Nim's Island


2008年9月7日(日)「幸せの1ページ」

NIM'S ISLAND・2008・米・1時間36分(IMDbでは米版95分)

日本語字幕:手描き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35、with Panavision)/ドルビー、dts、SDDS

(米PG指定)

公式サイト
http://shiawase1.jp/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

妻を海で失った海洋生物学者のジャック(ジェラルド・バトラー)は、11歳のひとり娘ニム(アビゲイル・ブレスリン)と南太平洋にある無人島で暮らしていた。ある日、プランクトンの調査のため出かけた父は嵐でボートが壊れ、帰れなくなった。ちょうどその頃、人気冒険小説家のアレクサンドラ・ローバー(ジョディ・フォスター)は、自分の小説のネタで火山が出てくるため、たまたま見つけた記事からジャック宛に火山のことを教えて欲しいとメールを出す。父の代わりにメールを読んだニムは、問い合わせてきたのが自分の大好きな小説の主人公と同じアレックス・ローバーという名前から、協力を約束。質問に答えるため火山に登って、怪我をしてしまう。メールから、父が調査から戻らず、傷が化膿しかけていることを知ったアレックスは、自分で助けに行くことを決心するが、彼女は重度の外出恐怖症だった。

70点

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 予告編の勝利。ジョディ・フォスターが出ていなければ、ほとんど価値がないくらい。ジェラルド・バトラーもかなり手を抜き加減の感じ。コメディエンヌに徹しようと、ひとり奮闘するジョディ・フォスターの姿がかえって悲しいくらい。「人生なんて、たった1行で変えられる」なんて、そんなの関係ねえ!

 予告と邦題では、あたかも外出恐怖症、ひきこもりの女性小説家が主人公のようだけれど、英語タイトルは「ニムの島」、つまり少女の住む島の話であり、主役は少女ニム。ジョディ・フォスターは1/5くらいしか出てこないのではないだろうか。子供の冒険映画だ。ハッキリ言って大人向きのお話ではない。父親が海に出て遭難し、帰ってこない間、いかに1人で父娘の島を守ったかというお話。コンセプトは面白い。

 小説家のジョディ・フォスターが関わってくるのは、最初と最後だけで、たまたま少女が彼女の書く冒険小説のファンで、たまたま書きかけの小説に火山が出てくるので、科学者である少女の父あてにメールを送り、そのやりとりの中で父が帰ってこない状態でけがをした少女を救いに行くため。ところが、苦労して島に着くとけがのことなど一言も触れられず、終わってしまう。なんだ、これ。

 だいたい、なんでもセリフで説明しすぎ。父親も、少女も、小説家も1人になるわけだが、やたら独り言が多い。状況をセリフで説明するとは。

 ほかにも、つじつまの合わない、いいかげんな設定があちこちに。活火山がすぐ近くにある、小さな無人島に暮らしているし、船が転覆するまではサメがいたのに、転覆したらいなくなったり、噴火した火山はどうなったんだよ! ただ、3D-CGを多用しているのだろうが、アシカ、トカゲ、ペリカンの演技はスゴイ。

 無人島でパソコンを使いまくりというのもどうかと思うが、使っているのはアップルのMacBook。ジョディ・フォスターが使っているのもモニターを2台つないだMac。一方で調べ物をして、もう一方で原稿を書いている。いいなあ。

 最初はかわいく見えたのに、だんだんガッカリ来るニムを演じたのは、アビゲイル・ブレスリン。スクリーン・デビューはあの肩すかしM・ナイト・シャマランの「サイン」(Sign・2002・米)のメル・ギブソンの娘役。小劇場で公開され見ていないが「リトル・ミス・サンシャイン」(Little Miss Sunshine・2006・米)でめがねの少女を演じてオスカーの助演女優賞にノミネートされている。まあ、良い役者でも脚本と演出が酷ければどうしようもないということだろう。

 監督と脚本は、ジェニファー・フラケットとマーク・レヴィンの夫婦。TVから映画に移ったようで、日本公開されている脚本を手がけた作品は、見ていないが「ウインブルドン」(Wimbledon・2004・英/仏)がある。監督は初めてのよう。怖いのは、これから公開される3Dアドベンチャー「センター・オブ・ジ・アース」(Journey to the Center of the Earth・2008・米)の脚本を手がけていること。

 実写が絵になって、それが影絵になってと変化する凝ったタイトルは、イマジナリー・フォース。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は前日に座席を確保しておいて25分前くらいに着いたらまだ開場していなかった。20分前に開場、スクリーンはビスタで開いていた。最終的に2階席の6〜6.5割くらいが埋まった。ほとんど中高年で、男女比は4対6で女性の方が多く、オバサンが目立っていた。5分前くらいから案内を上映。

 半暗で始まった予告編で気になったものは……日本映画はどれもコントラストが低く、色が浅い。なぜなんだろう。ライティングの予算がないということか、太陽光が弱いのか……。上下マスクの「イーグル・アイ」は新しい予告だったが、カットが速すぎて訳がわからなかった。黒い画面を入れているのが余計見にくくしているのでは……もっとスクリーンが遠いときにならなかったのかもしれないが、2階席の最前列くらいだとスクリーンが近くて目が回る。

 映写室の明かりを点けるのはやめて欲しい。場内は暗いので、わずかに光りでもとても明るく感じるのでジャマ。携帯電話の液晶画面を点灯させないでくださいとか言っといて、映写室の点灯はないよなあ。

 入場者プレゼントでドクターシーラボの「アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャー」の試供品をもらった。


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