Star Wars: The Clone Wars


2008年8月24日(日)「スター・ウォーズ クローン・ウォーズ」

STAR WARS: THE CLONE WARS・2008・米/シンガポール・1時間33分(IMDbでは98分)

日本語字幕:手描き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタル、dts、SDDS(THX、IMDbではドルビー・デジタルEX、DTS-ES、SDDS)

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/clonewars/
(音に注意)

A long time ago, in a galaxy far, far away... クローン戦争真っ盛りのあるとき、勢力を拡大する分離主義者のドゥークー伯爵(声:クリストファー・リー)は、ジャバ・ザ・ハット(声:ケヴィン・マイケル・リチャードソン)の赤ん坊を誘拐し、共和国軍の仕業に見せかけようとしていた。ヨーダ(声:トム・ケイン)は前戦にいるジェダイの、オビ=ワン・ケノービ(声:ジェームズ・アーノルドメテイラー)とアナキン・スカイウォーカー(声:マット・ランター)に救出を命じるが、分離主義者のドロイド軍の猛攻で釘付けになっていた。しかもアナキンは見習いのジェダイであるパダワンのアソーカ・タノ(声:アシュリー・エクスタイン)の教育係を命じられる。

70点

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 うーん、これは……完全な子供向きというか、ストーリーはちゃんとあるものの脚本が練り込まれていないというか、アラばかりが目立つというか、雑というか。演出の問題でもあるとは思うけれど……。

 正直、1時間半ほどが長い。ほとんど戦闘シーンばかりなのだが、何度も眠くて気を失いそうになった。ただ、キャラクター以外の3D-CGは実写のようでリアル。つまり、キャラクターは「ベオウルフ/呪われし勇者」(Beowulf・2007・米)や「ファイナルファンタジー」(Final Fantasy: The Spirits Within・2001・米/日)の轍を踏まず、あえて写実的にせずアニメチックにしたということだろう。それは成功している。ただ、ヨーダの頭だけはメロン・パンみたいに見えて仕方なかったが。

 モーション・キャプチャーだと思うが、動きがやっぱり不自然なところはたた見受けられる。操り人形っぽい。しかしキャラがアニメチックなこともあってか、そんなに気にならなかった。それより、どのキャラも皆しかめっ面で眉間にしわが寄っていて、暗い感じなのはどうなのだろう。せっかくアニメチックなキャラなのに、もっとかわいいというか、愛想のある設定でも良いのではないだろうか。パダワンのアソーカも生意気なだけで、ちっとも魅力がない。

 それにしても、戦闘シーンはめちゃくちゃ。クローン軍の銃列の前に将軍であるオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーが出て「撃て!」と命令するのだ。これでは指揮官たちに弾が当たってしまうではないか。また、撃ち合いの最中にアナキンが数名を引き連れてドローン軍の側面に迂回し、飛び込む。撃ち合いの最中なのだから、味方から撃たれる危険性の方が高いではないか。そればかりか、部下に「作戦は?」と聞かれて「後に続け!」。これでは間違いなく全滅してしまうだろう。

 数千規模の大軍による戦いで、将軍が先頭で指揮を執るのもヘンだが、ノー・プランで思いつき、というのもなあ。目を覆いたくなるほどのアバウトさ。

 セリフだけ格好良くしようとしているらしいが、小さなエピソードの積み重ねで感情を盛り上げていって出るセリフなら多少臭くても許せるが、いきなり言われてもなあ……。

 「スター・ウォーズ」のエッセンスや名場面を盛り込みながら、よくまとめられてはいるが、とてもTVっぽいというか、オタクっぽいというか……。好きな人が自主製作で作ったのなら、良く作ったなあということになると思うが、お金を取るプロの作品となると、いかがなものか。

 監督はデイヴ・フィローニという人。1992年に高校を卒業したというから、現在は35〜36歳か。とすれば、たぶん製作第1作目の「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)は劇場で見ていないだろう。そういう世代の時代になったのだ。これまでに1999年くらいからTVアニメのアシスタント・ディレクターやストーリーボード・アーティストとして関わってきたようで、アニメの監督を手がけたのは2005年の「Avatar」。この評価が非常に高かったらしい。

 脚本はヘンリー・ギルロイという人。やはり、ほとんどTVアニメのストーリーと脚本を手がけてきた人。ほかにスティーヴ・メルチンもほとんど同様の経歴。スコット・マーフィのみ実写のTVドラマ「エンジェル」(1999〜2004、「バフィー〜恋する十字架〜」のスピンオフ)を手がけている。

 声の出演で、実写版でドゥークー伯爵を演じていたクリストファー・リーと、ジェダイの1人メイス・ウィドゥを演じているサミュエル・L・ジャクソンが声もやっているのには驚いた。ちょっとしか出てこないが、C3POも声はオリジナルのアンソニー・ダニエルズが担当。

 エンド・クレジットで中国風の名前が多いなあと思ったら、CG関係の製作をほとんどシンガポールで行っているらしい。だから製作国がアメリカ/シンガポールになっていたんだ。コスト、そして技術レベルなどから選ばれたのだろう。今や香港、韓国はもちろん、シンガポール、タイなども非常にCGのレベルが上がっている。CG合成などが当たり前になってきた昨今、製作費を安くあげるためにCGを使っていたものが、逆に高く付くことにもなってきているというから、今後この傾向はますます強くなってくるのかもしれない。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は50分くらい前に着いたら20代くらいの男性が3人。雨模様の日で、35分前くらいに早めに開場。この時点で6〜7人、すべて男性。ペア・シート以外は全席自由。

 10〜15分前くらいからちょっと増えてきて、最終的には1,064席に60人くらいの入り。これはすぐに小さい劇場に移されそう。絵も、音もキレイだが、この出来では仕方がないだろう。下は小学生くらいから、高齢者もいたが、ほとんどは男性のアニメ・ファンという感じ。女性は6〜7人のみ。

 カーテンが上がって、明るいまま始まった予告編で気になったのは……とにかくなかなかタイトルが出ない予告が多く、覚えられないのだが……上下マスクの「インビジブル・ターゲット」は凄いアクションでなかなか面白そう。なぜ小さな劇場での公開なのだろう。香港映画だからか。大きい劇場で、良い音響で見ると、より面白そうに見えるから不思議だ。

 「252」は、新しい予告で、やっとハイパー・レスキューのコードで「生存者あり」の意味だとわかった。でも今のバージョンではそこまで。まだまだ正体不明というか……ローランド・エメリッヒの「デイ・アフター・トゥモロー」(The Day After Tomorrow・2004・米)みたい。ちょっと絵が古い感じが……。

 コテコテのようだが単なるラブストーリーではないらしい上下マスクの「最後の初恋」は、リチャード・ギア、ダイアン・レインの顔合わせ。予告は面白そう。

 場内が明るいため、暗いシーンが良く見えなくてきたない。これはもったいない。暗くなって、シネスコになって本編スタート。


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