Get Smart


2008年10月11日(土)「ゲット スマート」

GET SMART・2008・米・1時間50分

日本語字幕:手書き書体下、藤澤睦実/ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/getsmart/
(音に注意)

秘密諜報機関“コントロール”の情報分析官マックスウェル・スマート(スティーブ・カレル)は、エージェント昇進試験に合格、念願の現場へ出ることができるはずだったが、チーフ(アラン・アーキン)は優秀な分析官を失うわけにはいかないと、認めなかった。そんな時、悪の組織“カオス”によってコントロールの本部が襲撃され、エージェントのデータが盗み出され、世界各地で暗殺される事件が頻発。マックスウェルは急遽エージェント86として、エイジェント99(アン・ハサウェイ)と組み捜査を開始する。

73点

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 単なるおバカ映画ではなく、シッカリとした組立・構成のストーリーと、一生懸命なキャラクターがいて、現実にもありそうなちょっとしたおバカな行為がシリアスをコメディにしている感じ。このバランス感覚が良い。バカで笑えるが薄っぺらな映画とは違って、ちゃんと見応えがある。セットも、ファッションも、演技も、演出も、いたってまじめで真剣。コメディだからという手抜きがない。だから笑えるし、楽しめる。ちゃんとTHE ENDと出て終わるところもいい。

 ただし、映画は良いが、字幕が酷い。「ありえねえ」だ「ウザイ」だ、若者用語を連発でとても読みにくいし、違和感がありすぎ。登場人物は中高生か?それともウイッシュか? 大人のドラマが台無し。普通の字幕だったら、もっと楽しめたと思う。こんなに限定した観客に向けた字幕なんて、対象以外の人にはウザイだけ。まさに、ありえねえ。大声になると字幕が大きくなるのは、耳の不自由な人のためなんだろうか。DVDになるときは、どうか普通の字幕になりますように! せめて2種類の字幕にするとか……

 おふざけじゃなく、バスター・キートンのようにほとんど笑顔を見せず、ちゃんと役を演じているのはスティーヴ・カレル。TVの「サタデー・ナイト・ライブ」で活躍した人。傑作コメディ「ブルース・オールマイティ」(Bruce Almighty・2003・米)で。コケにされるキャスターを演じていた人。脚本・主演・製作総指揮を兼ねた「40歳の童貞男」(The 40 Years Old Virgin・2005・米)のヒットで注目を集めたらしい。日本ではマイクロ・シアーでの限定公開。混んでいたようだが……。二枚目で、ふざけすぎないところがいい。二枚目だし。使っていたのは、たぶんP226。博物館から盗み出す赤いオープン・カーはイギリスのサンビーム。1960年代のアルパインか。PCはMacBook。

 相手役のエイジェント99を演じたアン・ハサウェイもいい。本作では光っている。しかもすべて可愛く美人に写っている。一躍有名になった「プリティ・プリンセス」(The Princess Diaries・2001・米)でも、「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada・2006・米)でも、どこかイケてないところがあった感じがするのだけれど、本作はすべていい。ファッションも1960年代くらいの映画の感じで、華やかでおしゃれ。使っていたのはP230かP232。サングラスはシャネルと。

 凄腕エイジェントの23を演じたのは、ザ・ロック改めドウェイン・ジョンソン。本作も良かったが、やっぱりアクション作品が向いている。痛快アクション「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」(The Rundown・2003・米)や実在のヒーローを描いた「ワイルド・タウン/英雄伝説」(Walking Tall・2004・米)、人気ゲームを映画化した「DOOM ドゥーム」(Doom・2005・英ほか)なんか良かったなあ。使っていたのは、シルバーのデザート・イーグル。がたいが良いので銃が大きく見えない。

 悪の組織“カオス”のボスはテレンス・スタンプ。つい最近アンジェリーナ・ジョリーの「ウォンテッド」(Wanted・2008・米/独)に怪しい神父役で出ていた。

 組織のチーフを演じたのは、往年のコメディアン、アラン・アーキン。この人もほとんど笑わない。もう70歳を超えているがまったく元気。つい最近「リトル・ミス・サンシャイン」(Little Miss Sunshine・2006・米)でアカデミー助演男優賞を受賞したばかり。ボク的にはジェームズ・カーンと共演したアクション・コメディ「フリービーとビーン/大乱戦」(Freebie and the Bean・1974・米)゛よかったなあ。そしてピーター・フォークと共演した犯罪コメディ「あきれたあきれた大作戦」(The In-Laws・1979・米)も笑った。

 大統領役でジェームズ・カーンが出ているのは、アラン・アーキンが出ているからか。このほか、オタク職員役でTV「HEROES/ヒーローズ」で注目された日本人マシ・オカが、そしてカメオ出演的にビル・マーレーも出ている。狙いだろうが「007/私を愛したスパイ」(The Spy Who Loved Me・1977・英)のジョーズみたいな大男はダリープ・シンという人。ジャイアント・シンとかグレート・カーリとかとも呼ばれるプロレスラーだとか。

 字幕の他に気になったのは、不正コピー防止のドットと映写室の明かり。場内は暗いから、小さな明かりでも映写室で点けられるとジャマになる。やめて欲しい。プロ意識がないんだろうか……。今はプロが上映していないかもしれないけど。

 銃器関係では、ハリウッド・レディ(顔の横に銃を構えること)をすることからもリアルな演出はしていないが、発射された弾丸に薬莢がついていて飛んでいくのはどうなんだろう。日本では良くあるけど、アメリカまでもか……。ペイント弾の訓練などは面白かったが。ほかに銃器はスコーピオン、AKS74U、ワルサーP38、ベレッタM92、SWATはM4A1カービンなど。スイス・アーミー・ナイフにミニチュアのボウガンや火炎放射器がついているのも笑えた。

 飛行機の中で暴れてエア・マーシャルに逮捕され、トイレに行きたいというとき「スクィーズ・ザ・レモン」としきりに言っていたが、色が似ているところから来ているらしい。またウランは「イエロー・ケーキ」(字幕は字数制限から単にケーキ)と呼んでいた。そうなのか。

 キャラクターはメル・ブルックスと字幕が出る。もう1人、バック・ヘンリー。2人ともオリジナルのTV番組「それ行けスマート」(Get Smart・1965〜1970)の脚本を手がけていたらしい。

 脚本はトム・・アッスルとマット・エンバーの2人。ほとんどTVの脚本を手がけている人たちで、劇場作品も日本公開されたものはないようだ。しかし本作が書けるのだから、今後の活躍に期待できるかも。

 監督はピーター・シーガル。1962年生まれというから、オリジナルの「それ行けスマート」はギリギリ最後の方を見ているかも。TV出身の人で、劇場作品は「裸の銃を持つ男Part33 1/3/最後の侮辱」(Naked Gun 33 1/3: The Final Insult・1994・米)、1よりだいぶ落ちる悪のり映画「ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の面々」(Nutty Professor 2: The Klumps・2000・米)などを撮った。最近ではアダム・サンドラーでリメイクした「ロンゲスト・ヤード」(The Longest Yard・2005・米)を撮っている。

 エンディングにかかる曲は耳に残る。“4 Minutes”というタイトルで、歌っているのはマドンナ、ジャスティン・ティンバーレイク。いいです。

 公開初日の2回目、新宿の劇場を前日に座席予約しておき、20分前に着いたらまだ入れないという。劇場の前までも行けないのでロビーで待つ。10館に対して1つのロビーだから混雑していて座ることもできない。15分前に案内があり、エスカレーターへ。

 2/3くらいは20代くらいの若い人で、男女比はほぼ半々。この劇場で2番目に大きな箱だがスクリーンは中サイズ。座席がスクリーンに近い。最終的には301席に5.5割くらいの入り。これでは小さい箱に移動させられるかも。

 スクリーンはビスタで開いていて、10分前くらいから案内が始まり、半暗になってCM予告に。スクリーンが明るいので、半暗でも画面は比較的見やすい。そして何より音が良い。これが新しい劇場の強み。素晴らしい。遅れて入ってくるヤツが多い。本編が始まってからも入ってくるとは。気になった予告編は……。

 リドリー・スコット監督、レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ出演のCIAとテロの戦いを描くらしい上下マスクの「ワールド・オブ・ライズ」まだほとんどわからないが、「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)を彷彿とさせるすごいアクション。ヘリはガゼールか。見たい。

 「バイオハザードディジェネレーション」は3D-CGはすばらしく、音も良く、カメラも手持ちのように揺れ動いたりするものの、どうにも不気味な感じが。「ファイナルファンタジー」(Final Fantasy: The Sprits Within・2001・米/日)にならなければいいが。


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