The X File: I Want to Believe


2008年11月8日(土)「X-ファイル:真実を求めて」

THE X FILE: I WANT TO BELIEVE ・2008・米/加・1時間40分(IMDbでは米版は104分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35、HDCAM)/ドルビー、dts(IMDbではドルビー・デジタル、dts、SDDS)

(米PG-13指定)

公式サイト
http://movies.foxjapan.com/xfilesmovie/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

ウエストヴァージニア州のサマセットという町でFBI捜査官モニカ(ナッキー・エイコックス)が失踪した。FBIはビジョンを得たといって協力を申し出てきたサイキックのジョー神父(ビリー・コノリー)の案内によって、事件に関わった思われる男性の片腕を発見する。それ以上の進展が得られないことから、ホイットニー捜査官(アマンダ・ピット)はすでにFBIを辞め消息のわからない超常現象に詳しいフォックス・モルダー(デイビッド・ドゥカプニー)に協力を要請するため、かつてFBIで同僚だったダナ・スカリー医師(ジリアン・アンダーソン)に相談する。スカリーから要請を聞いたモルダーは協力を約束、神父に会いに行くが、神父はかつて小児性愛で有罪となり、現在は性犯罪者だけが住む寮で暮らしていた。

72点

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 久々にあのテーマ曲を聴き、懐かしい気持ちになった。そして、すでにFBI捜査官ではないが、当時のイメージ通りのモルダーとスカリー、スキナー副長官と出会うことができる。そして、宇宙人話ではない、不思議な話を体験することになる。これはファンとしてはたまらないことだろう。

 ただ、どうにも事件が小さい。事件の容疑者が州を超えればFBIの出番となるわけだが、シロートの印象では単なる失踪事件で、町の警察署が対処すればいいレベルに思える。誘拐されたのがFBI捜査官だが……。臓器売買のブラック・マーケットなども絡んでくるのだが、結局は個人レベルで、大きな犯罪組織が関係しているとかの話ではない。映画としてどうなんだろう。TVサイズの話なんではないだろうか。

 久々に登場するモルダーとスカリーをいかに現在の話にうまく持ってくるかに最大の努力が払われているようだ。そして、それはオリジナルのクリエイターであるクリス・カーターによって見事に破綻無く実現されているように思える。不思議な事件に、治療法のない難病と闘う少年というリアルな問題を取り込むのは、得意であり、それがまたTVドラマの「X-ファイル」が受け、9年も続いた理由の1つでもあるだろう。

 モルダーを演じているデイビッド・ドゥカプニーは「X-ファイル」シリーズ以外ではパッとしない感じ。SFコメディの「エボリューション」(Evolution・2001・米)もがっかりだったし、「コニー&カーラ」(Connie & Carla・2004・米)では飾り物のような役だった……。ほかにも映画に出ているらしいが、ほとんど日本公開されていない。実は名門プリンストン大学を出た後、イェールでも英文学の学位を得るなど、かなりの秀才。奥さんは美人女優のティア・レオーニで、「X-ファイル」が終わった2002年以降は、プロデューサーや脚本家、監督としても活躍しているらしい。ただ、あまり日本公開されていないと。

 一方、ジリアン・アンダーソンの方は、「X-ファイル」が終わったあとに離婚したそうだ。日本公開された作品では、ショッキングで恐ろしい実話に基づいた「ラストキング・オブ・スコットランド」(The Last King of Scotland・英・2006)で、人生に疲れた女医を好演、存在感を示していた。この人もコーネル大学とデュポール大学の2つで演劇の博士号を取っているのだとか。

 ただ、2人とも、あまりに「X-ファイル」のイメージが大きすぎたかもしれない。ほかの役を演じてもイメージを引きずったかもしれない。

 FBIのホイットニー捜査官を演じた美女はアマンダ・ピート。面白かったブルース・ウィレーリスのアクション・コメディ「隣のヒットマン」(The Hole Nine Yards・2000・米)で女殺し屋を演じていた。その後、傑作ミスタリーの「アイデンティティー」(Identity・2003・米)では変態オヤジから金を盗んだ娼婦を演じていた。最近出ていたのはジョージ・クルーニーの社会派サスペンス「シリアナ」(Syriana・2005・米)のマット・デイモンの妻役。

 誘拐されるFBI捜査官を演じていたのはニッキー・エイコックス。人気TVドラマ「スーパーナチュラル」で悪魔の手先メグを演じている人だ。ハル・ベリーのサスペンス「パーフェクト・ストレンジャー」(Perfect Stranger・2007・米)ではハル・ベリーの幼なじみを演じていた。

 小児性愛者のサイキック神父を演じていたのは、ビリー・コノリー。トム・クルーズの「ラストサムライ」(The Last Samurai・2003・)でトム・クルーズがアメリカから連れてくる鬼軍曹を演じていた人だ。

 監督・脚本・製作はこのシリーズのクリエーターのクリス・カーター。モルダーとスカリーを掘り下げて描くとしたらこの人しかいないだろう。ただ、なぜ今「X-ファイル」だったのか。こんな小さい事件を描くために劇場作品を作る必要はあったのか。現在新作映画を撮影中らしい。どんな作品になるのか、気になる。

 スカリーもモルダーもFBIを辞めているので、銃は持っていない。唯一出てくる銃は、スキナーが持っているグロックのみ。公式サイトによれば、現役の時の装備銃はS&WのM1056とあるが、実際に一部採用していたのは10mmオートのM1076ではなかったか。

 公開2日めの初回、50分前に着いたら新宿の劇場は誰もいなかった。30分前で10人くらい。小雨の降る寒い日だったので、ちょっと早く入れて欲しかったが……開いたのは25分前。シネコン系では時間厳守のようだからこんなサービスはないだろう。この時点で15人くらい。うち女性は1/3の5人くらい。

 全席自由で、指定席はなし。開映間近になってから増えだして、最終的に406席の4割くらいが埋まった。女性は1/3ほど。老若比は半々くらい。下は高校生くらいからいた。TV版は見ていたんだろうか。

 スクリーンはシネスコで開いていて、暗くなってビスタになってはじまった予告は……「感染列島」は特に変わりないが、見るたびにSFXがハリウッド作品にそっくりな感じが強くなっていく。

 シネスコになって、「オーストラリア」はとにかく絵がキレイ。キーファー・サザーランドのホラー、左右マスクの「ミラーズ」はFらさのロゴから逆さになっている凝り方で興味を引く。凄いものは何も出ていないのに怖いんだから期待してしまう。新予告で、だんだん内容がわかってきた。サザーランドは警備員。怪奇現象が彼に事件の真実を調べさせるという感じらしい。ちょっとR-15というのも期待させる。

 左右マスクの「地球が静止する日」は「地球の静止する日」(The Day the Earth Stood Still・1951・米)のリメイクなので、だいたいの内容はわかるが、この予告を見てもさっぱりわからない。キアヌ・リーブスが例の宇宙人だろうくらいしかわからない。重低音は凄い迫力。


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