作品はないようだ。今後の活躍に期待したい。

 冷血の皇帝を演じたのは、すっかりハリウッド・スターが板に付いてきたジェット・リー。そして皇帝に呪いをかける妖術使いツイ・ユアンが、ボンド・ガールも務めたミシェル・ヨー。その娘リンがとても美しいイザベラ・リョン。マカオ生まれの20歳だ。香港のアイドル歌手で、オキサイド・パンとダニー・パンの「the EYE 3」(Gin Gwai 10・2005・香)でスクリーン・デビューした人。このヒットでハリウッドへ進出かも。

 皇帝をよみがえらせようとする現代のヤン将軍は、アンソニー・ウォン。香港映画にはなくてはならない人。最近では日本原作の「頭文字[イニシャル]D THE MOVIE」(Initial D・2005・香/中)に藤原文太役で出ていた。

 皇帝の副官で、ツイ・ユアンと恋に落ちるミン・グオを演じた二枚目は、ラッセル・ウォン。TVでの活躍が多いようだが、アシュレイ・ジャッドのサスペンス「ツイステッド」(Twisted・2004・米)で刑事を演じていた人。「ロミオ・マスト・ダイ」(Romeo Must Die・2000・米)ではジェット・リーと共演している。

 監督は前2作のスティーヴン・ソマーズから交代したロブ・コーエン。スティーヴン・ソマーズは今回プロデューサー役に回っている。スティーヴン・ソマーズ同様アクションものに定評のある人で、「ステルス」(Stealth・2005・米)や「トリプルX」(xXx・2002・米)、「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米)などを撮っている。

 脚本はロバート・デ・ニーロとエディ・マーフィの「ショウタイム」(Showtime・2002・米)の脚本を手がけたアルフレッド・ガフとマイルズ・ミラーのコンビ。「シャンハイ・ヌーン」(Shanghai Noon・2000・米)を手がけているから、中国系のネタは得意なのかも。

 ラスト、今度は舞台が南米になりそうな予感を残してエンディングへ。「カンフー・パンダ」(Kung Fu Panda・2007・米)のようなエンディングで、アニメで漢字が出るのも良い。デザインしたのは、カーリン・フォンという人。この前に「スパイダーウィックの謎」(The Spiderwick Chronicles・2008・米)や「シャーロットのおくりもの」(Charotte's Web・2006・米)などをファンター系を多く手がけている。

 アーマラー(武器係)は3人くらい出たが、ロケ地ごとに担当者が違ったのかもしれない。銃はある程度脚本に指定してあったのかもしれない。途中で銃が変わって戸惑うといったことはなかった。厳密に注意して見ると、違ったりしていた気もするが……。

 皇帝が変身するモンスターの1つが三頭龍。これって、ひょっとしてキングギドラ? そっくりだったけど。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は45分前くらいに着いたら、当日券に10人くらい、前売り券に5人くらいの列。40分前くらいに当日20人くらい、前売り10人くらいになり、35分前くらいに窓口が開いて当日券発売。30分くらい前に開場した。

 全席自由で、カバーの席はなし。この時点で50人くらい。男女比は半々くらいで、大学生くらいから中高年まで。割と幅広い。最終的には高校生くらいもちょっと増え、1,044席の4割くらいが埋まった。まあまあという感じだろうか。

 スクリーンはビスタで開いていて、半暗になって始まった予告編で気になったのは…… 撮影された絵はないが、太陽が映って「ドラゴンボール」と。まったく、概要さえもわからない。実写なのかCGなのかも言わない、実写って知っているけど。知らない人にはまるでちんぷんかんぷんだろう。

 ミュージカル「マンマ・ミーア!」は、なんとメリル・ストリープにピアース・ブロスナンという異色の顔合わせ。見たい。

 コテコテのラブ・ストーリーらしい「P.S.アイラヴユー」は、「300」のジェラルド・バトラーとヒラリー・スランクという組み合わせ。しかもキャシー・ベイツが出るという。ちょっと気になるが、完璧なラブ・ストーリーだからなあ。

 ロバート・ダウニーJr.の「アイアンマン」は「インクレディブル・ハルク」の予告より短いバージョンで、ちょっと物足りなかった。ただ絵はスゴイ。お金を出す価値がある。

 ハッセルブラッドのアップから始まるホラーの予告「シャッター」は、奥菜恵が出ていて、監督が落合正幸、撮影・柳島克己なので日本映画のハリウッド・リメイク版かと思ったら、違った。どこかで聞いたような話だなあと思ったら、タイの正当派ホラー「心霊写真」(Shutter・2004・タイ)のリメイク。脚本がもっと練り込まれてキャラクターが感情移入しやすいものになっていれば、すごいホラーになるはず。上映劇場数がすこし増えて、そこそこの大きさの劇場でもやるようなので、見たいかな。

 場内が暗くなり、スクリーンがシネスコになったので本編の上映かと思ったら、「ブレードランナー」風のドルビー・デジタルのデモ。そのあと本編かと思ったらなんとジョン・ウーの三国志こと「レッド・クリフ」の新予告。すごい。絵の力に圧倒される。なかなか重厚。金城武が出てるし。さらに、「ウォンテッド」の新予告。リアルさより格好良さ優先の映画のようだが、はたしてどうか。主要メンバー全員がトリガーに指をかけて、ハリウッド・レディ・ポジションで構えているけど……。日本語吹替版もあるというのが……子供向けなのか。コーナー・ショットに彫刻入り1911オートを取り付けて、フルオートで撃つシーンがあった。

 回転する地球の周りをユニバーサルの文字が出てきて、いつもは映らない日本が出てきて朝鮮半島から中国へ。そこへズームして映画が始まるという演出。なかなか。


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