20th Century Boys


2008年8月30日(土)「20世紀少年」

2008・日本テレビ/小学館/東宝/バップ/読売テレビ/電通/読売新聞/シネバザール/オフィスクレッシェンド/ディーライツ/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS・2時間22分

日本語字幕:手描き書体下/ビスタ・サイズ(デジタル)/ドルビー・デジタル



公式サイト
http://www.20thboys.com/
(MacのSafariではうまく表示されなかった)

2015年、「海ほたる刑務所」の特別懲罰房で、ある男が1997年から2000年12月31日にかけて起こった事件の真相を語り始めた。ケンヂ(唐沢寿明)はロック・スターになる夢をあきらめ、実家の酒屋をコンビニにして、失踪した姉キリコ(黒木瞳)の子カナコの面倒を見ていた。そんな時刑事が現れ、お得意先の一家全員が失踪した事件について何かしらないかと言ってくる。さらに小学生時代の同級生ドンキー(生瀬勝久)が自殺したという知らせが入り、葬式に行くとやはり宗教に絡んでのことと判明する。そしてその宗教団体のマークが、かつて小学生時代に仲良しの友達グループと作ったマークと同じだった。やがてサンフランシスコで細菌をばらまくテロが発生する。それは、かつて友達グループと秘密基地でケンヂが作った「よげんの書」とまったく同じ事件だった。

72点

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 人気コミックの映画化。ということで、すでに読んだ人を対象とするか、まだ読んでいない人も対象とするか。原作どおりに作るか、オリジナリティを出すか。でも、やっぱり映画は別物なんだけど。で、ボクは、これだけ大ヒットした原作コミックを読んでいない。そのためか、ほとんどわからない。わからないというか、面白さが伝わってこない。長い原作(週刊ビッグコミックスピリッツ1999〜2006年連載、全22巻)ゆえ、ストーリーというか段取りを追うのに精一杯という感じ。

 最初から三部作と言っているわけで、第一作目がヒットしたから次を作るわけではない。つまり、構成上、どうしても「起承転結」で言えば「起」にならざるを得ない。つまり提示された謎はほとんどが解決されないまま。本作がひとつの物語になっている感じがしない。さらに、原作はわからないが脚本の入れ子構造が複雑すぎて、より理解しにくい。2015年から始まって、1997年にさかのぼり、そこの登場人物がさらに回想して1969年にさかのぼるというややこしさ。三部作でなく一作限りなら1997年から始まっていたはず。映画は止めたり巻き戻しができない一方通行。ここをもっと配慮してくれないと……。

 昭和44年(1969年)くらいの時代設定は、たぶん50歳以上くらいでないと面白さがわからないと思う。実際、20代くらいの多い観客からそれにまつわるギャグに対する笑いは全くなく、(当たり前だが)ノスタルジーを感じている風も全く感じられなかった。ボクは面白かったが……。

 前半のカメラはワイドを多用し、あたかもTV「トリック」(TRICK・2000〜)の後期のややクォリティの落ちてきたあたりの雰囲気。TVっぽいあざといカメラ演出。そしてテーマが宗教と政治というところも「トリック」がたどり着いたところと似ている印象。最初は面白かったけどなあ……。

 ちょい役まで有名タレントが出ているのは気になる。役者さんで良いのでは。実力があるのに映画やTVに出られない人はたくさんいるのでは。そういう人にチャンスを回してあげるのも必要なのでは。同様に、今売れているお笑いの人を安直に使うのもいかがなものか。オビラジ、タカアンドトシとか。

 監督は映画とTVの「トリック」を手がけた堤幸彦。最近映画を作りまくりだけれど、アクション・コメディの「大帝の剣」(2007・日)は良かった。

 脚本には、原作者の浦沢直樹も加わっているが、ほかに「催眠」(1999・日)や「陰陽師」(2001・日)、「海猿」(2004・日)などを手がけた福田靖、浦沢直樹原作のアニメ「MONSTER」(2004〜2005・TV)を手がけた長崎尚志、「ヤスコとケンジ」(2008・TV)を手がけている渡辺雄介が加わっている。まあ製作が日本テレビなので、日本テレビ系の番組を手がけている人を使ったということか。

 9人の戦士を集めるとなったとき、オッチョが調達してくる武器はトカレフとかベレッタM92などがごっそり。そしてダイナマイト。レーザー銃もそれらしいデザインで良かった。9人の戦士がほとんど生かされていなかったけど。SATも登場する。

 サラウンドも日本映画とは思えないほどよく回り、効果的に使われていた。ただ、ところどころコピー防止のドットが目立ち、気が散った。それとスクリーンに傷があるようで、光っているところがあった。

 公開初日の2回目、25分前に着いたら渋谷の劇場はすでに8割ほどの入り。全席自由なのに、いちいち窓口で当日券と引き替えなければならないのが面倒くさい。どうも定員分で打ち切り立ち見を出さないということらしい。

 場所柄か、ほとんど20代くらいの若い男女。男女比はほぼ半々。通常はプレミアム席の2F席も、混んでいるということで自由席になっているらしい。1F席は床がフラットなのでスクリーンは高めでも前の席の人の座高が高いと、下に出る字幕は読みにくい。こういう劇場が多いことを配給する方はご存じないらしい。下は小学生くらいからいた。男女とも無礼なやつが多い。最終的に346席の9割くらいが埋まった。原作の力か。

 スクリーンはビスタで開いていて、チャイムの後、ほぼ暗くなってCM・予告。気になったのは……なんだかイメージが「252」と似ている「感染列島」。内容はさっぱりわからない。ウィルスの感染爆発というような感じか。

 金城武の「K-20」は金大中拉致事件を描いた「KT」(KT・2002・日/韓)の続編かと思ったら、「怪人二十面相」のことらしい。今風に言うとK20か。空気読めない「KY」みたいなものか。明智小五郎が出てくるから江戸川乱歩のなんだろうけど、どうもマスクが「Vフォー・ヴェンデッタ」(V for Vendetta・2005・米/英/独)みたいで気になった。あれは出来が良くなかったからなあ……。途中から完全に暗くなり、見やすくなった。

 ドルビー・デジタルのヘリのデモがあって、すごい音を見せつけられて(?)本編の始まり。最後はエンド・ロールの後に予告あり。早く席を立つと見逃すことになる。次回は1/31らしい。


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